瀬戸内国際芸術祭はトリエンナーレ、3年に1度の開催で、2022年で5回目。
瀬戸内海12の島+高松(香川県)+宇野(岡山県)の2つの港周辺で、春・夏・秋の3会期で行われる、現代アートの祭典です。
アートを辿って島々を巡りながら、瀬戸内の美しい風景や自然、島の文化に出会うのは素晴らしい体験で、島ごとに雰囲気が違って実に楽しい!!
のですが、島ホッピングなので、どう行くか、どう回るか、けっこう事前に計画を立てないと、島間の移動方法、島内の適切な移動手段もさまざま。
もちろん、1日で予定していたところを回りきれないとか、ゆっくり滞在したくなったり、その辺は多少予定が変わっても気にしない、というくらいで全然いいのだけれど、情報があると回りやすいと実感!
まずは、必要なのがこの公式ガイド! 地図、アートと解説、食べるところ、宿泊施設、現地までのアクセス、船の航海路と時刻表、島内のレンタカー、レンタバイク、レンタサイクル、駐車場まで、ほんとに親切に網羅しています。
これと、瀬戸内国際芸術祭公式サイトを見て、事前予約が必要なところなどをcheck&申し込み。
あとは、直島の宿を取り、地中美術館、新しく今年、ベネッセアート直島にできた杉本博司ギャラリー「時の回廊」などをネット予約。レンタサイクルはもう予約できなかったので、レンタバイクをキープ。
前日、倉敷泊だったので、そこから茶屋町までタクシー、そこから電車で宇野港へ、と思っていたら、タクシーの運転手さんが、「茶屋町まで2500円だから、3000円で宇野港まで行ってあげるよ~」と。
え?! お言葉に甘えましたが、宇野港に着いたら、メーターは8700円でした。ずーっとしゃべり通しの運転手のおじちゃん、ありがとう~~!!
おかげで早く宇野港に着いたので、さっそく上の淀川テクニック「宇野のチヌ」はじめ、アートを4~5点、見て回ります。
そのあとフェリーで、直島へ。
港に着くと、有名な草間彌生さんの赤かぼちゃはじめ、いろんなアートがお出迎え。
藤本壮介「直島パヴィリオン」は、中にも入れるので、記念撮影したい家族の列ができていました。
港近くのレンタバイク屋さんに荷物を預け(¥500)、50ccのスクーターを借りて、ランチへ。
ちなみに、ランチは移動するうどん職人さんのお店「うどん しろおび」さんが直島に今いるとのことで伺いました。そのもちもちつるりの麺と深く香り高いお出汁に、讃岐うどん大好きな私も感動! ぶっかけもしょうゆも素晴らしかった! とり天はおかわり!(ちなみにここは公式ガイドブックには載っていません。麺がなくなり次第終了)
実際行ってみると、なんとなく距離感がリアルにわかり、ここで予定を修正。
1日目は直島のランチののち地中美術館と宮ノ浦地区。
翌2日目は午前中はホテルのある本村地区。ランチのあと、男木島、女木島を回ることに。
本村地区が思うより作品が多かったので、ここをちゃんと見て、とても観たかった杉本博司ギャラリーはオンラインチケット購入制で予約をしていたけれど、夏にこのギャラリーのあるベネッセアートサイト直島に泊まるので、この時に伺うこととしました。
うどん屋さんに向かうときすでに、かなりの上り坂に、バイクでよかったとしみじみ。
島はけっこう、アップダウンがあるのでした。
うどんやさんに近いアートから回ります。
下道基行 「瀬戸内「」資料館」は、展示ごとに「」の中が変わり、この春のテーマは「鍰造景」で、また夏、秋と内容が変わるそう。こういう発想も面白い!
が、ここの入り口で、入場料をどうするか問題が。
春・夏・秋すべての会期を楽しめる「3シーズンパスポート」と、1会期のみ楽しめる「会期限定パスポート」があるので、いろいろ観るならお得ですよ、との情報。新しく紙でなくスマホ画面がパスポートになるデジタルパスができたというので、今年は、3期制覇を考えていたこともあり、このデジタル「3シーズンパスポート」に即決。
デジタルパスのアプリをすぐさまダウンロード、購入しました。
1~2日なら、1日または2日間のデイチケットでももちろんよし(デイチケットは紙のみ)。
このスマホ画面のチケット表示をタップしてQRコードを各展示入口で読み取ってもらいます。ちょっと楽しい。
効率よく回るには、公式ガイドブックとともに最新情報もわかる公式アプリも是非。
アプリは作品の概要や位置情報が確認できて、天候によるイベント・交通の変更などもアラートで届きます。(公式アプリ「瀬戸内国際芸術祭2022」をダウンロード!)
大竹伸朗「直島銭湯 I ♡湯」へは是非。大竹伸朗さんの作品は、エッジが効いていて、今回全部見てまわるのが、今回の楽しみのひとつ。
銭湯は、16時からは、撮影できませんが入れます。
このあたり、アートが近くに点在していて、回りやすい!
宮ノ浦地区を回ったら、予約していた地中美術館へ。途中の眺めも美しい!!
