自粛生活がはじまって、かれこれ一年。いろんなエンタメに制限がかけられている生活が続いていますね。
かくいう私の趣味は音楽。しかも吸ったり吐いたりする作業を伴う趣味なだけに(吹奏楽やアンサンブルですね)、なかなか思うような活動ができません。オンラインライブを見たり、サブスクで映画や動画を見るのはもちろん楽しいですが、なんか自分の手を動かして、やってる~っていう実感のあるものないかな~と、思いあぐねていました。
ある日のこと。以前からずっとお付き合いのある「マルマン」(創業101年目の日本の文具メーカー)の方から「シニア層におすすめの新しい趣味として水彩画をご紹介します」というメールが届きました。
どれどれ、と拝見すると「ヴィフアール 水彩画スターターキット」が紹介されています。ほほう~。幼稚園の時に、お絵描き教室通ってたし(古っ)、高校ではブラバン以外に、美術部で油絵もやってた(そういえば)。新しい趣味としては、良いのでは~!!と、さっそく手に入れてみました。
セットはこんな感じで、ホルベインの12色透明水彩絵具セット、ヴィフアール水彩スケッチブック。携帯しやすいバッグの中には、水バケツほか必要にして充分なものが全部入っています。
何を書こうかな~。マルマンさんからいただいたメールには、
「コロナ禍で、なかなか旅行が楽しめない中、旅行先の写真やモチーフを水彩画で楽しむことで、記憶を追体験できるメリットがあります」とある。なるほど。素敵な思い出の追体験、楽しそう。私が旅行先で好きなところといえば、沖縄の島。宮古に石垣、西表・・・・・・ああ、行きたい。そうだ、これにしよう!
宮古島の美しい海で、見つけた貝。
下書きスタート。「丸いな~自然のものと思えないくらい、きれいな曲線だな~柄も複雑で美しい~」でも、ぜんっぜん、きれいに描けない・・・・・・。難しい。シーサーにしなくてよかった~マジで。
下書きがだいたい描けたから、色を塗ってみよ~。この辺の色の絵具でどうかしら。
どれどれ。
シイタケですか?
(黙々と描く私)シイタケを・・・いや貝殻を見つめ続けること、30分強。中学校の美術の授業以来、絵の具と水と筆と格闘し、集中して描いた水彩画がコレ。
・・・・・・何ともいえない作品だが、充実感があってとにかく楽しかったので、もうひとついってみよ~!
今度は、いつかの庭の南天の写真を見ながらスタート。
まずは、デッサン。葉っぱをひとつずつ描いてっと。南天の実はこのくらいの大きさかな~。庭の木は南天だけじゃないから、他の植物もあるし、地面の茶色が見えてるんだけど、奥行き感がでないな~。鉛筆だけだと無理なのかな~、色を塗ってみたらいいのかな~。
そして、完成したのがコレ。かかった時間1時間以上。昼過ぎから始めたのに、ベランダはすでに西日。
これまた何とも言えない作品が完成。とはいえ、対象を見つめて超集中して描いた感じが心地いい。これは、いいストレス解消になるかも!
「いや~楽しかったんですよ~」そんなご報告をマルマンさんにしたところ「せっかく絵を描かれたんなら、このキットを監修された野村重存(のむらしげあり)先生に、お目にかかってみませんか?」という、お誘いが! あの、「プレバト!!」や「趣味悠々」に出演されてた野村先生ですか!?
<絵画レッスンプロ 野村重存先生プロフィール>
1959年 東京生まれ 多摩美術大学大学院修了。現在、多摩美術大学非常勤講師ほか、カルチャースクール、生涯学習講座の水彩画、デッサンなどを中心にした講師や技法書の執筆など絵画レッスンプロとして活動。
TBS「プレバト」をはじめ、TV番組にも多数ご出演中。公式HPはこちら
あれよあれよという間に、ZOOM でお目にかかれる日が決まり、私の駄作がメールで先生のもとへ(恥ずかしい)。
「こんにちは~。今日はよろしくお願いします」と私。お仕事で使われるという素敵なお部屋にいる野村先生が、ZOOMの画面に登場。
「描かれた絵、拝見しました。水彩画の経験者なんですか。なかなか良く描けていると思いますよ」(野村先生)
「ひぇ~ありがとうございます!! 貝殻はシイタケになってしまっているし、南天のほうは、風景画の奥行き感を出すことができなくて、本当に難しかったです」(スージー)
「南天は講座でも良く使います。赤い実はいいのですが葉っぱが難しい。生け花とか単品で書くのならともかく、風景画で描く南天は背景があるので、かなり難しいと思います。でも、葉っぱをひとつひとつ描いて、投げやりになっていないところがいい。丁寧に描かれているところがいいですね。貝殻もそうです。うっかりするとシイタケっぽくなってしまいますが、模様にしっかりと食らいついて描いているところがいいです。」(野村先生)
褒めどころを探してくださってる(涙)。
「今回、貝殻がシイタケになったり(まだ言う)、試行錯誤していて思ったのですが、水彩画は水の使い方がわかると、もっと楽しくなるように思いました。」(スージー)
「水彩画は、絵の具そのもので描くものではないんですよね。油絵とかポスターカラーの絵と違って、絵の具と紙の白さと水が同等の価値で、絵が描かれます。紙の白さを透かして見せることで、きれいな発色が得られる。なおかつ水の溶き具合によって、にじみやぼかし、かすれ。とかそういった表現ができます。単に塗っただけでは、水彩絵の具の良さっていうのは出てこないんですね。
さらに、紙の質でもさまざまな表現ができます。絵の具、紙、水の3つの要素をコントロールしないと絵にならないので、奥が深いですし難しいです」(野村先生)
水彩画の奥深さに、上手に描くための方法がもっと知りたくなってきます。お部屋でできる新しい趣味を探している方。すごく手軽に始められる水彩画がありますよ~。
今回のように思い出の写真を見て描いたり、身近なところにある植物を描いたりすると、学生時代以来絵筆を握っていなくても、たとえ貝殻がシイタケになっても、楽しい時間が過ごせます。
さてさて、このあと、野村先生から、水彩画の面白さを深く深く理解できる、そして、初心者向けの描くときのコツがわかるお話を、たっぷりとうかがってきました。次回に続きます。