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「更年期の手指の痛みや不調」におすすめの漢方とツボ

樫出恒代

樫出恒代

漢方薬剤師・漢方ライフクリエーター。漢方カウンセリングルームKaon代表。Kaon漢方アカデミー代表。新潟薬科大学薬学部卒業後、一人ひとりのこころとからだにていねいに向き合う漢方カウンセリングを提唱。連載の味わいあるイラストは、本人によるもの。
美容家吉川千明氏との共著に「内側からキレイを引き出す 美肌漢方塾」(小学館)
OurAgeインタビュー「信じていなかった漢方の力に救われて、この道を究め続ける薬剤師」はこちら

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更年期に、手指の痛みや動かしにくさなどの不調を感じる人は多いもの。毎朝、小指がカクカクしてつらいという51歳のA子さんもそのひとり。漢方薬剤師の樫出恒代さんは、A子さんに、最初は桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)を、次に温経湯(うんけいとう)を処方。手指の不調改善の助けになる漢方と、それぞれがどんな人に向くかを解説

更年期のA子さんから「毎朝、小指の関節がカクカクってなります」と連絡が

 

漢方薬剤師、漢方ライフクリエーターの樫出恒代です。

 

更年期真っ盛りのスタッフA子さんから、

「先生、朝起きると小指の関節がスムーズに動かず…。
去年だっか一昨年だったか同じ症状があって。
暫く無かったんですが、また数日前から朝、目が覚めるとカクカクってなるんです。
少し摩(さす)ったりしていると起き上がる頃には普段通りに戻って翌朝まで症状は出ず、痛みはありません。
これって何ですか? 漢方、何飲めばいいですか?」

というメッセージが届きました。

 

更年期におきる手指の不調で悩んでいる方は多くいらっしゃいます。

 

更年期に減少してくる女性ホルモン、エストロゲンは、血管を拡張して血流をよくし、関節を柔軟に保って腱や関節を守ってくれるのですが、エストロゲンが急激に減少することで、手指の関節などが腫れて痛みがでたり、動かしにくくなったり、こわばったりするのです。

 

 

A子さんの症状は「ばね指」。更年期にはほかにもさまざまな指の症状が起こります

 

A子さんは51歳。
ちょうど閉経したころにも一度同じような症状があったとのこと。

 

症状を詳しく聞いて動画も見せてもらうと、これは「ばね指」と思いました。

○ばね指

ばね指は、指の付け根の痛みや腫れなどの炎症。曲げた時にバネのようにはね返る動きになる。ばね指は朝方に悪化することが多く、日中は指を使用することで症状が改善することが多い。

更年期の手指の不調

他にも多くみられる手指の症状があります。

 

○ ヘバーデン結節

手の指の第一関節の変形による痛みが出る病氣。こぶができるのが特徴。
間接リウマチとの違いは指に特化した腫れ。
ヘバーデン結節の腫れは骨棘(こつきょく)形成による骨ばった腫れという違いがある。

また、指の第2関節に同じような症状がみられるものを「ブシャール結節」という。

 

○手根管(しゅこんかん)症候群

指先の感覚や手の運動において重要な役割をする正中(せいちゅう)神経が障害される結果、しびれや痛みなどの症状をきたす病気。
手首には“手根管”と呼ばれるトンネル状の形態を示す部分があり、このトンネル内には正中神経や腱などが通っている。

 

それぞれ原因ははっきりしていないのですが、特に更年期やそれ以降に多く症状が出やすく、女性ホルモンのバランスの乱れや血流障害、冷え、自己免疫の異常なども考えられるといわれています。

 

A子さんの舌診で問題を「水毒」と「冷え」と判断。まず水をさばく「桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)」を処方

 

さて、A子さんのばね指について。

 

A子さんの舌をみて舌診すると、かなり水毒(浮腫んでいる状態)と冷えもあったので、漢方薬の温めて水をさばく処方「桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)」を出しました。
これは、冷えがある方、水分代謝が悪く水毒になりやすい方に適した漢方で、手指や手足の痛み、しびれ、関節痛などの症状によい漢方薬です。

 

「水毒」が改善し、「血虚」が強い状態のため「温経湯(うんけいとう)」に変更

 

こちらを3日くらい飲んでみて、また教えてねと伝えました。

その後の報告
「あまり、変わりません。。。」
そして、
「今度は手がほてるんです」とのこと。

 

また、舌診して、水毒は良くなっていて、次の段階にはいった感じ。
[水毒ではなく、血虚の感じが強い]ので、漢方薬は「温経湯(うんけいとう)」に変更。

 

この「温経湯(うんけいとう)」は、身体の奥をあたためて、末端のいらない熱を取る処方。唇が乾いてすぐにリップを塗る人や肌の乾燥、主婦湿疹と呼ばれる手指の荒れにもよいです。血を補い、いらない水はさばき、女性ホルモンのバランスもとる漢方薬。

 

こちらを服用して1〜2日で、「手のほてりが取れてきました^_^」との報告。
そして、ばね指の症状も少し良くなりましたと。
では、そのまま続けてみてね、と伝えました。

 

更年期の手指の不調におすすめの漢方薬。それぞれ、どんな人に向く?

 

他にこんな漢方薬も効果的です。

○桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) +五苓散(ごれいさん)

舌の裏に血管の膨らみがある方[瘀血体質]でむくみがちな方に。
手指の節々がこぶのようなり、痛みがある方などに。

 

○当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

冷房などで冷えて、痛みがでる方に。
血流を促し温めて血を増やす。
手指だけでなく下半身の痛みにも。

 

○疎経活血湯(そけいかっけつとう)

血を増やしめぐらせ、氣も増やす。
[血・氣不足の体質の方]
腰痛持ちの方にもよい。痛み・しびれにも。

 

 

手指の不調におすすめのツボ押し

 

すぐにできるツボ押しは、手指のマッサージよりおすすめです。

 

〇曲池(きょくち)

手指の不調に効くツボ 曲池

肘を曲げた時にできる外側の横じわの端。くぼみの部分。
*肩コリの他、手首の腱鞘炎・胃腸の不調にも。

 

〇手三里(てさんり)

手指の不調に効くツボ 手三里

「曲池」のツボから指3本分手の方向にあるくぼみ。
*腕の使い過ぎなどにも。

 

〇孔最(こうさい)

手指の不調に効くツボ

前腕、手のひら側で肘を曲げてできるしわから親指に向かって指幅3本分のところ。

 

 

更年期には、女性ホルモンの減少、バランスが崩れることで様々な症状がでてきます。

 

でも、自分の漢方的な「証(タイプ)」や弱いところ、例えばむくみやすいとか、冷えやすいとか、疲れやすい、悩みやすい、などを知っていること、氣づくことで、どうすればよいか、どんな漢方薬を取り入れたらいいかがわかってきて、必ず道は開けます。

 

漢方で「更年期」を「幸年期」に!

漢方カウンセリングで、専門家に聞いてもらうこともおすすめです^_^

 

 

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