植物性のタンパク質といっても大豆由来ではないのが驚き!
肉を超えた「プラントベース」肉が、最大の食トレンドに
今まで紹介してきたNYの食の話題は、半年から1年後にはいつも日本国内でブームになっているので、今回も必見!
「赤い血が滴る」ような植物性タンパク質の肉の話題を、NY在住のエディター・黒部エリさんにレポートしてもらいました。
植物由来のタンパク質で作り、
植物性〝ヘム〞で血の色を再現
「プラントベース」つまり植物由来の肉というと、大豆ミートを想像するものですが、今アメリカを席巻しているのは文字通り「赤い血が滴る」植物肉。今年の最大の食トレンドとされているプラントベースの肉です。
その先駆けが「インポッシブル・フーズ」という企業。スタンフォード大学教授がシリコンバレーで起業したベンチャービジネスで、次世代のサステイナブルな食物を開発するため、植物由来の肉をバイオケミカル技術により作り出したのです。原材料は小麦由来およびじゃがいも由来のプロテインで、ふたつを混ぜて肉の食感を再現。そして血の代わりになるのが"ヘム"。血液の赤い色を構成する物質で、これが牛肉の色を出し、肉特有の鉄の味を作る元になります。こんにゃく粉などで粘りを出し、ココナッツオイルと大豆オイルを加えてパテが完成。植物とは思えない味わいに、現在は全米の有名レストランに卸されています。
またロスを拠点とした「ビヨンド・ミート」は、ビル・ゲイツや動物愛護協会が投資元となったことで話題を集めた企業。えんどう豆のタンパク質を主原料としてココナッツオイルなどが添加された肉は、ホールフーズ・マーケットで買えるために人気です。実際に焼いてみると、ほぼビーフパテと変わらない出来上がりで、ミディアムで焼けば中央部の赤さも残ります。味も牛肉そのものではないにせよ、十分においしくて楽しめる味わい。コレステロールはゼロ。動物愛護やエココンシャスの観点からベジタリアンを選ぶ若者たちと、コレステロールを抑えたい中高年層が利用者となっています。
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Impossible Foods
インポッシブル・フーズ
スタンフォード大学のバイオケミストリーの教授であるパトリック・ブラウン博士によって、2011年に設立。環境を保護する次世代の食を開発するべく、植物でできた肉をバイオケミカルの技術をもって発明。同社のパテは、牛肉のパテより脂肪分が少なく、コレステロールがゼロ、プロテインの含有率が高い。2017年にパテの販売を開始。
https://www.impossiblefoods.com
Beyond Meat
ビヨンド・ミート
2009年にビーガンであるイーサン・ブラウンがロサンゼルスを拠点に設立。ビル・ゲイツや動物愛護協会、そして大手食肉会社のタイソン・フーズ社が投資をして話題を呼びました。ミズーリ大学の教授と提携して、植物をベースにした鶏肉を開発。2016年に「ビヨンド・バーガー」を開発してホールフーズ・マーケットでの販売を開始。アマゾンフレッシュでも購入可能。
http://beyondmeat.com/
次回は、プラントベース肉を使った話題のフレンチビストロをご紹介します。
取材・原文/黒部エリ