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コロナ禍で考え事が続いて眠れない人も。よい睡眠を導くカギは?

花王ヘルスケアフォーラムで、「コロナ禍における睡眠の質」についての発表がありました。アンケートによると、なんと約6割の人が睡眠の質が悪いと回答したそうです。中でも、低下の原因に「不安やストレス、考え事が続いてしまう」と答えた人が半数以上。皆さんも思いあたることはありませんか?

良質な睡眠は健康や免疫力維持に欠かせません。とくにウィズコロナ時代には免疫力維持のためにも、しっかりといい睡眠を取りたいですね。しっかり眠るために、必要なことがあるそうです。

 

よい睡眠を促すためには、「深部体温を低下させる」ことが重要

国立精神・神経医療研究センター 栗山健一先生によると、睡眠には「体温調節」が密接に関わっているとのこと。

 

私たちは、目覚めると深部体温(脳温)が徐々に高くなり、寝る前まで上がります。目覚めてから約14時間後に深部体温が下がり始め、眠気がやってきます。実は、これが眠ることの意味。脳がオーバーヒートしないように、人間は眠ることで脳の温度を下げているのです。

 

そしてもうひとつ。眠るタイミングで交感神経(緊張)よりも副交感神経(リラックス)が優位になっていることがよい睡眠の条件。副交感神経が優位になるには、体温が低下していく状態にする必要があります。最もわかりやすいのは入浴。お風呂で一旦体温を上げると、お風呂上がりで徐々に体温が下がりますよね。

 

栗山先生より、入浴による睡眠改善効果のグラフが示されました。

Mishima Y, et al. Am. J. Geriatr. Psychiatry. 2005(改変)

 

「基準夜」というのは入浴をしないで眠った場合。寝付くまでの時間が10分近く長くなっているのがわかります。入浴をすることで深部体温が一旦上がり、その後急激に下がるため、入眠までの時間が早くなるのだそうです。

 

深部体温を下げるカギ「放熱」❶目の周りを温める

放熱とは、末梢の血管、つまり手足から熱を逃がすこと。体内の温度が上がると、血管が拡張され、末端まで血液が流れます。すると血液により運ばれた熱が放散される(そして深部体温が下がる)というわけです。冷え性で手足が冷たい人は寝つきが悪い、というのは放熱がうまくできないからなのですね。赤ちゃんも眠くなると手足が熱くなりますよね。

 

放熱を促すには、まずは深部体温を上げること。先ほどもご紹介しましたが、入浴は効果的です。そしてもうひとつ、「目の周りを温める」ことが効果的だとわかりました。

 

以下のサーモグラフィー画像は、眼の周りを温めたときの手の皮膚温度変化です。左は温める前、右は温めて20分後の画像。右の方が、手が温まっていることがわかりますね。

ちなみに、温めるのは蒸気温熱がより効果的ということ。なぜなら蒸気を伴う熱の方が熱伝導性が高いのだそうです。以下のサーモグラフィーの画像をみると、一目瞭然! 腰を温めて4時間後、こんなに違いがあるなんてびっくりですね!

 

つまり、眼の周りを蒸気温熱で温めると「放熱」が促進される、というわけです。

深部体温を下げるカギ「放熱」❷炭酸のお風呂に入る

そしてもうひとつ、「放熱」を促すには、「炭酸入りのお風呂に入る」ことで、深部体温を上げること。さら湯での入浴と炭酸入浴をした場合の比較ですが、温まり効果が高いことがわかります。

入浴後、40分後のサーモグラフィー画像でもその効果は明らか。手先も温かさを保っているので、放熱が促されることがわかります。

というわけで、よく眠るには「放熱」がキーワード。蒸気温熱で眼の周りを温め、入浴を習慣にすれば深部体温(脳温)がぐっと下がって、心地よい眠りにつくことができるのです。

 

新しい生活様式における「眠りのための新習慣」にしてみたいですね。

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