睡眠時間は短くないはずなのに、早く寝ているはずなのに、なんだか眠った気がしないという方、必見です!
睡眠の質を高めるためのコツをぜひチェックしてみてください。
今回は、起床時~日中の過ごし方についてお伝えします。
睡眠の質を高めるための22カ条
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起床とともに朝日を浴びる
朝起きてまずすべきは、朝日を浴びること。
「私たちの体の体内時計は25時間周期のリズムを刻んでいて、これをサーカディアンリズムといいます。これは地球の24時間周期のリズムとずれていて、このずれを放っておくと時差ボケ状態になり、ストレスがか
かります。これをリセットできるのが太陽の光。朝起きて朝日を浴びると光が脳を刺激し、体内時計がリセットされ、地球の周期と同調します。そしてその15〜16時間後にメラトニンが分泌され、夜に正しく眠気が訪
れるので、朝起きたら朝日を浴びる習慣をつけましょう」(根来先生)
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朝食は抜かずにとって、
体内時計をリセットする
朝日を浴びることと同じく、必ず朝にすべきなのが朝食をとること。
「朝起きて朝日を浴びると体内時計がリセットされるとお話ししましたが、これは脳の視交叉上核(しこうざじょうかく)という部分にある"親時計"のこと。実は体内時計にはもうひとつ、体中の細胞が刻んでいる"子時計"があり、これもリセットされないと完全ではありません。この子時計のリセット作用があるのが朝食です。朝食をとるとその刺激で子時計がリセットされ、これで地球の周期と体内時計が完全に同調します。体内時計のリズムを刻む遺伝子を"時計遺伝子"といいますが、時計遺伝子のリズムが乱れると血管の老化が進むという研究報告も。ですから老化を防ぐためにも朝食抜きはNG。朝食をとるのが苦手な人もフルーツなどだけでもいいので、何かしらお腹に入れましょう」(根来先生)
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就寝時間が変わっても
朝起きる時間は一定にする
休日前になると夜更かしをし、休日は遅くまで寝ているという人も少なくないと思いますが、これも避けたほうがいい習慣。
「朝起きる時間を遅くすると、それに合わせて夜にメラトニンが分泌される時間も後ろにずれます。例えば朝10時まで寝ていたら、メラトニンの分泌が増えはじめて眠気が訪れるのが深夜1〜2時頃と遅くなり、生活リズムがくずれてしまいます。体内時計を整えるには毎日規則正しいリズムで生活するのがいいので、休日も起床時間はなるべく一定にしましょう。就寝時間が遅くなっても、朝起きる時間はいつもと同じにしたほうが、その日に多少睡眠不足になっても、その分、夜早めに眠気が来くるので体内時計のリズムを元に戻せます」(根来先生)
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日中はなるべく活動的に過ごす
睡眠の質を高めるには自律神経のバランスを整えることも重要。
「自律神経とは自分の意思では動かせない内臓や呼吸、体温調節など生命維持活動を司る神経。自律神経には、おもに日中、体が活動するときに働く交感神経と、おもに夜、体を休息モードにするときに働く副交感神経があります。質のよい睡眠をとるには夜に副交感神経が優位に働くことが重要で、これによって血管の緊張が解けて血流がよくなり、ホルモンも全身に行き渡って働くことができます。交感神経と副交感神経は一方が優位になるともう一方が弱まるので、日中は活動的に過ごし、夜はリラックスして過ごすといったメリハリのある生活をすると、夜に自然と副交感神経が優位になり、睡眠の質がよくなります。日中だらだら過ごしたり、夜遅くまで仕事をしたりするのは避けること」(根来先生)
お話を伺った方々
すなおクリニック院長
内田 直さん Sunao Uchida
1956年生まれ。医学博士。精神科医。スポー ツドクター。早稲田大学スポーツ科学学術院 教授などを経て現クリニック開業。睡眠にまつわる病気やうつ病、認知症の診療にあたる
ハーバード大学医学部客員教授
根来秀行さん Hideyuki Negoro
1967年生まれ。医学博士。パリ大学医学部客 員教授。事業構想大学院大学理事・教授。専門は抗加齢医学、睡眠医学など。著書『「毛細 血管」は増やすが勝ち!』(集英社)も話題
快眠セラピスト
三橋美穂さん Miho Mihashi
寝具メーカー勤務を経て独立、睡眠のスペシ ャリストとしてメディアや多方面で活躍。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100』(かんき出版)など
撮影/天日恵美子 スタイリスト/程野祐子 取材・原文/和田美穂 撮影協力/アワビーズ