『おしものトラブルを取材して30年近く経ちますが、包み隠さず、おしもの悩みをこんなに語れる日が来ようとは思ってもみませんでした…』そんな書き出しからスタートするのが、
「もう我慢しない!おしもの悩み 40代からの女の選択」
というこの本です。
著者は医療ジャーナリストの増田美加さん。MyAge/OurAgeでも「更年期女性の医療知識アップデート講座」を連載中、女性の医療について30年以上の取材キャリアを持ち、またご自身の乳がん罹患経験を機に、がんについての最新医療情報を積極的に発信なさっています。
子宮頸がんワクチンに関する啓発活動、デンスブレスト(高濃度乳房)に対するマンモグラフィー検査の問題点…今を生きる女性たちが、知らぬ間に被っている不利益について、発信し続ける増田さん。その姿勢に、連載担当の私はいつも尊敬の念をいだいています。そして直接知り合いになると、彼女の明るく、人を惹きつけるキャラクターの魅力的なこと!そんな増田さんが、なんと「おしもの話」を書いた!
おしも=デリケートゾーンの悩みは、今でこそかなり語られるようになってきましたが、ちょっと前まではタブーな話題でした。いや、今でも親しい友人に「最近漏れちゃって…」なんて急に告白したら、ギョッとされそうで不安です。
そんななか、この本はあくまでもわかりやすく、しかも身近なものとして数々の問題点を紹介。だって増田さん自身が、ご自分の
・36歳頃からの過活動膀胱
・40歳頃からの膣萎縮
について書いているのですから!それも
「自宅マンションが見えてくると、急にトイレに行きたくなります。エレベーターを待つ間、立ち止まると我慢できないので歩き回ります」
「外陰部や膣の入り口が乾燥して、かゆみがあったり、硬めのデニムを履くと擦れて痛くて…」
といった、あー、わかるわかる!あるよねー!というリアルな体験を語ってくれています。
増田さんだけでなく、彼女の周囲の友人たちの体験談もふんだんに出てきて、本当に多くの女性たちが“おしも問題”に悩まされている、でもなかなか相談しにくく、正しい治療を受けられていない、という現状が浮き彫りに。悩んでるのは私だけじゃないんだ、私だけが恥ずかしい思いをしているんじゃないんだ、と実感できます。
でも、人生100年時代、まだまだ先も長いというのに、この“おしも問題”を放置しておいていいはずありませんよね。増田さんも、本の中で何度も繰り返します、「『年だから』『恥ずかしいから』…そんな時代はもう終わったのです!」
彼女がそう声を大にして言うのは
GSM(=Genitourinary syndrome of menopause 閉経関連尿路生殖器症候群)
という概念が、ここ1~2年でできたから。長くてわかりにくい言葉なのでGSMで覚えちゃいましょう。ここ、重要!テストに出るところですよ!
GSMとは、閉経前後の女性が悩む尿路、生殖器のさまざまな症状を、包括的にとらえた疾病概念のこと。頻尿、外陰部や膣の乾燥、性交痛など、その症状は多岐にわたります。
GSMという概念ができたおかげで、女性ならだれにも起こることだからもっと悩みを訴えていい、それは改善して当然なこと、という流れに女性医療も変化しているそう。このところ、急速に盛り上がっているフェムテックも、その現象のひとつですね。
この本では、GSMの症状、対処法、また最先端の技術でGSM医療に取り組むドクターたちにも取材。VIO脱毛、膣萎縮解消のためのレーザー治療など、OurAgeで取り上げた際も大きな反響があった最先端治療に、増田さんが自ら体をはってトライするルポも。
監修のドクターは関口由紀先生(泌尿器科)、八田真理子先生(産婦人科)、慶田(けいだ)朋子先生(皮膚科)、喜田(きだ)直江先生(美容婦人科医)と、MyAge/OurAgeでもおなじみの4人の女医たち。長年、女性の心と体に寄り添った医療を提案してきたこのメンバーの登場は、心強いものです。
カバー写真もさりげないので、手に取るのも恥ずかしくない!今、悩んでいる人も、そうでない人も、将来の健康のために知っておくといい、知識と情報がつまっている1冊です。ぜひご一読を!私もやっぱり、VIO脱毛しようかしら…