薬草園の中にある薬膳レストラン~中国・北京~
温泉と旅で美しくなるビューティツーリズムを研究しているうちに、もっと体のこと心のことを深く知りたいと思うようになり、昨年から東京薬科大学で中国医学を学んでいます。その現地研修で、長春中医薬大学や、大学附属病院での臨床学習をして、本場の中国医学や漢方の世界をじっくり体感してきました。終盤の北京で行った薬草園の中にある薬膳レストランが、今回ご紹介したい旅ごはんです。敷地へ入ると、無農薬自然栽培されている薬草や野菜が元気よく茂っていました。そこに隣接する美しい建物で薬膳料理をいただけるのです。
暑い夏を乗り切るのに、中国の人々は「花のお茶」をたくさん飲みます。暑くても冷たいものは飲まず、温かいお茶や白湯を飲みます。花のお茶は熱を放出させて、発汗、利尿の作用があります。そういえば、中国では茶葉の店も無農薬自然栽培が多いのが印象的。
豚の耳と牛蒡を組み合わせた前菜(写真)や霊芝をアクセントにした干し豆腐。
美人草と呼ばれる野菜は、楊貴妃も好んで食べたという美肌のためのビタミンが豊富。野菜そのものは豆苗のようなサクサクとした食感で、甘酸っぱくてちょっとぴりりとする味付けが絶妙。
日本では高価すぎてめったにお目にかからない、冬虫夏草のスープ。漢方では、健肺、つまりアレルギーの予防やスタミナ不足になりがちな夏の滋養強壮に用いられる生薬です。コクのあるスープは生姜も利いていて美味しい。
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牛肉を甘辛く炒めたものは、干豆腐をクレープのように伸ばした生地でネギと大葉と一緒に包んでいただきます。長春でダックを食べた時もこの干豆腐の皮。とてもヘルシーなのです。
海老チリソースみたいに見えるお料理は、なんと、アロエの天ぷら。衣をふわっとフリットのようにして揚げたアロエを甘辛いチリソース仕立てで。中のアロエがとろっとしていて驚きの美味しさ。
饅頭(まんとう)は、肉まんの皮の部分だけをロール状にしたもの。主食としてパンのようにいただくのですが、これも、血圧や血糖値を整える霊芝が練り込まれていたりします。
カラフルで美しくて優しい味わいの美食薬膳は、ほとんどのものが薬草園の庭から収穫したものばかり。薬味の大葉が少なくなれば、さっと庭から摘んできて補充してくれるといった感じ。こんな優雅なでヘルシーな薬膳ランチ、日本でも食べられたらいいのに。
その季節の体には、何が必要なのか?中国の人はみんな普通に知っています。日々の暮らしの中に伝統的に薬膳の知恵が取り入れられています。中医学を学ぶようになって解ったのですが、日本にも四季があって旬の食べ物がありますが、それこそが実は体にとってもいい薬膳になっているのです。都会で暮らしていると旬が解らなくなってしまいがちですが、意識して食べるようにしたいとあらためて思いました。
石井宏子
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