自力では治すことができない眼瞼下垂。いったいどんな治療をするのでしょうか? 保険適用にもなるという治療法を詳しく伺いました。
症状次第では、保険適用で
手術が受けられる
眼瞼下垂と診断されれば、治療は保険適用が基本になります。
「正面を向いた際に、瞳孔(黒目)の中心から上まぶたの縁までの距離が、2㎜以下の場合は、まずは眼瞼下垂と診断されることが多いでしょう。ですが、もともと目の開きが小さい方もいるので、挙筋腱膜の機能低下が起きていないか、頭痛や肩コリなど、まぶたが原因で、生活に支障が出る不調がないかなど、さまざまな角度から診断していきます」(島倉康人先生)
眼瞼下垂=保険適用という情報が広がり、挙筋腱膜に問題がないまぶたのたるみも保険適用になると思っている人もいるよう。保険適用になるには、機能低下や不調などの症状も必要。最初からすべて保険適用になると考えて臨まないことも大事です。
「気になる場合は、眼瞼下垂の症例数が多いクリニックで、診断してもらうといいでしょう。治療は、手術が基本です。手術法はいくつかありますが、私の場合は、“挙筋腱膜前転術”を用いています。緩みや外れが起きている挙筋腱膜を引き出して、挙筋腱膜のハリを回復した状態で瞼板に縫いつける方法です」
a まぶたを切開する
b 中にある挙筋腱膜を引き出す
c d 引き出した挙筋腱膜の緩みをなくし、張った状態で瞼板に固定
よく行われる眼瞼下垂の術式の「挙筋腱膜前転術」。まぶたの皮膚を切開し、緩んだ、外れている挙筋腱膜(紫色部分)を引き出し(図のa b)、挙筋腱膜の張りを 回復させた状態で瞼板に縫いつける(図のc d)。
眼瞼下垂の手術の際に考えたいポイントとは?
見た目に大きく影響する部位
だからこそ、考えたいポイント
ひと口に眼瞼下垂の治療法といっても、方法はいくつもあります。保険適用の手術は、まぶたの機能を司る挙筋腱膜へのアプローチが基本。ただ、この部分の手術は、まぶたを切開するので、治療後ダウンタイムが必要に。
「眼瞼下垂は、見た目に影響する治療になります。ですから、単に挙筋腱膜の修復だけでなく、まぶたのたるみを切り取って、きれいな二重になるように、見た目にもこだわる仕上がりも考えて手術を行います」
形成外科や美容外科の知識があるクリニックだと、見た目も考慮した仕上がりを考えてくれることも。ただ、とにかく見た目が重視、前よりも美しいまぶたになりたい、ダウンタイムがない術式がいい、という場合はやはり保険適用は難しく、自由診療に。保険適用の相場は、約5万円。自由診療はまちまちですが、約30 万円から。金額だけでなく、どちらにもメリット・デメリットはあるので、ライフスタイルや望む仕上がりに合う方法を、ドクターとよく相談して見つけていくべきです。
少しでも
たるみ速度を遅くしたい!
まぶたの下垂は少し感じるけれど、眼瞼下垂というほどではない、という人は、まずは進行を遅らせることが大事。そのためには、まぶたをこすらない、引っ張らないことが大事です。ハードコンタクトレンズは挙筋筋膜を刺激しやすいので、長時間装着せずにメガネを使うなどの工夫を。クレンジングなどでもこすらないように意識して。
目元のスキンケアも予防に。ケアをするぞと触りすぎるのも刺激になるので、まぶたにも使えるアイテムで優しいケアを。
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次回は眼瞼下垂の治療を行なった経験者の体験談をご紹介します。お楽しみに!
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/伊藤まなび