座って行う「めまい改善訓練」を実践!
簡単な動きですが、1ヵ月で7割以上の人が改善する効果抜群&最新版の前庭リハビリ。座って行う「めまい改善訓練(前庭リハビリ)」の方法を紹介します。
まずはルールをチェック!
訓練のルール
1:毎日続けよう/体調が悪いときは回数を減らしてもいいので、毎日続けましょう。
2:慣れてきたら回数を増やそう/1日1回から始めて、最終的には1日3回を目指します。
3:元気よく声を出して行おう/「いち! に!」と声を出すことでモチベーションがアップ。
4:苦手な訓練こそ繰り返し行おう/苦手な動きも繰り返すことで克服できます。
5:前向きな気持ちで行おう/「めまいに負けない!」という気持ちが大事!
6:不安なときは医師に相談を/症状が重い場合、原因がわからないときは必ず医師に相談を。
あなたのめまいはどのタイプ?
めまいの症状には大きくa.b.c.d.eの5タイプがあります。それぞれに特に効果的な前庭リハビリを紹介します。これらを中心に行うといいでしょう。
タイプ別おすすめの前庭リハビリ
aタイプ:「速い横」「ふり返る」「上下」
bタイプ:「速い横」「ふり返る」「上下」
cタイプ:「ふり返る」「上下」
dタイプ:「ふり返る」「上下」
eタイプ:変動する難聴が落ち着き、ふらつきが残る場合は「速い横」「ふり返る」
座って行う前庭リハビリの基本姿勢
安定感のある、背もたれのある椅子を用意。そこに深く座り、背すじをしっかり伸ばします。両足は軽く開き、足裏を床にしっかりつけます。
1.「速い横」 顔を動かさずに目だけを動かす
前に伸ばした両手の親指の爪を、交互に見るトレーニングです。頭は動かさずに目だけを動かすことで、耳の代わりに目(視覚)を活用する訓練になります。
① 両腕を肩の高さくらいで体の正面に伸ばし、肩幅より少し広めに開きます。
② 手を握り、親指を立てます。
③ 頭は動かさずに、目だけを動かし、まずは右手の親指の爪を見ます。
④ 続いて左手の親指の爪を見ます。③→④を「いち! に!」と大きな声で数えながら、1秒間に1回数えるリズムで、20回繰り返します。
ポイント:必ず右から行います。そして声を出して行いましょう。
これはNG!:視線と一緒に頭を動かしてしまったり、左右の手の高さが揃っていないのもNGです。
こんな症状を改善:横書きの文字を読むのがつらい、急に左右に視線を変えるとクラッとする。
2.「ふり返る」 30度横から親指の爪を見る
片手を前に伸ばし、立てた親指の爪から目を離さずに、顔を30度横に回します。顔を回しても親指の爪から目を離さないようにします。苦手な振り返り動作を克服する訓練です。
① 右腕を肩の高さくらいで体の正面に伸ばし、手を握って親指を立てます。
② 顔はまっすぐ前を向き、親指の爪を見ます。
③ そのまま、視線を親指から離さないようにして、頭だけを30度右に回します。
④ 続いて、左に頭を30度回して同様に。これを大きな声を出しながら、20回繰り返します。
ポイント:視線は爪に固定したまま行います。
これはNG!:視線が離れてしまってはダメです。
こんな症状を改善:車の車庫入れのとき後ろを見る、人に呼ばれてふり返るといった動作でクラッとする。
3.「上下」 上から見たり、下から見上げる動作を強化
前に伸ばした手を動かさずに、頭を後ろ30度に倒し、続いて頭を前に30度倒して、親指の爪を見続けるトレーニングです。頭を上下に動かす動きを強化します。
① 右腕を体の正面に伸ばし、手を握って親指を立て、体の内側に親指を倒します。
② 顔はまっすぐ前を向き、親指の爪を見ます。
③ 視線を爪に固定したまま、頭を30度後ろに倒します。
④ 続いて、爪から目を離さないようにして、頭を30度前に倒します。③→④を「いち! に!」と声を出しながら、20回繰り返します。
ポイント:視線は爪に固定したまま行います。
これはNG!:目も一緒に動いてはダメです。
こんな症状を改善:目薬をさす、うがいをする、顔を洗う、靴紐を結ぶ…など、頭を上下に動かすのがつらい。
これらの前庭リハビリを1日1回を目安に行います。最初はできる範囲でよいので、少しずつ回数を増やし、頭を動かす速度を速くしていきましょう。
【教えていただいた方】
1964年生まれ。横浜市立みなと赤十字病院 めまい・平衡神経科部長。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医、日本めまい平衡医学会専門会員・代議員。北里大学医学部卒業後、国立相模原病院、北里大学耳鼻咽喉科を経て現職。『全国から患者が集まる耳鼻科医の めまい・ふらつきの治し方』(KADOKAWA)など著書多数。
イラスト/内藤しなこ 取材・文/山村浩子