慢性的な疲れや暑がりになるのは、更年期の症状だと思って我慢してしまいがち。でも、それは実は「甲状腺の病気」かもしれません。つらいと思ったら、医療機関で早めに相談してみることが大切です。
今回の話を伺った先生
医療法人山内クリニック理事長。日本甲状腺学会専門医、内分泌・甲状腺外科専門医。近著に『これって、「甲状腺の病気」のせいだったの?』(K&M企画室)など
日本人の20人に1人は
甲状腺の病気の可能性が!
甲状腺がどこにあるかご存じですか? 首の喉仏の下にある、蝶の羽を広げたような形をした内分泌腺で、甲状腺ホルモンを分泌しています。
「甲状腺の働きは大きく3つあります。ひとつめは、おもに胎児・小児期の骨や脳神経などの成長・発育。ふたつめは、あらゆる細胞の新陳代謝を促進して、生命維持、脳や胃の活性化、骨量や筋肉量の保持をすること。3つめは、交感神経を優位の状態にして、体温を調整したり、心臓を活性化して心拍数を上げたり、血圧の維持、発汗を促したりすることです」(山内泰介先生)
喉にある小さな臓器ですが、その影響は全身に及び、甲状腺に異常が起こるとさまざまな症状が現れます。
「例えば暑がりで汗かきになったり、逆に冷え症になったり、やる気がでない、イライラなど。一見、更年期の症状に似ていますし、動悸は心臓病? 下痢が続くのは過敏性腸症候群? など、ほかの病気と間違われて発見が遅れ、長年にわたってつらい症状を抱えている場合も少なくありません」
日本で甲状腺の病気にかかっている人は20人に1人。特に中高年の女性に多いので、症状が続くようなら、甲状腺の病気を疑ってみましょう。
甲状腺は首の中にある!
甲状腺は蝶の羽を広げたような形で、片方の羽の大きさは、縦4~6㎝、横1.5~2㎝、厚さ1~1.5㎝。小さく感じますが、内分泌腺では最大の臓器です。
甲状腺ホルモンの働きは大きく3つ
子どもの骨や脳神経の「成長・発育」、全身のあらゆる細胞の「新陳代謝」、体温調整、心臓の活性化など「交感神経を優位にする」働きがあります。
甲状腺の異常で現れる症状をCHECK!
下のチェックリストのような症状はありませんか? チェックがたくさんついたのなら…その多かった項目の甲状腺の病気かも。放置せずに、早めに甲状腺専門医、内分泌内科、耳鼻咽喉科の受診を!
次回は、チェックリストに関連する、甲状腺のおもな病気について解説します。
イラスト/しおたまこ 構成・原文/山村浩子