「早寝早起きが大事」と言われる理由も、睡眠の質から考えると、どれほど重要なのか納得できます。
まだまだハッとするようなコツが飛び出す『睡眠の質を高めるための22ヵ条』、
今回は運動や食事についてのほかに、睡眠を管理するアプリのことも。
睡眠の質を高めるための22カ条
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筋トレ+有酸素運動を
習慣にする
日中の活動量を上げ、睡眠の質を高めるために行いたいのが運動です。
「ちょっときつい運動をすると成長ホルモンが分泌されるのでそういう意味でも運動はおすすめ。これは筋トレなどが該当します。ただ、若返りのために最も効果的なのは、筋トレと有酸素運動、ふたつの組み合わせです。筋トレをすると成長ホルモンが分泌されて脂肪が分解され、燃焼しやすい形に変わります。この後に有酸素運動を行うと脂肪が燃えるので、ダイエット効果も得られるのです。筋トレはスクワットなどやりやすいものでいいですし、有酸素運動はウォーキングでOK。ウォーキングのようなリズム運動は、メラトニンの材料となる脳内物質のセロトニンの分泌も増やします。週2〜3回でいいので筋トレと有酸素運動を習慣に」(根来先生)
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メラトニンの材料になる
「トリプトファン」を含む食品をとる
毎日の食事から、メラトニンの材料をとることが可能です。
「メラトニンの材料になるのが、脳内物質のセロトニンですが、そのセロトニンの材料になるのが、必須アミノ酸のひとつのトリプトファンです。必須アミノ酸は、体内で合成できないので食べ物から取り入れるしかありません。そしてトリプトファンを多く含む食品が、納豆や豆腐やきな粉などの大豆製品、牛乳やチーズやヨーグルトなどの乳製品、ピーナッツやアーモンドなどのナッツ類、卵黄、アボカド、バナナなど。これらを食事に取り入れましょう。また、成長ホルモンを作るには、ビタミン類やミネラル類、アミノ酸などが必要。つまり肉や魚、野菜、果物と、さまざまな食品をバランスよくとれば自然に補えるので、偏りのない食事を心がけましょう」(根来先生)
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昼寝は午後3時までに
15分以内でとる
睡眠不足になってしまったら日中に昼寝をするのも、よい方法。
「睡眠不足の日は日中眠くなると思います。特に13時〜14時頃は体内リズムによって深部体温が下がり、眠気が訪れるので、状況が許せば昼寝をするのがおすすめ。15時までに15分程度の仮眠をするなら体内時計も乱れず夜の睡眠にも差し支えませんし、脳のリフレッシュにも。ただし30分以上や、15時以降の昼寝は夜の睡眠を妨げるのでNG」(根来先生)
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自分の眠りを管理する
習慣をつける
自分が質のいい睡眠をとれているかどうかは、なかなか客観的に判断しづらいもの。そこでアプリなどを利用するのもよい方法。例えば、根来先生が監修したアプリ「スリープデイズ」は、ダウンロードして寝るときにスマホを枕元など同じベッド上に置いておくだけで、体の動きなどからアプリが睡眠の質を分析し、点数やグラフで表示します。
「このアプリは、睡眠時間や、深い睡眠がとれているかなど、睡眠の質を点数で表示。このデータをもとに、アプリが体内時計を学習し、睡眠の質を高めるコツや、運動や食事のタイミングを提案。さまざまな機能を搭載しているので、眠りや生活の改善につながりますよ」(根来先生)
睡眠時の体の動きから、入眠までの時間や中途覚醒回数、深い睡眠までの時間などを計測し、睡眠スコアを点数で表示。睡眠を改善する生活スケジュールのアドバイス機能も。無料/Sleepdays
お話を伺った方々
すなおクリニック院長
内田 直さん Sunao Uchida
1956年生まれ。医学博士。精神科医。スポー ツドクター。早稲田大学スポーツ科学学術院 教授などを経て現クリニック開業。睡眠にまつわる病気やうつ病、認知症の診療にあたる
ハーバード大学医学部客員教授
根来秀行さん Hideyuki Negoro
1967年生まれ。医学博士。パリ大学医学部客 員教授。事業構想大学院大学理事・教授。専門は抗加齢医学、睡眠医学など。著書『「毛細 血管」は増やすが勝ち!』(集英社)も話題
快眠セラピスト
三橋美穂さん Miho Mihashi
寝具メーカー勤務を経て独立、睡眠のスペシ ャリストとしてメディアや多方面で活躍。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100』(かんき出版)など
撮影/天日恵美子 スタイリスト/程野祐子 イラスト/かくたりかこ 取材・原文/和田美穂 撮影協力/アワビーズ