更年期の「薄毛」化リスクは、ホームケアで補える!
毎日のお手入れは、髪や頭皮の状態を健やかに保つために不可欠。その要になるのがシャンプーと育毛剤です。それぞれの役割や正しい選び方・使い方を知って、より効率のいい薄毛ケアを習慣に。
お話を教えてくれたのは…
仲西城太郎さん Jotaro Nakanishi
資生堂グローバルイノベーションセンター マネージャー。毛髪科学の基礎・応用研究に専門的に従事する。開発を担当した「ザ・ヘアケア アデノバイタル」のエッセンスは、2011年の発売開始から累計300万本を超える大ヒットとなり、頭皮ケア市場を牽引
伊熊奈美さん Nami Ikuma
1972年生まれ。美容エディター。女性誌編集部の美容担当を経てフリーに。ファッション誌などでヘアのテーマを数多く担当する。毛髪診断士の資格を持ち、大人女性のヘアケアサイトの監修のほか、セミナー講師としても活動中。今回の特集も担当している
シャンプーと育毛剤。薄毛対策は二段構えが基本
代謝や免疫力の低下で肌も頭皮も揺らぎやすい私たち世代。乾燥によるフケやかゆみが出たり、べたついたり。そんな頭皮環境の乱れを整えるのに重要なのが、シャンプーと育毛剤です。
「20〜50代の女性の約7割が、頭皮に何らかの炎症があったり炎症予備軍の状態であることがわかりました。頭皮の炎症反応は毛根にも影響を与え、毛の成長が阻害されてしまいます。シャンプーは、酸化した皮脂や外界からの有害物質など、炎症の原因となる物質を取り去る役目も果たしています」(仲西城太郎さん)
また、40代で感じたボリュームの変化がさらに加速したように感じる人は、「男性型脱毛」と「女性型脱毛(慢性休止期脱毛)」を併発しているかも。
「男性型脱毛は、遺伝的素因と男性ホルモンの作用によって、髪の成長期が短くなり、産毛化する症状です。一方、女性型は、髪が抜けたあとに次の毛が生えるまでの期間が長くなり、本数自体が減少する状態。更年期で女性ホルモンの分泌が減ると、相対的に男性ホルモンの比率が高まり、女性型と男性型が同時に出ることも多いのです」(仲西さん)
これはシャンプーではくい止められないので、やはり育毛剤に頼るべき。
「スキンケアと同じで、今薄毛を感じていなくても、症状が出る前から使いはじめることが大切です」(仲西さん)
シャンプーで頭皮の状態を整え、育毛剤で薄毛にアプローチする、という二段構えのホームケアが基本です。「ただし、かゆみやひりつくような感覚があるときは、シャンプー剤も育毛剤も使わずに、数日お湯だけで頭皮を洗い、回復を待ってから薄毛対策に取り組みましょう」(伊熊奈美さん)
ヘアサイクルが乱れると薄毛が起こる
毛が生まれて抜け落ちるまでのサイクルは通常2~6年。これが乱れると薄毛に。更年期以降の女性は休止期が延びる女性型脱毛、成長期が短縮する男性型脱毛を併発しがち。ただ男性ほど極端に薄くなることはありません。資料協力/資生堂
ホームケアの二本柱を効かせるコツは?
シャンプー
洗うのは1日1回。睡眠中に活発になる成長因子をきちんと働かせるには夜洗ってしっかり乾かし、清潔な頭皮の状態で寝るのが理想。湯船にしっかりつかって温まれば、血行もアップ。
育毛剤
朝夜2回使用。特に夜、髪を洗ったあとは重点的に。頭頂部や生え際に塗布したら、頭をタオルで包み、耳上から頭頂にギューッと持ち上げてパッと離すだけで簡単マッサージに!
イラスト/かくたりかこ 取材・原文/伊熊奈美