地中美術館は撮影禁止でした。クロード・モネの部屋も静謐でぐっときましたが、ウォルター・デ・マリアの空間が、空の青と、それの球体へのうつり、部屋全体の気配感がこれまた綺麗でした。
帰りにお約束の、草間彌生さんの赤かぼちゃなど、途中の作品をみんな見て、レンタバイクを返却。
港で送迎の車にピックアップしてもらって、ホテルへ。
ちなみにホテルは、2022年4月にオープンしたての「直島旅館 ろ霞~Roka」
温泉ではありませんが、半露天のお風呂になごみます。
アーティストの作品をロビーや部屋に飾っていて、ギャラリーの役目も果たしています。
2日目は朝から、ホテルのある本村地区を。
家プロジェクトというシリーズ他17か所くらいを徒歩で見て回ります。
妹島和世+西沢立衛/SANAA「直島港ターミナル」
港までこのアートっぷり。
家プロジェクト「はいしゃ」
大竹伸朗 "舌上夢/ボッコン覗" 写真:鈴木研一
印象深かったのは、外観もですが、入ると意外なものが鎮座しています。
この地区は、きんざ、南寺などは予約が必要。
家プロジェクト「護王神社」
杉本博司"Appropriate Proportion" 写真:杉本博司これもとても印象的でした。
「護王神社」という作品は、丘の上にあり、石段を上がって行くルートも。
杉本さんの江之浦測候所などお好きな方は、神社の通路を戻る時に、その先から見える、この瀬戸内の海と空と地面の色のコントラストが美しく、共通の気配を感じとれます。
町の家々にアートが溢れていて、どの道を歩いていても楽しい!
いろいろ観ていたら時間が足りなくなり、直島バーガーとビールをテイクアウト、 海上タクシーで男木島へ。
この海上タクシー、むちゃ便利でした。Horaiというアプリをスマホでダウンロード、前日20時までに予約すると、定期便がないところでも一人¥2500で行ってくれるのです。待ちなし、貸切。今回、お昼時でバーガー屋さんが予想より時間がかかったのですが、連絡したら、少し待っていてくださって助かりました。これで、いちいち高松に戻ってまた別の島にいかなくてもすむので、今回のように午後に2つ島をホッピングしたい時には、早いし快適!!
男木島の港で出迎えてくれるアートは、ジャウメ・プレンザ「男木島の魂」。
屋根の文字が地面に映るのがきれい。
男木島はこじんまり、細い坂道が多く、徒歩でしか回れません。壁アートを見つけると嬉しくなります。
眞壁陸二「路地壁画プロジェクト」(上)
高低差があるので、振り返ると海と島々がきれいに見えたりして、風も気落ちいい!!
そこここに、島の人が坂道でも使える荷押し車「おんば」がアートな感じで置いてあって、これがまた島らしさを醸し出していました。
大岩オスカール「部屋の中の部屋」は90°回転した部屋。壁に座って撮れば違和感満載でよかったなあ。
松本秋則「アキノリウム」では、竹を中心に、オブジェが突然に音を奏で出すのが、なんともかつてない響きで、これも体験してほしい感覚。
眞壁陸二「漣の家」は漁港にあって、ワークショップでアクリル板を重ねていった壁画。人々の多様性を示しているそう。
絶対見たかった、山口啓介「歩く方舟」。これはもう1回、真夏の光の中で見てみたい作品。
もっといくつも見たのですが、でも次回またゆっくり来たいなーと思いつつ、女木島へ。
男木島~女木島~高松はこのフェリーで。帰りは長蛇の列で乗り込むのにひるみましたが、みんな乗れないときは臨時便が出るそう。
女木島では木村崇人「かもめの駐車場」のたくさんのかもめたちがお出迎え!
大川友希「結ぶ家」は秋にかけて作り続ける大作! 古着の布や毛糸でみつあみを編んで、外壁を覆っていくアート。中に入ると、ちょっとチームラボ的視覚の三つ編みラビリンスのよう!!
依田洋一朗「女木島名画座」はマンハッタンの懐かしい劇場を女木島のシアターとしてトランスフォームしていて、懐かしかっこいい!
小学校跡地に、大竹伸朗「女根(めこん)」がものすごい存在感を放っていました。これも必見かも。
五所純子「リサイクルショップ複製遺跡」の下にある、海を眺められる理髪店が気持ちよさそう!!
時間があったら、シャンプー&ブローでもお願いしたい!
もろもろ他にもたくさん観たのですが、アート公開も終わりの時間となり、また先のフェリーで高松へ。
瀬戸内の島、町、それぞれに味があって、アート、自然、景観はどれも新鮮。
また現地の人々と出会ったり、生活を感じるのも貴重な体験。「瀬戸芸」をきっかけにかの地に移り住む人が増えているのもわかる気がしました。
また、夏に、秋に、来てみたいと思える、短くも濃い刺激のある時間でした。よろしれば、是非!
瀬戸内国際芸術祭
春/4月14日-5月18日
夏/8月5日ー9月4日
秋/9月29日ー11月6日