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最近増えている「過敏性腸症候群」や「潰瘍性大腸炎」ってどんな病気?

正岡建洋さん

正岡建洋さん

日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会各指導医。慶應義塾大学医学部 内科学(消化器)専任講師、保険医長を務める

便秘や下痢をはじめ、何らかの不調を 感じている人は、

こんな病気かも!?

「臨床の現場でも、便秘や下痢をはじめ、大腸を取り巻く不調を訴える人が増えている印象です。特に最近は、検査しても異常がないのに、下痢や便秘、それらが交互に訪れる”過敏性腸症候群(IBS)”、腸壁に炎症が起きる”潰瘍性大腸炎”といった腸の病気も増えています」と正岡建洋先生。

 

 

 

病気-1

過敏性腸症候群

「過敏性腸症候群(IBS)」とは、腸に病気(大腸がんや腸炎)が見つからないのに、便通の異常、腹部の痛みや不快な症状が続く状態を指します。症状には下痢型、便秘型、その混合型があり、こうした状態が1カ月に4回以上起き、3カ月以上続くとIBSと診断されます。もともとは緊張すると下痢をしやすい程度だったものが、ストレスと下痢がリンクしてしまい、悪循環に陥るのが”ストレス型”。電車に乗ると必ず便意をもよおすのもその一例です。

 

ほかにも、食事直後に胆汁が原因の下痢を起こす”胆汁性下痢型”、腸の形から、運動不足になると便秘や下痢になる”腸管形態型”があります。治療の基本は、症状をやわらげる投薬療法と、食事や生活の改善。ストレス型の場合は、「体質だから仕方ない」と前向きに受け入れると、不思議に改善するケースもあります。

 

 

 

病気-2

潰瘍性大腸炎

大腸の粘膜にただれや潰瘍ができる、炎症性の疾患です。症状は下痢や血便、腹痛などで、重症になると発熱、体重減少、貧血などの全身症状も。合併症として関節や目の痛み、肝機能障害などが起こることもあります。原因はまだはっきりわかっておらず、腸内細菌の関与や自己免疫反応の異常などが考えられています。疑いがある場合は、感染症の鑑別診断、X線や内視鏡での大腸検査、生検などで病理診断を行います。治療は腸の炎症を抑える薬などで症状をコントロールすることが中心で、近年、新しい薬の導入が進んでいます。似た病気に「クローン病」があり、これは大腸に限らず、消化管のあらゆるところに炎症が起こるのが特徴です。

 

病気-3

大腸がん

大腸がんには、腺腫という良性のポリープががん化するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあり、日本人はS状結腸と直腸にできやすい傾向が。早期の段階では自覚症状はほとんどなく、進行すると、血便、下痢や便秘を繰り返す、便が細い、残便感がある、腹痛、貧血などが現れます。早期発見、早期治療が重要なので、まずは市区町村で行われる定期検診を受けること。もしも要再検査の結果が出たら、内視鏡検査などできちんと精密検査を受けましょう。日頃から大腸の環境を整えておくことも大切です。

 

 

 

次回は、慢性的な便秘の場合は要注意! 大腸憩室症や直腸膣壁弛緩症などについてご紹介します。

 

イラスト/ミック・イタヤ 取材・文/山村浩子

 

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