こんにちは、寺社部長の吉田さらさです。
今回は、埼玉県山中にある秘湯、都幾川温泉「旅館とき川」のご紹介です。
こちらはある温泉通の方にこっそり教えてもらった知る人ぞ知る美人の湯。何しろ、一度浸かっただけで、「あれ? 角質が取れたかな」と思うほどお肌がつるつるすべすべになるお湯なのだとか。その理由は日本でも有数のアルカリ性温泉だからです。人の肌はもともと弱酸性で、皮脂汚れがたまると酸性度が強くなります。
しかし、アルカリ性の湯に浸かると、肌がアルカリ性に傾いてすべすべになります。アルカリ性温泉と定義されるのはph8.5以上と決まっており、こちらの湯はそれを大きく上回るph11.3です。アルカリ性温泉は肌当たりが柔らかく、ゆっくり入っていられるため、心身共にリラックスできます。それも美人の湯と呼ばれる理由のひとつかも知れません。
こんなにすごい温泉なのになぜそれほど有名でないのか。
ひとつにはかなり予約が取りにくく、実際に行ったという人が少ないこと。
「旅館」と名がついていますが、現在は旅館としての営業はしておらず、食事つき日帰り温泉施設となっています。昼食と入浴セット、夕食と入浴セットで、それぞれ2組ずつの一日4組。お部屋とお風呂が2つあって、それぞれ4時間の貸し切りになります。そういうわけで、予約が取れたらラッキー。料金は14960円(税込み・2025年1月3日以降の新値段)と少しお高めではありますが、浴衣やアメニティもすべて揃っていて、手ぶらで出かけてプライベートなくつろぎ時間を過ごせるのですから、これほど贅沢な立ち寄り温泉はほかにないかも知れません。
ここが知る人ぞ知る温泉になっているもうひとつの理由は、交通の便があまりよくないことです。電車で行く場合、最寄り駅はJR八高線の明覚。行きのみ、ここまで宿の方がお迎えに来てくださいます。都心からだと乗り換えが多く、2時間半以上かかります。車で行くのもなかなか大変ですが、電車よりは少し楽でしょう。
けれど、東京近郊にもこんな野趣豊かな風景があるんだなと思いながら電車に揺られていくのも、また一興です。
明覚駅から山道を15分ほど走り、ようやく都幾川温泉「旅館とき川」に着きました。訪ねたのは11月中旬。ちょうど紅葉の見ごろに当たりました。
木々に囲まれた建物は趣き深く、いかにも知る人ぞ知る秘湯という雰囲気です。古くからあったかのように見えますが実は案外新しく、温泉が掘り当てられたのは1990年。とある会社の社長さんが別荘を建てようと井戸を掘ったところ、温泉が湧きました。その後旅館として営業しましたが、バブル崩壊で休業。それを現在のオーナーである中野孝昭さんが買い取り、現在のような形で新たに営業を始めたとのことです。
美しい仲居さんに出迎えられ、お部屋に通していただきます。こういう感じのお部屋が二つあり、それぞれに専用の温泉があります。わたしたちは11時の回に行き、昼食を挟んで15時までの滞在となります。
まずはお抹茶でおもてなし。お菓子は柚子風味の羊羹です。こちらのお料理は「柚子会石」で、これから出るさまざまなお料理にも柚子が使われています。
仲居さんが浴衣を持ってきてくださいました。
好きな色柄の浴衣を選び、滞在中はそれを着て過ごします。
食事前にまず温泉。お湯は無色透明、無臭で、噂に聞いた通りのトロトロ。まるでリッチな化粧水のような肌触りです。源泉そのままのかけ流しですが、少しぬるめなので、適温に温めてあります。ゆっくり入っていても湯あたりしなさそうな気持ちのよいお湯でした。食事後、もう一度、入りましょう。
お風呂場には、必要なアメニティがすべてそろっています。
温泉水に浸して使うフェイスマスクもありました。
本日のお料理は「四季のうつろい 初冬会席」。
主に野菜や川魚を使い、柚子で風味をつけた上品なお料理の数々です。
こちらならではの飲み物もいただけます。
右は源泉から湧き出す温泉水を冷やしたもの、左は柚子ジュースです。入浴で火照った体をリフレッシュ。
生麩、こんにゃく、菊などを使った、季節を感じる前菜たち。
どれも少しずつの量なので、「たくさんは食べられないけれどいろいろ食べたい」と思う女性に最適です。
鶏だしと塩だけで作ったというスープが美味しい小鍋。
具はふわふわの鳥つみれと季節の野菜。体の芯からあたたまります。
焼き魚は岩魚。右下はほっこりあたたかい鰻のむし寿司。その隣は口変りの柚子ゼリー。
美味しくいただいたあとは、周辺を少しお散歩してみました。
柚子会席で有名なところなので、建物の回りにもたくさんの柚子の木がありました。
いいお湯につかり、美味しいものをいただいて、極上の時間を過ごせました。
身も心もリラックスし、帰って来てからもお肌つるつる。また季節を変えて行ってみたいですね。
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