前回、マラソン大会へのエントリー方法をご紹介しましたが、その後エントリーしてからこういう場合はどうなるの?というご質問を数点いただきました。
確かに、経験がないとイメージがつきにくい部分はあるのかもしれません。考えてみれば、私もそうでした。
そこで、今回はマラソン大会にエントリーした後、例えば、なにを準備すればいいのか、当日はどうするのか、などを時系列でお伝えしてみようと思います。
もちろん、大会によって違うことは多いですし、あくまで私の経験ですので、人によって判断が違う点もあると思います。参考としてもらえたらうれしいです。
マラソン大会にエントリーしたらまず確認
まず、大会要項などでナンバーカード(ビブス、ゼッケン)、タイム測定のためにシューズにつけるチップ、参加賞の引換券などの受け取りについて確認しましょう。
ビブスとチップがなければ当日出走することはできません。
大会によって、前日までに事前送付してくれるタイプと、前日もしくは当日に受け取るタイプがあります。
事前送付の場合は、基本的には忘れると出走できませんので注意が必要です。また、前日や当日に引き換えの場合は可能な時間が決まっていることがほとんどですので、出走前に余裕をもって受け取れるように、移動手段や会場へのアクセスなどシミュレーションしておくとよいでしょう。
なお、大きな大会になると、前日引き換え期間にエキスポ(その大会についてスポンサー企業などがブースを出すようなイベント)を開催していることもあります。いろいろな新製品を試せたり、エキスポ限定品を売っていたりと楽しいものですが、翌日のレース前に疲れすぎないように気を付けましょうね。
現地受け取りの場合の注意
上記にも書きましたが、引き換え時間が決まっている場合が多いので、せっかく出向いても受け取れなかったなどということがないように、日時はしっかり確認してください。
さらに、提出必須の書類や、身分証明の提示を求められるケースもありますので、会場に出向く前に何が必要かも確認するようにしましょう。
参考までに、私の知り合いのお話をしますね。
彼女は、身分証明書としていつも運転免許証を使用していました。ある時名古屋ウィメンズマラソンにエントリーし、いつも通り引き換えようとしたところ、女性だけの大会という理由で、なんと運転免許証では受け付けられないと言われてしまったのです。
私もその時初めて知ったのですが、健康保険証には性別の記載があるけれど、運転免許証には性別の記載がないのですね。つまり、性別の証明ができなかったわけです。
その注意は大会要項にもしっかり書かれていたようなのですが、つい確認をせずに行ってしまったのだそうです。
こんな時、取りに帰ることができる距離であればいいのですが、遠方への遠征の場合はそもそもそれもできなかったりしますから、しっかり必要なものを準備しておきましょう。
コース図でイメージを膨らませよう
エントリーしたら、大会の公式サイトなどで事前にコースを確認しておきましょう。これは、走るイメージを作るためもありますが、携行品を考えるうえでもポイントになります。
5kmや10kmであれば気にしなくてよいですが、一般的に体に蓄えられているグリコーゲンで走れるのはハーフの距離が限界だといわれています。途中でエネルギー補給をしないと、悪くすると低血糖状態であるハンガーノックを起こしてしまうこともあるので、途中でどのようなエイドが設置されているか確認しておくのです。
エイドとは、コース上に設置された、食べ物やドリンクを提供する場所のことです。水はどのエイドでも準備されていますが、食べ物はその大会によって違います。さらには、人にもよるのですが、走っている間は胃の消化能力は落ちます。地方の大会などだと、その土地の特産品などを並べていたりすることもあり楽しみでもあるのですが、固形物が多いなどの場合は受け付けなかったりすることもあるので、提供される内容によっては、すぐに吸収されるエネルギージェルを1つか2つ持っておくと安心です。
ハンガーノックを起こすと、最悪の場合はリタイアする羽目になってしまうこともあります。お腹が空いたと自覚してからでは遅いこともあるので、適正なエネルギー補給ができるように考えておくとよいですね。
また、コース図には高低差のデータなども一緒に公開されていることもあります。ここで上り坂があるんだな、ここまで頑張ったら下りだな、などイメージしておくと、より安心でしょう。
こんなことも準備しておこう
荷物預けがある場合、着替えはできても走り終わってシャワーを浴びるなどできないことも多いです。汗拭きシートなど準備しておくと気持ちよく着替えられます。そのほか、濡れたウェアを入れるビニール袋や日焼け止めなども、当日までに準備しておきたいですね。
