気持ちよく暮らす「生活のしきたり」
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!
ここでは、各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介します。
教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。
このパート【おいしく正しく食べるための「習慣」】では、食べ物をしっかり、そして楽しく食べることに関するしきたり22~43をご紹介します。
今回は、しきたり31:食材は地産地消のものを選んで使いきる、についてです。
●おいしく正しく食べるための「習慣」●
四季があることは、食材にも四季があるということ。四季は身体にも影響があり、身体をスムーズに動かすためにも、四季に合った食べ物を取り入れることが必要です。
食べられればなんでもいいのではなく、四季に合わせた食べ方、食材の選び方を考えましょう。
おいしく、楽しく食べることも大切です。姿勢、 箸の持ち方、食べる順序なども、昔から伝えられた習慣です。これらを守ってこそ、おいしく、そして楽しくいただくことができるのです。
生きること=食べることともいえるわけですから、シッカリ、キチンと選んで、最後まで残さず食べる、これは、なにより大切な家庭のしきたりとしなければならないでしょう。
しきたり31
食材は地産地消のものを選んで使いきる
食事に大切なのは、まずは食材です。野菜、魚、肉、卵などの生鮮、豆腐、納豆、ハム、麵類などの加工、冷凍、レトルト、調理済みなど、すべての食材は口に入れて食べるわけですから、それらは安全・安心なものでなければならないはずです。少し前でしたら、生鮮食材以外も自宅での手作りでした。例えば味噌、漬け物、乾物などは、自宅製造でしたから、安全・安心が手に入っていたのです。安全を手に入れられるのも、当時の食の種類がそう幅広い内容ではありませんでしたから、家で作るのも難しいことではなかったのです。
ところが、いまでは情報が活発に行き交うようになり、世界各地からのおいしいものをはじめ、食材や加工食材までも輸入されるようになりました。世界各地といった遠くから食材が運ばれてきますので、食材を守る意味でも、保存料の添加物が使用されています。輸入食材に使用される保存料・添加物には、安全が確保されているものもありますが、なかには安全性が乏しく、輸出国によっては、安全性など考えられていない食材もあります。
また、その国では許可された保存料・添加物ですが、それはそれぞれの国の基準によるため、輸入国では許可されていない種類の薬剤が使用されていることもあります。例えば、以前に隣国から輸入された冷凍野菜には、多量の不許可農薬が残留していたという事実がありました。このように、食材は、身体に直接取り入れられるため、選ぶときには、慎重に吟味しなければならないのです。
食材の価格については、買う側としては安いにこしたことはありませんが、といって輸出国の事情が大きく影響するのが価格ですから、価格を基準に食材を選ぶことは感心できません。
まずは価格より地産であるかどうかです。地産食材であれば、食材となるべく作物がどのような環境の中で育てられたかの情報を得ることができますし、もし情報がなかったとしても問い合わせることができ、安全性などを確認することもできます。
遠くの輸入食材では、このような安全性の確認はなかなか取りにくいものです。さらに、輸入食材は輸送のため、エネルギーを大量に消費していますので、地産の食材に比べ環境的には問題となることがあります。
地産地消のための食材は賢く選ぶ、選んだ食材は最後までシッカリと使いきる、食べきることが、食材生産を支える意味でも大切なことです。身体にとって、生きるためにも必要不可欠な食材を賢く選ぶのが家庭での食習慣。子どもが小さいときから選ぶ目を持つと、大人になってからも困ることはなく、独立してもすぐに自炊ができるはずです。自炊は生きるためには大切ですので、食材選びの目を子どもに伝えていくことです。
選ぶポイントですが、野菜は切り口を見ます。例えばレタスでは、白くて透き通っているものが新鮮。茶色は時間がたっています。魚は目です。綺麗に澄んでいるものを。養殖と近海の表示にも注目を。肉は産地表示・個体識別番号などの確認を忘れずに。
次回は、しきたり32:基本のだし汁のとり方をおぼえよう、についてご紹介します。