今年は、電力不足で節電要請や、電気代の値上げなどエアコンの使い方にも工夫をしたいところ。まだまだ続きそうな残暑を快適に乗り切りたいですね。
◆暑いと「集中力低下」「攻撃的になる」といった影響が
人は暑いと不快に感じるだけでなく、さまざまな悪影響もあるのだそう。そこで、暑さによる影響について、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授の碓井真史先生に教えていただきました。
「人は一般的に、22度が一番快適に感じると言われています。25度くらいから快適とは言えなくなってきますが、工夫次第で乗り切ることができます。心理学の観点から問題視する温度の分岐点は、30度。30度を超えたあたりから、工夫をしても心理的・行動的な問題が起こる可能性があると考えられます」(碓井先生)。
暑いと、イライラや怒りといった攻撃的な感情が生まれやすくなるそう。また、やる気が下がる、元気がない、集中力が下がるといった影響も出てきます。
そんな時に大切なのは、冷たさや清涼感を感じる工夫をすることなのだとか。「冷たさや清涼感を感じて体がさわやかになることは、心がさわやかになることにつながります。心理学的にも、メンタルにポジティブな影響をもたらすと考えられています。そのため、さわやかな状態を保つことはとても大切です」(碓井先生)。
◆暑いときに重要なのは心身のさわやかさ。人が涼しさを感じるメカニズムとは。
そこで、冷感研究のスペシャリストであるマンダムの木村彩子さんに、涼しさを感じるメカニズムと、簡単にできるクールハックについて教えていただきました。
まずは、そもそも人はどのように涼しさを感じているのかについて、うがかったみました。
●肌の温度を下げる
「肌の温度を下げるには、“熱交換”という方法があります。熱は温度が高いところから低いところに流れる性質があります。水を浴びる、風を受ける、冷たいものに触れるなどの方法で、肌の熱を逃がすことができます」(木村さん)。
また、「気化熱」でも肌の温度を下げることができるのだそう。「液体は蒸発するときに熱が必要になります。その熱を液体の周りから奪うことで、周囲の温度を低下させます。肌に水をミストにしてかけると、蒸発する際に肌の温度を奪うので冷たく感じます」(木村さん)
●清涼成分を取り入れる
「ハッカのスース―する成分は、実際には温度を下げないのに涼しさを感じさせてくれます。強く清涼感を感じさせる成分は、メントール。量が多いほど清涼感が強くなりますが、一定量を超えるとそれ以上は強くなりません。また、メントールの刺激を与えた後に、冷やすなどで肌の温度を下げると、相乗効果が生まれて冷たさがさらに増します」(木村さん)。
◆今日からやってみよう!シーン別クールハック
最後に、毎日の生活の中ですぐ取り入れられるクールハックをご紹介します。ポイントは、暑くなって汗をかく前にやっておくこと。ぜひ試してみてください!
●外出前
冷蔵庫で冷やしたフェイスシートを顔に数秒押し当て、顔を拭いてからメイクをするとひんやり感が。汗でメイクが進まない、といったことを防ぎ、スムーズにメイクできます。
また、家を出る直前に、ひんやり感のあるボディシートやスプレーを使うと、風が当たる度に冷たく感じ、暑い日も快適です。
●外出中
外にいて暑いと感じた時は、ひんやり感のあるボディシートを使って首回りなどを拭きます。そこにハンディファンなどで風を当てると、清涼感がアップ。熱がこもりやすいマスクには、マスク用冷感スプレーをすると、涼しく感じられます。
オフィスなど室内で過ごしている時も、帰宅する際には外出前と同様に、ひんやり感のあるボディシートやスプレーを使っておくと、帰り道も快適です。
●帰宅後
夏も湯船に浸かってリラックスしたいもの。お風呂にミントやハッカ油、もしくは夏用入浴剤を入れるとスーッとして気持ちいい!
●家で過ごす時
エアコンの温度を下げるほどではないけれど、ちょっと暑さを感じる…。そんな時は、メントール配合のボディウォーターをつけることで、涼しく感じられます。
まだまだ暑い日が続くと予想されるので、できるだけ快適に過ごせるよう、工夫していきたいところですね。クールハックを取り入れる際は、室温を温度計でチェックしたり、水分をしっかり摂るなどの熱中症対策を忘れずに行いましょう!
教えてくれたのは
新潟青陵大学大学院 臨床心理学研究科 教授
碓井真史(うすい・まふみ)先生
日本大学大学院文学研究科心理学研究科心理学専攻博士後期課程修了。博士(心理学)。専門は社会心理学。NHK「あさイチ」「支店論点」「チコちゃんに叱られる」、フジテレビ「めざまし8」、読売テレビ「情報ライブミヤネ屋」などメディア出演多数。
株式会社マンダム 広報部
木村彩子(きむら・あやこ)さん
冷感研究16年のマンダムが伝授する生活に役立つ「クールハック」について、分かりやすく伝える「マンダム清涼部」の部長として活動中。
◆資料提供/マンダム
構成・文/倉澤真由美