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「腹診」で自分の体質・体調を知る。お腹を触ってわかる7つのこと

樫出恒代

樫出恒代

漢方薬剤師・漢方ライフクリエーター。漢方カウンセリングルームKaon代表。Kaon漢方アカデミー代表。新潟薬科大学薬学部卒業後、一人ひとりのこころとからだにていねいに向き合う漢方カウンセリングを提唱。連載の味わいあるイラストは、本人によるもの。
美容家吉川千明氏との共著に「内側からキレイを引き出す 美肌漢方塾」(小学館)
OurAgeインタビュー「信じていなかった漢方の力に救われて、この道を究め続ける薬剤師」はこちら

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体質やそのときの体調によって処方が変わるのが漢方薬です。自分のことを知ることが何より大切。とはいえ、どうやってチェックすればいいのでしょう? 漢方薬剤師の樫出恒代さんが、簡単にわかる体調チェック法[腹診]を教えてくださいました。

漢方薬剤師・漢方ライフクリエーターの樫出恒代です。

 

OurAgeのコラムは今回が最終回です。

長い間、お読みいただきありがとうございました。

 

最後だからこそ基本的なこと、大切なこと――。自分を診る漢方の知恵をお伝えしたいと思います。

 

漢方選びのその前に。お腹を触る[腹診]で、自分の体質・体調を知ろう

 

30年以上、漢方カウンセリングを行ってきました。
始めた当時に比べたら、漢方はずっとメジャーになり、ドラッグストアでも買い求められるし、クリニックでの処方も増えてきました。

 

漢方薬を自分で選んでいる方やSNS、ネットの情報で選んでいる方もいらして、それで「漢方が効きました!」という方もいらっしゃる。けれど、「そうでもない」「『漢方薬』って効かないんだ」と思う方も、残念ながらいらっしゃる。

 

「効かなかった」と思った方こそ、触ればわかる[腹診](お腹をさわる診方)を取り入れていただきたいのです^_^

 

 

日本で独自に発達した腹診。日本の漢方の宝です

 

[腹診]とは、日本で独自に発達した診察方法で、江戸時代の医者たちが、長年の経験を積み重ねて作り上げた身体を診る方法。実は世界でも珍しい技術です。

 

中国から伝わった東洋医学を、高温多湿の島国に住む日本人の体質や氣質に合わせて進化させたものが日本の漢方ですが、[腹診]は日本の漢方の大きな宝なのです。
ぜひ、腹診で漢方の醍醐味…つまり

 

自分を診る、
自分で氣づく、
自分で治す

 

を味わってください。
お腹を触るだけで身体と心の声が聴ける[腹診]。やり方は簡単です!

 

記事が続きます

腹診その1 体力の有無を診ます


横になり膝は立てず、お腹を出して、全体を優しく触ります。

 

[腹診]で自分の体質・体調がわかる!|漢方薬剤師 樫出恒代 連載

そして、お腹を全体的に右回りに優しくなでてください。

 

 

触ったときの弾力があるかないかで、体力があるかないかを診ます。程よく弾力があればOKです。

他にも、冷たいと<冷え症>、汗でペタペタしている<氣力の低下>、お腹が張っている感じがあれば、ガスがたまり調子が悪い<便秘や下痢>、また氣が張っている<ストレス>状態とも考えられます。

 

腹診その2 胃腸の調子・ストレスの具合を診ます

みぞおちのところを、指の腹を使い優しく3秒くらい押す。

 

みぞおちのつかえ・胃腸のつかえ感があるときは痛く感じるはず。
胃腸の働きの低下、氣の滞り<ストレス>、くよくよ考えすぎていると考えられます。

 

 

記事が続きます

腹診その3 イライラ度、うつうつ度を診ます

[腹診]で自分の体質・体調がわかる!|漢方薬剤師 樫出恒代 連載

肋骨の下側に手の指先を入れて上のほうに押し上げてみる。

 

そのときに痛くて入らない、入っても苦しい感じ、おえっとなる場合、<胸脇苦満 きょうきょうくまん>があります。
特に右側に感じるときは、イライラ・怒りなどの氣の滞り<ストレス>が溜まっている状態。
左側はウツウツ・氣力低下などが考えられます。

 

腹診その4 胃腸の調子を診ます

[腹診]で自分の体質・体調がわかる!|漢方薬剤師 樫出恒代 連載
みぞおちあたりを手の指で軽くポンポンと叩いてみる。

 

チャポチャポと水の音が聞こえる場合は、<胃内停水 いないていすい>。
胃腸の働きが悪くなり、お腹にいらない水がたまっている状態です。

胃がもたれたり、吐き気がしたり、食欲不振を感じているかもしれません。

 

腹診その5 ストレス度合いを診ます


おへその上や下など周りを優しく触ったときに動悸を感じたら、氣が足りない、またはストレスが溜まっていて、不安や憂鬱な氣持ちになりやすい状態です。

 

腹診その6 血の滞りを診ます

[腹診]で自分の体質・体調がわかる!|漢方薬剤師 樫出恒代 連載
おへその斜め下(指2本分、下)をピンポイントで押します。痛いときは血液の滞り<瘀血 おけつ>がある状態。

 

瘀血になると、肩こり・腰痛・生理痛などの痛みが出やすく、シミやあざが残りやすくなります。

記事が続きます

 

腹診その7 老化度を診ます

[腹診]で自分の体質・体調がわかる!|漢方薬剤師 樫出恒代 連載
へそ下を触って、ふにゃふにゃのマシュマロみたいに指が沈む感触のときは<小腹不仁 しょうふくふじん>。
逆にすごく硬くてガチガチ、手が入らない場合は<小腹拘急 しょうふくこうきゅう>。

 

どちらも腎の力が落ちていると考え、腎虚といわれます。

腎の力は私たちの生命力である「氣」を蓄え、やる氣を出してくれる大切なところ。この力が落ちると老化とも言われます。

 

この状態のときは足腰に力が入らない、元氣が出ない。
冷える、腰痛、夜間尿、物忘れ、耳鳴り、難聴などの症状がでることも。

 

 

毎晩の腹診を習慣にして、早めに養生、漢方を!

 

[腹診]はこのような流れで触ります。寝る前にやってみてください。
習慣になったらバッチリですね!

 

私は寝る前に触っていますが、全部は触り切らずに寝てしまうことも(笑)。
それでも、毎日触っていることで変化に氣づきやすくなります。
大切な人やご家族のお腹も触ってみてくださいね。

 

そして、痛みがある、違和感があるところは、そのままにせずに早めに養生・漢方茶・漢方薬などで治していきましょう。

 

自分の人生は自分で守って楽しんでいく! そう決めて。

 

心もからだも高め安定の人生を。
漢方が、きっと力になります!

 

記事が続きます

 

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