新潟と東京の2拠点での仕事&生活をして、もう25年くらいになる漢方薬剤師・漢方ライフクリエーターの樫出恒代です。
東京の12月は一度も雨が降らず、とにかく乾燥している日々。静電氣もおきやすく、手の先まで乾燥している感じです。反対に新潟の12月は雨と雪ばかりで洗濯物が乾かない。
ということは、身体の「乾き」が少し良くなるのです。
そんな風に地域によっても少し違うけれど、それだけではなく、やはり更年期以降になると
こんな「乾き」に関するお悩みが増えてきます。
スーパーでビニール袋を取りたくても、指先を濡らさないと取れない。
シワが深くなってきたなぁと感じる。
口がやたらに乾く、目も乾く、耳鳴りがする、などなど。
漢方の「乾き」とは、「氣・血・水」の「水」の不足や巡りの悪い状態を指します
漢方では「乾き」のことを「陰虚」と呼んで、身体をめぐる3つの要素「氣・血・水」の「水」が不足したり、巡りが悪くなることをいいます。
じゃあ、お水をたくさん飲めばいいんですよね、ということで解決するか?というとそうではないのですよ。
それは水分をしっかり吸収して、全身に運ぶ力があるかどうかにかかっています。
更年期になってくると、脾〈消化機能〉の力も落ちてきて、漢方では脾胃陰虚という胃腸の力が落ちて、体力も落ち、虚弱になる方が多いのです。
身体のバランスをくずし、肌の乾燥・ほてり・のぼせ・口のかわき、耳鳴り、視力低下、微熱などの症状がでやすくなります。
身体を冷やす「水」が不足することで、いらない熱がさめず、身体に熱が残った状態になるのです、それが「乾き」につながるのです。
身体の「乾き」に悩む人が心掛けたい3点
では、「乾き」の対策として、どんなことをしたらいいのでしょうか。
身体を冷やさない
身体が弱く自分を守るちからが弱くなる傾向があるため、身体を冷やしたり、冷たいものを食べることで内臓、特に胃腸系<脾胃>の働きが悪くなり、身体への潤いが足りなくなる。
「水」を飲みすぎない
このタイプの方は「水」を飲んでも、うまく吸収できないことが多いのですが、喉や口の乾きがあるときは水を飲みたがる傾向が。
その「水」がたまることで、「水毒(漢方的な水たまり状態)」になりむくみ・倦怠感・疲れやすくなり、必要な場所には潤いがなく必要ないところに水がたまってしまうのです。
水分を摂る時は温かいものを、ひと口づつゆっくり飲んでくださいね。
「氣」を補う
「乾き」という症状の裏には、更年期の女性ホルモンの乱れによる氣の減少や、ストレス・過労があります。そのため元氣の元の「氣」を補うことが必要。また、我慢したり、頑張りすぎたりしないで「氣」を減らさないことも大事です。
氣を補う食材
もち米・イモ類・豆類・かぼちゃ・きのこ類・穴子・イワシ・うなぎ・エビ・カツオ・鮭・サバ・タコ・ブリ・マグロ・牛肉・鶏肉・豚肉など。
また、温かいスープなどを摂るようにしましょう。
朝鮮人参・黄耆・大棗・山薬などの生薬、補中益気湯・十全大補湯などの漢方薬などもおすすめです。
「乾き」「ほてり」におすすめの食べもの
「乾き」や「ほてり」が強いときに食べたい食材はこちらです。
「乾き」におすすめの食べもの
黒豆・キクラゲ・百合の根・ほうれん草・アスパラガス・イカ・カニ・牡蠣・ハチミツなど。
「ほてり」が強いときにおすすめの食べもの
ごぼう・なす・きゅうり・ニンジン・あずき・しいたけ・シジミなど。
更年期以降の「乾き」におすすめの漢方薬
「乾き」を改善する漢方薬にはこんなものがあります。
知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
ほてり・口の乾き・寝汗。
特に夕方ころの微熱などに。
杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
目の乾き・視力低下・眼精疲労・老眼・白内障。
耳鳴りなどに。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
痰の切れにくい咳、氣管支炎や喘息。
口の乾き、慢性咽頭炎などに。肺を潤す効果が。
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
下腹部に熱をもつ(痛みや違和感)がある時、排尿痛や残尿感、頻尿、
自律神経失調症、皮膚炎などに。
五苓散(ごれいさん)
口の乾き・のどの乾き・下痢・頭痛・むくみ・吐き気・暑氣あたりなど。
水分代謝を改善し、いらない水を排出する効果が。
双参(そうじん)
胃腸の機能<脾>をアップして、水の吸収をコントロールする。
自律神経の乱れに。深部体温を上げるため冷えによい。
朝鮮人参とエゾウコギを配合。
もうひとつ、漢方薬ではないですが「四川富貴廣EX」という田七人参が主成分の漢方食品があります。血流を良くして、肝-目の働きを助けてくれて疲れにくく、むくみにもよいので、私はこれをもう10年以上、続けています
「乾き」をあきらめず、漢方のちからを借りて、少しづつでも、心地よく過ごせるように。
更年期〜ポスト更年期も
楽しくね!
元氣でね!
注:漢方薬については、漢方専門の医師や薬剤師、漢方アドバイザーなどにご相談・カウンセリングの上お飲みください。
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