当日のウェアについては、シューズなどは事前に試し履きをすると思いますが、それ以外のウェアやグッズも、大会までに使用感を確認しておくとよいですね。例えば、Tシャツの素材が硬くて腕にこすれるとか、ウェストポーチが揺れて走りにくいとか、レースではちょっとした違和感がメンタルに響きます。
特に初めて使うものは、事前にチェックしてならしておくことをおすすめします。
当日、朝起きてから会場入りまで
推奨起床時間は、スタート時間の3~4時間前です。これは、食事をスタート時刻の2~3時間前にとると、ちょうど走っている際のエネルギー源になるといわれているからです。起きてすぐは食べられないという人もいるでしょうから、ちょっぴり早起きするつもりで、前夜は早めに寝てしっかり睡眠をとりましょう。
朝食は、人にもよりますが、できる限り胃に負担がかかるものは避けたほうがいいと思います。おにぎりやカステラのような消化のよいスイーツ、おもちなど炭水化物中心がおすすめです。ちなみに私はこれから消費するんだからOKと、いつもなら1個で我慢するシュークリーム(大好物)を2個食べたり炭水化物祭りをしたりします。(これが至福)
だいたいの大会では、会場に何時までに来いという指定がされていることが多いです。でも、そもそも移動の電車なども混みますし、特に女性トイレは駅のトイレから激込みで長蛇の列です。指定の時間よりも少し余裕をもって到着したいものです。ただ、あまりに早く行き過ぎると、外で長時間待つことになり体が冷えてしまうケースもありますので(経験あり)、個人的にはスタート時間の1時間半から2時間くらい前が適正かなと思っています。
あと、荷物預けのサービスがある場合、こちらも預けられる時間が指定されていることが多いです。
トイレ待ちの時間、(簡易更衣室がある場合)着替えて荷物を預ける時間などを、上記の時間内で済ませられるかを考えておき、必要なら少し早めに行くなど調整しましょう。
なお、私は基本的に、そのまま走れる格好の上にジャケットと巻きスカートを着て向かい、早めに荷物を預けてしまうことがほとんどです。ただし、一度預けてしまうと、あれを出し忘れた!と思ってもなかなか再度出してもらうことが難しかったりします。寒くても上着を出せないなど、焦って預けて後悔しないように、必要なものを一つにまとめておくなど工夫しておくといいですね。
特にナンバーカードやチップは荷物に入れて安心してしまいやすいので、可能なら前日にウェアやシューズにつけておくと安心です。
いよいよスタート、注意したいことは?
まず、とにかく自分のペースを守りましょう。大会は早い人や遅い人が混合なのでスタート直後から早い人も多く、つられてついスピードが上がってしまいがちですが、慣れていない高スピードでついていこうとするとすぐに足が売り切れてしまいます。
そういう意味では、一緒にエントリーしたお友達とも、それぞれのペースで走るほうがよいと思います。どちらかがペーサー的な形で、もう一方にあわせて伴走できるなら問題ありませんが、人のペースにあわせる状態はより疲れやすいので、慣れていないうちは自分のペースで走るほうが楽しめると思いますし、自分がどのくらいで走れるものなのかもよくわかると思います。
また、できる限り細かくエイドで水分を飲むようにするとよいですね。スポーツドリンクだとなおよしですが、気を付けたいのが「少しずつ」ということです。上にも書きましたが、走っている最中は消化能力など内臓機能が落ちます。一気に大量に飲むとむしろおなかにたまって苦しくなったりするので、ちょっとずつ、回数多く、を心がけましょう。
慣れてくれば、自分はこの距離でこのくらい飲めば大丈夫、とわかってくるものですが、初エントリーなら全部のエイドで飲むくらいの勢いでOK。私も初の大会の際には、すべてのエイドで水とスポーツドリンクを一口ずつ飲み、おかげで無事に完走できました。
ジェルを持ってきた人は、お腹が空いたと感じる前に補給することも大事です。事前に何㎞になったら飲む、とあらかじめ決めておくとスムーズだと思います。
最後に「マラソン大会を歩いてはいけない」と思っている人が結構いますが、歩いても止まっても咎める人はいません。もちろん苦しくなったらすぐに歩くことを続けてしまうと、だんだん走ることが億劫になってしまったりもするのですが、走り続けなければと思って無理することもよくありません。
初めての大会では、時間内に完走できれば充分です。足が疲れてきたら、ちょっと止まってストレッチするなどして、無理せず楽しく完走を目指してくださいね。応援しています!