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「不器用な性格の自分は、会社員として損してきたと思っています」/人間関係、仕事、セックス…アラフィフの”モヤモヤ”を一刀両断! 藤森かよこの「読むワクチン」

「なぜあんな人が出世するの?」と腑に落ちないケースに出くわした経験は、誰にでもあるはず。とりわけ、ズルをしたり、おべんちゃらを言ったりするのが苦手で、上司にかわいがられないタイプの人(!)は「損した」気分になりがちです。自分の気持ちを曲げてまで調子よくふるまえないというモヤモヤに対する、藤森かよこ先生の答えとは?

言葉のワクチンを打ってくださった方(回答者)

藤森かよこ
藤森かよこさん
福山市立大学名誉教授、文筆家
公式サイトを見る

1953年愛知県名古屋市生まれ。南山大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程満期退学。岐阜市立女子短大、金城学院大学短大部、桃山学院大学、福山市立大学を経て、福山市立大学名誉教授。アメリカの国民的作家であり思想家のアイン・ランド研究の第一人者で、アイン・ランドの大ベストセラー『水源』『利己主義という気概』(ともにビジネス社)を翻訳。著書に『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。』『馬鹿ブス貧乏な私たちが生きる新世界無秩序の愛と性』(すべてKKベストセラーズ)、『優しいあなたが不幸になりやすいのは世界が悪いのではなく自業自得なのだよ』(大和出版)、『ニーチェのふんどし』(秀和システム)などがある。

 

<54歳会社員のモヤモヤ>

会社員人生、ついに30年以上になりました。

この間、いろいろな出来事を目の当たりにしてきました。

いちばん納得できないのは、仕事ができる人よりもご機嫌取りや八方美人、口のうまい人が重用されたり、出世すること。

かといって、もう一度会社員としての人生をやり直せるとしても、ああいう人たちのように私は絶対に調子よくふるまえないだろうと思います。

とはいうものの一方では、なぜ私はこんなに不器用な性格に生まれてしまったんだろう…となんだか損した気分が拭えない今日この頃です。

 

<藤森かよこ先生があなたに打つ「本日の言葉のワクチン」>

 

世の中は意外とうまく回っているものです。

マジメに生きている人には、ちゃんとそれに報いる何かが返ってきます。

 

単にご機嫌取りがうまくて重用されるような人たちを見れば、当然、あなたは腑に落ちないし、納得がいかないと思いますが、会社ではうまくやっているように見える彼らにも、それ相応に人生のバランスでうまくいかない部分があるはずだと思いますよ。

 

それはそれとして、改めて言うまでもなく、働くって本当に大変なこと。

 

私もそうでしたが、仕事とは凡人が「労働とは何か」を学ぶ機会なんです。

 

時にはすごく不快でしんどい気持ちになるけれど、仕事は待ってくれませんよね。

 

働くことの苦しさとトレードオフで、生きていくのに必要な分の金を稼ぐ。

この厳しい現実を学べたととらえるしかない。

そして、それを乗り越えて自分は今ここにいると考えるしかないんです。

 

とはいえ、一方で、働くなかで面白さも感じてきませんでしたか?

本当にずっと「損した」気分でい続けましたか?

 

たぶん、そんなことはないでしょう。

 

ご機嫌取りをせず、手も抜かず、マジメなあなたはプライドを持って仕事に向かってきたはずです。

 

そうしてこなしてきた仕事の中には、胸を張って誇れる仕事もあったのではないでしょうか。

もしあるなら、実はそんなに損していないとも思いますよ。

 

そもそも自分のことなんて、あまりわからないものです。

 

あなたはご自分を不器用だとおっしゃるけれど、全然そんなことはないかもしれません。

他人から見たら「媚びないプライドを持った仕事の仕方、素敵だなあ」と、誰かから思われている可能性も大いにあります。

 

見ている人はちゃんと見ています。

 

ただ、誰もあなたを見ていなかったとしても、自分の気持ちや考えと相いれない相手にお追従を述べるといった、みっともない真似はできないという美意識をあなたが持っているのは確かでしょう。

 

その美意識はあなたという人間の根幹です。

 

世の中には美意識なんてまるっきりない人がいます。

生き方に対する美意識を持つ自分を、この先もぜひ大切になさっていただきたいと思います。

 

取材・文/中沢明子

 

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