「老眼ってどういう目の状態のことなの?」「どうして老眼になるの?」… 老眼初心者からベテランまで、意外と知らないOurAge世代あるあるの疑問に、専門医が答えます。
答えてくれたのは
平松 類さん
Rui Hiramatsu
医師、医学博士。昭和大学兼任講師、二本松眼科病院副院長。目の健康YouTube「眼科医平松類チャンネル」は登録者数10万人超え。日々、無料で目の健康情報をアップしている
Q 老眼ってどういう目のこと?
A 近くにピントが合いにくくなる症状です
「私たちが物を見るときは、形や色を“光”としてとらえ、水晶体というレンズで屈折させ、網膜に集めています。その情報が脳に伝わることで物を認識しているのです。
網膜にきちんと光が集まれば、画像ははっきり見えますが、網膜の手前や後ろに焦点が合うと、カメラでいうピンぼけに。この調整は水晶体の厚さを変えることで行っています。
近くを見るときは、水晶体を厚くする必要がありますが、老眼はその力が落ちてピントが合わなくなった状態です」(平松類先生)
●遠くを見るとき
毛様体筋を弛緩させて水晶体を薄くして、網膜にピントを合わせます
●近くを見るとき(正視)
毛様体筋を収縮させて水晶体を厚くすることで、屈折率を変えて網膜にピントを合わせます
●近くを見るとき(老眼)
老化により水晶体が十分にふくらまないので、網膜にピントが合いません。これが老眼の状態です
Q どうして老眼になるの?
A 目の筋肉とレンズ、脳の機能が衰えるから
「遠くや近くにピントを合わせるときには、毛様体筋という筋肉が働いて水晶体の厚みを変えています。特に近くを見るときは、水晶体を厚くするために毛様体筋が収縮します。
老化とともに、この筋肉が衰えたり、水晶体自体の弾力性が低下し、それを脳でうまく処理できなくなることで、近くにピントが合いづらくなるのです」(平松類先生)
●老眼の原因
- ● 毛様体筋の働きが悪くなる
- ● レンズが硬くなる
- ● 脳の処理能力が低下する
毛様体筋、水晶体、情報処理をする脳の老化により、近くにピントが合わなくなるのが老眼です
Q 老眼にならない人もいる?
A 症状の差はありますが、誰でもなります
「平均的には45歳頃から感じる人が多いのですが、年齢だけでなく目の老化度でも発症年齢は変わります。最初に感じるのは、遠くを見て、手元に視線を落としたとき、すぐにはピントが合わなくなることです。このピントスピードが遅くなってきたら、老眼の始まりです。症状の差がありますが、年齢を重ねると誰でもなります」(平松類先生)
●CHECK LIST
こんな症状がひとつでもあったら要注意!
- □ 夕方の薄暗いところで文字が見えにくい
- □ 遠くを見て、近くを見ると、すぐにはピントが合わないことがある
- □ スマホやタブレットを見るとき、よく拡大する
- □ 服のタグやレストランのメニューの文字が見えにくい
- □ 3と6などの数字を読み間違う
- □ 手芸やアイメイクなどの細かい作業がやりにくい
- □ 本や新聞を読むのがおっくうになった
- □ 目が乾燥しやすく、疲れやすくなった
- □ 以前より光がまぶしく感じられる
- □ 近眼用メガネをはずしたほうが、よく見える
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/山村浩子