気になる「目」について、Part1~4に分けて大特集でお届けします!
Part 3
「見えやすい」「快適」と愛用者増加中!?
詳しく知りたい!
「遠近両用コンタクトレンズ」
老眼対策はメガネだけでなく、遠近両用コンタクトレンズという選択肢があります。
上手に使いこなせば、新しい世界が開けそうです。
Q&A 基本編
初めての遠近両用コンタクト、ここが知りたい
遠近両用コンタクトについての素朴な疑問を眼科専門医の梶田先生に伺いました。
コンタクトに挑戦する人は必読!
今回は、どうして遠近両方が見えるのか? 、遠くも近くも見える? の2つの疑問についてのQ&Aです。
梶田雅義さん Masayoshi Kajita
ピントが甘い映像を
受け入れることが必要です
遠近両用コンタクトレンズを使用すれば、近いところも遠いところもバッチリ見える?
「実は快適に使いこなすには、ちょっとした心得が必要です」とは、梶田雅義先生。
「人が物を見るとき、実は目ではなく"脳"で見ています。手元を見るのか、遠くを見るのかを意識することで、脳が反応して、焦点を決めています」
今の主流であるソフトレンズでは、この仕組みを利用して、全体的にピントを甘くして、遠くと近くの像を同時に網膜面で結び、脳で見たいほうを選択することで、遠近が見えるようにしています。
「この場合、特に今まで遠くがよく見えていた人は、コンタクトをすることで、遠くが少しぼやけます。しかし、近いところはよく見える。この今までとは違う見え方を、受け入れる必要があるのです」
現代の生活では、遠くをクリアに見るよりは、手元が見えるほうが断然便利。それを受け入れる柔軟性が必要なのです。
Q.どうして遠近両方が見えるのですか?
A.見えるメカニズムは大きく2タイプ。
遠近両用コンタクトのレンズは、大きく分けて2タイプ。
「ひとつはレンズの外側に近くを、中央に遠くを見る度数を置き、視線を動かすことで近くも遠くも見えるというもの。おもにハードレンズがこれで、交代視型と呼びます。一方、ソフトレンズでは遠くと近くの像を同時に網膜で結び、脳が見たいほうを見るように設計されています。これが同時視型で、見たい対象物がどの方向にあっても見やすいのが利点です」
■視線の動きで遠近を見る「交代視型」■(↑イラスト上)
中央に遠用、周辺部に近用の度数を配置。
視線の移動によって遠近が見えるようにしたもの。
おもにハードコンタクトがこのタイプ
■目の生理的反応を利用した「同時視型」■(↑イラスト下)
中央に近用、周辺部に遠用の度数を配置。
近くと遠くの像を同時に網膜面で結び、
脳で見たいほうを選択して、遠近が見えるように
次ページに続きます。
Q.遠くも近くもくっきり見える?
A.大切なのは、ある程度妥協すること。
遠近両用コンタクトは大きく、「交代視型」と「同時視型」(前Q&A参照)があります。
「見え方としては、交代視型のほうが遠くも近くもクリアに見えます。しかし、今の主流のソフトレンズの同時視型では、全体的にピントが甘くなります。視力でいうと1.0→0.6くらいまで落ちます。つまり遠くも近くも、老眼になる前と同じようには見えないということ。それをある程度受け入れる、気持ちの柔軟性が必要です」。
それさえ受け入れられれば、とても快適になるはずです。
次回は、コンタクトにできないケース 、どんな人に向いている? の2つについてご紹介します。
取材・原文/山村浩子