ぺしゃ髪やパサ髪の悩みを本気で解決するにはまずその原因を探ることが肝心! 髪が生まれるメカニズムを知れば、対処法が見つかるはず。
教えていただいたのは
長谷部未来さん
Miki Hasebe
ミルボン開発本部研究開発部シニアリサーチャー。お茶の水女子大学大学院ライフサイエンス修士課程卒業。ヘアカラーブランド「オルディーブ」の開発を10年間担当
女性の薄毛は、男性の薄毛とどう違う?
「女性の薄毛の多くは、特定の部位が薄くなるのではなく、全体的に薄くなる“びまん性脱毛症”。毛髪の成長期間が短くなり、全体の髪が細くなってしまい、結果的に抜け毛が増える脱毛症です。
一方、男性型脱毛症の場合は、額の左右の生え際からM字形に後退したり、頭頂部が薄くなったりします。女性でこれらの部分が薄くなる場合は、女性ホルモン量が低下することで相対的に男性ホルモンが優位になっている可能性が。女性ホルモンを補うケアも視野に入れましょう」
ぺしゃ髪、パサ髪になる原因は
ヘアサイクルと血流量の変化
「髪の成長には、一定のサイクルがあります。正常なヘアサイクルは3〜7年。毛母細胞が活発になり、髪が太く長く成長する成長期→毛母細胞の分裂が衰える退行期→脱毛する休止期→成長期…を繰り返しています。
ところが、加齢や頭皮環境の悪化によりヘアサイクルが短くなると、髪の成長が未成熟に。細くてハリがなく、抜けるのも早くなります。また加齢により、頭皮の下の帽状腱膜という膜が引き伸ばされて頭皮が薄く、硬くなることで毛細血管が萎縮し、血流量が低下。こうしたことが原因で健康な髪が生まれなくなり、ぺしゃ髪やパサ髪に」
血流量が低下する原因
毛細血管の血流量が低下すると、毛母細胞に栄養が行き渡らず、毛髪の成長が衰えます
出典:松崎 貴『最新の毛髪科学』フレグランスジャーナル社、pp.1-53(2003)。
ヘアサイクル
髪は、毛乳頭細胞からの指示を受けた毛母細胞が分裂、増殖し、角化したもの。日本人の髪は約10万〜12万本あり、毎日このサイクルを繰り返しています。下でご紹介する図は正常なサイクルの場合
毛乳頭細胞、毛母細胞の働きが活発で毛髪が成長する時期。毛髪全体の約85%。成長期は女性で約3〜7年、男性で約2〜5年
毛乳頭細胞が不活性化し、毛母細胞の働きが弱まる時期。毛髪全体の約5%。退行期の期間は約2〜3週間です
毛髪の成長が完全に休止する時期。毛髪全体の約10%。休止期の期間は約3カ月です
新しい毛髪が生えはじめるのと同時に、古い毛髪を押し上げ、自然脱毛させます
出典:松崎 貴『最新の毛髪科学』フレグランスジャーナル社、pp.1-53(2003)。
イラスト/かくたりかこ 取材・原文/國藤直子(STRIPE) 取材協力&資料提供/ミルボン