体のことを考えて、発酵食品を意識して摂る方も増えているのではないでしょうか。中でも甘酒はそのまま飲むだけでなく、砂糖代わりの発酵甘味料として幅広く使えると話題になっています。
「飲む点滴」とも言われ、夏バテのときや二日酔いのときに飲むにもぴったりな甘酒。甘酒には、酒粕(さけかす)由来の「酒粕甘酒」と、米糀(こめこうじ)由来の「糀甘酒」の2種類があります。アルコールが入っておらず、幅広い年代で飲むことができる糀甘酒は、体にいいことがたくさんあるのだそう。そんな糀甘酒が持つ驚きのパワーについて、東京農業大学教授の前橋健二先生に教えていただきました。
◆糀甘酒が持つ3つのパワー
●免疫力アップ
「栄養価の高い甘酒は、糖分やアミノ酸をはじめ、ビタミンB群ほか数多くのビタミン類が含まれています」と前橋先生。甘酒には体力回復に必要な栄養が豊富で、主成分であるこうじが腸内環境を整える食物繊維も豊富に含まれているため、免疫力の向上が期待できるのだそう。
●疲労回復効果
「糀甘酒の甘みのもとになっているのは、こうじが発酵する際に生まれるブドウ糖。これを摂取することで脳に栄養が供給され、脳が活性化されたり、疲労回復につながったりします」(前橋先生)。
●中性脂肪を燃焼させる
こうじに含まれる成分が中性脂肪を燃焼させる働きがあるとされています。また糀甘酒は発酵により、アミノ酸が一本の鎖状につながったペプチドができます。「甘酒の原料である米のタンパク質からできたペプチドは、肥満抑制につながる効果があると言われています」(前橋先生)
免疫力アップや疲労回復、肥満抑制など、今すぐ飲みたくなるパワーがいっぱいですね!普段から飲みたいけれど難しいという人には、調味料代わりに使って食生活に取り入れるのもおすすめなのだそう。そこで、料理研究家のあまこようこ先生に、糀甘酒を調味料代わりに使うポイントを教えていただきました。
◆糀甘酒を調味料代わりに上手に活用しよう!
●砂糖と置き換える
しっかりとした甘みのある糀甘酒は、砂糖と置き換えて使えるのだそう。砂糖代わりに使うことで、糖質も抑えられるとか!「同量の砂糖と比べて糖質が8割も少ない甘酒。発酵甘味料として砂糖と置き換えて使えば、自然と発酵食品を取り入れられて健康にもいいですよ」(あまこ先生)。
●食材を漬け込む
糀甘酒は甘みを加えるだけでなく、肉や魚を柔らかくしてくれる効果も。「糀甘酒に含まれる糖には保湿効果があるため、肉や魚を漬け込むと水分を閉じ込めてふっくら柔らかい仕上がりにしてくれます」(あまこ先生)。
●味が決まる黄金比を活用
「“甘酒2:しょうゆ1”の黄金比で使うと、簡単に味が決まるし、調味料が少なくて済むので手軽な時短料理ができます」(あまこ先生)。日本人になじみのある甘辛料理が簡単に作れるのはありがたいですね!
◆砂糖を甘酒に変えるだけ!超簡単レシピをご紹介!
それでは具体的に、普段の食卓でも活用しやすいレシピをご紹介します!
●ジューシー照り焼きチキン
【材料(2人分)】
サラダ油⋯適量
鶏もも肉⋯1枚
糀甘酒⋯大さじ2
しょうゆ⋯大さじ1
ベビーリーフ⋯適量
【作り方】
①フライパンにサラダ油を入れて中火で熱し、鶏肉を皮目から焼く。焼き色がついたら裏返して焼き、鶏肉に火を通す。
②ペーパータオルで油を拭き取り、甘酒、しょうゆを加え、煮絡める。
③②を食べやすい大きさに切って器に盛り、ベビーリーフを添える。
●ふわとろ親子丼
【材料(2人分)】
鶏むね肉⋯小1枚
玉ねぎ⋯1/2個
三つ葉⋯2本
(a)糀甘酒⋯大さじ4
(a)水⋯大さじ2
(a)しょうゆ⋯大さじ2
卵⋯3個
温かいご飯⋯どんぶり2杯分
【作り方】
①鶏肉は2cm角に切る。玉ねぎは薄切りにする。三つ葉は長さ2cmに切る。
②フライパンに鶏肉、玉ねぎ、(a)を入れて火にかける。煮立ったら、鶏肉に火が通るまで4分程煮る。
③強火にして卵を溶いて回し入れ、半熟になったら火を止める。
④ご飯をどんぶりに盛り、③を乗せ、三つ葉を散らす。
●例えばこちらの甘酒がおすすめ!
どちらも今日のごはんに取り入れやすいメニューですね。例えばこちらの糀甘酒は米糀たっぷりでサラッとしているので、料理に活用しやすいのでおすすめです。
米糀の量が通常の甘酒の1.2倍。糀の粒を残し、糀の甘みを感じられる味わいに仕上げた甘酒。無塩タイプなのでサラッとして飲みやすい。プラス糀 糀甘酒LL 糀リッチ 粒 1000㎖ ¥582※編集部調べ(マルコメ)
「なんだか最近疲れやすい」「夏に向けてダイエットしたい」という方は、甘酒を飲んだり料理に活用して、体を整えていきましょう!
東京農業大学 応用生物科学部醸造科学科教授
前橋健二教授
日本の調味料研究の第一人者。東京農業大学応用生物科学部醸造科学助手、講師、准教授を経て、2016年より現職。2003年には、米国モネル科学感覚研究所にて、味覚遺伝子の研究に従事。
フードコーディネーター・料理研究家
あまこようこ先生
大阪あべの辻調理師専門学校卒業後、飲食店勤務を経てカフェを開店。上京後、料理研究家のアシスタントを務めたのちに独立。数多くのテレビ番組や雑誌で、おいしく、楽しく、華やかに!をモットーに、メディア映えするレシピを提案。
◆資料提供/マルコメ
構成・文/倉澤真由美