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更年期世代こそ、漢方の知恵を取り入れよう!①/樫出恒代:更年期からの漢方入門(前編)不調は肝と腎のトラブルから?

樫出恒代さん

樫出恒代さん

漢方薬剤師・漢方ライフクリエーター。東京・銀座の漢方カウンセリングルームKaon代表。新潟薬科大学薬学部卒。OurAgeの連載コラムが評判

 

 

 

 

 

今、抱えている体と心の不調は、これまでの生き方の成績表。更年期だから仕方がない、どこに相談したらいいかわからない、と放っておくとこの先の人生にツケが。

漢方は、知らず知らずのうちにしみついてしまった生き方のクセを修正してくれます。更年期からの漢方について樫出さんに教えていただきましょう。

 

漢方①アイキャッチ

人生の更新料を払うつもりで漢方に取り組んでみる

汗がどっと出る、肩がこる、血圧が上がる、めまいや立ちくらみがある、気分にムラがありやる気が出ない、食べるとすぐに眠くなるのに夜はよく眠れない…OurAge世代の女性が抱える数々の体の悩み。

「更年期世代に見られるこれらの症状は、女性ホルモンが減ることでも起こりますが、この世代特有のバックグラウンドの変化も大きな原因。40代後半以降は、子どもの受験や就職・結婚、親の介護、仕事をしていればその責任などでバックグラウンドがぐちゃぐちゃになりがちです。疲労困憊や気の遣いすぎも、体調を狂わせてしまうのです」と樫出恒代さん。

 

そんなバックグラウンドがぐちゃぐちゃになりがちな更年期世代におすすめなのが漢方だといいます。漢方では体の機能をチェックする"五行"というものさしがあり、肝・心・脾・肺・腎の5つで機能の現状を表します。

 

更年期の不調はなぜ起こる?

多くの女性は肝と腎の機能がダウン

 

漢方の"五行"は、体の機能や役割、臓腑、部位を大きく分けた生きるための柱。バランスよく働けば健康ですが、弱まると下のような不調が。更年期世代の女性は"肝"と"腎"の柱にトラブルが起こりがちです。

更年期からの漢方_五行

:肩コリ(右肩)、イライラ、じんましん、眼精疲労、不眠、アレルギー

:動悸、息切れ、立ちくらみ

:食欲不振、痩せすぎ

;息苦しい、鼻炎

:肩コリ(両肩)、うつうつ、疲れやすい、聞こえづらい、冷え、高血圧

 

次ページに続きます。


「五行には、生まれ持った体質も影響しますが、毎日の生活や加齢による体の変化も大きく影響。更年期世代に圧倒的に多いのが、肝の働きが強すぎて熱がこもる"肝熱"と、腎の働きが弱くなる"腎虚"に陥っている女性。肝熱に陥るとイライラしやすくなったり、汗がどっと出る、のぼせ、ほてりなどの症状が。腎虚になると気力や体力が低下し、立ちくらみや耳鳴り、トイレが近くなるなどの症状が出ます。自分がどちらの傾向にあるかを知ることで、対処法がわかるのです」

 

これらの症状を、更年期だから仕方がないと放っておくと、60代以降、不調や病気の引き金になるといいます。
「漢方の基本は"養生"。養生というと栄養をとって休むことと考えがちですが、本来、"生きることを養う"という意味。更年期の期間は、後半生をよりよく生きるために、今の不調としっかり向き合い、自分で自分を養うことを身につける絶好のチャンスです。

 

漢方薬は養生の助けに。しかし養生の本質は毎日自分で体に触れたり、舌の状態をチェックしたりして、自分にしっかり向き合うことです。更年期の"更"は更新の"更"。養生を身につけ、更新料を支払うつもりで漢方薬を取り入れていくと、後半生への更新がうまくいきます」

 

肝熱と腎虚、どちらに陥っているかに気づき、養生を行うと、生まれ変わったように晴れ晴れとした気持ちに。
快適な毎日を過ごせるようになり、これからの自分に自信が持てます。

 

 

 

 

撮影/鈴木康久(千代田スタジオ) イラスト/内藤しなこ 構成・原文/小田ユイコ

 

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