いし こんにちは。ぐうたらライターのいしまるこです。根来教授の「呼吸年齢を若く保つ」プロジェクト3回目ですよ。
根来 こんにちは、根来秀行です。前回、細胞呼吸を促しているのは酸素ではなく、実は二酸化炭素だとお話しましたが、覚えていますか?
いし ハイ。肺呼吸でたくさん酸素を取り込めば、そのぶん細胞に酸素が行き渡ると思っていたので、本当に意外でした。一時期、酸素バーや酸素カプセルが流行りましたけど、あれってどうなんですか?
根来 健康な人に酸素投与を行った場合、余分な酸素が回らないように、体の防御機構が働きます。血管が収縮して、脳や心臓などの各臓器では、むしろか軽い酸欠状態になるんです。
酸素を吸って、リラックス効果を得られたという人もいますが、生理的なメカニズムを考えると賛否が分かれるところですね。
いし そうなんですねー。
根来 取り込んだ酸素を余すことなく細胞呼吸で利用するには、一定量の二酸化炭素が必要なのです。排気ガスとして悪者にされがちな二酸化炭素ですが、細胞呼吸を円滑に進める陰の功労者で、健康を保つために欠かせない存在なんですよ。二酸化炭素には体内のPH値を調整したり、気道を広げて空気を取り込みやすくしたり、血管を広げて血流をよくする働きもあるんです。
いし 二酸化炭素って、不要なもの、っていうかむしろ悪いものかと思ってました。
根来 そこが皆さん、大いに勘違いしているところですね。細胞呼吸で酸素をしっかり利用するには、肺呼吸の数を適切に減らし、二酸化炭素濃度を高めることが大切。そのためには、普段の呼吸をゆったりと深い呼吸に変えていく必要があります。
いし 現代人は呼吸が浅くなっていると言われますよね。
根来 ハイ。近年、ストレスやアレルギー、IT機器の普及による姿勢の悪化などにより、口呼吸が習慣化し、呼吸が浅くなって、呼吸の回数が増える傾向にあります。脳の呼吸中枢が二酸化炭素に過敏に反応するようになって、二酸化炭素への耐性が下がり、ますます過呼吸に陥っているんです。
いし わかるなあ。でも、自分の呼吸がどうなのかって、意外とわからないですよ。
根来 そうなんです。というわけで、自分の呼吸が常習的に浅くなっていないか、下記のテストでチェックしてみましょう。
【ブレスホールドタイムテスト】
「普通の呼吸の合間に30秒間、苦もなく普通に息を止めていられるかどうか」を調べます。簡単なテストですが、二酸化炭素への耐性がわかり、常習的に呼吸が浅くなっていないかチェックできます。ストップウォッチで時間を測りながら行ってみて。
1.普段通りの呼吸をして、静かに鼻から息を吐いたあと、鼻をつまみます。
2.そのまま息をしたくなるまでの時間を計ります。
根来 息を止めると酸素が入ってこなくなり、体内の二酸化炭素も排出されません。そのまま息を止めていると、肺と血液の中で二酸化炭素が増えて酸素が減り、脳から「呼吸しろ」という信号が送られ、息がしたくなります。唾を飲み込みたくなったり、のど、首、肩、おなかの筋肉が勝手に収縮したら、体が脳からの呼吸命令を受け取ったサインです。
30秒前に上記のサインを感じた人
呼吸が浅くなっている証拠。浅い呼吸を続けていると、二酸化炭素に対する耐性が落ち、息を止めておける時間が短くなるのです。
がまんせず30秒息を止められた人
合格ラインクリア。二酸化炭素の耐性もまずまずで、普段からラクに呼吸ができていて細胞呼吸もスムーズです。
40秒以上止められた人
理想的です。二酸化炭素の耐性が高く、深い呼吸が身についていて、細胞に酸素を安定供給できています。ただし、意識していないと呼吸はすぐ浅くなるので、油断は禁物です。
いし ふぅ〜、30秒息止めるのって、意外とキツイですね。
根来 呼吸が浅くなっているかもしれないですよ。次回は、深い呼吸をするためのポイントをご紹介しますね。
それではみなさん、今日も素敵な1日を!
自分の呼吸の弱点がわかり、それを克服するためのメソッドもいっぱい!
『ハーバード&ソルボンヌ大学Dr.根来の特別授病まないための細胞呼吸レッスン』
根来秀行 本体1300円+税
(次回は『鼻歌で深い呼吸が身につく! 』です。お楽しみに!)
撮影/角守裕二 取材・文/石丸久美子 イラスト/浅生ハルミン