【お話を伺った方】
美容業界で活躍して50年以上という、業界の重鎮。大手化粧品メーカーで商品開発、マーケティングなどを担当し、多くのヒット作を手がけたのち、独立。現在は美容コンサルタントとして講演やセミナー、商品開発・美容教育アドバイスなど多方面で活躍。化粧品の基礎から製品化までを研究してきた多くの経験をもとに、スキンケアを中心とした美容全般をわかりやすく解説し、正しい美容情報を発信している。
連載が始まって約2カ月。
シマコの肌はどう変化したか気になりますよね?
実感したことは「肌の感度が高くなった」というのが正しいでしょうか。
前回もお伝えしたように、美容液を1回サボっただけで肌の枯渇感を感じました。
それは、以前と同様に化粧水とクリームを塗っているのに「物足りない感じ」がするんです。つまり、今まではその「物足りなさ」にすら気づいていなかったのだと思います。
まるで、肌細胞がやる気をなくして「まあスキンケアなんて適当でいいんじゃない?(どうせやる気ないんでしょ!)」という感じ。
でも男爵にいろいろとお話を伺い、美容液の面白さに目覚めてスキンケアに取り入れてみたら「そうそう、これが肌のよい状態よ! 忘れないで!」と教えてくれるようになったというか…。
というわけで、まだまだ試したい美容液がいっぱい。今回は、国内ブランドの美容液の魅力をお聞きします。
シマコ:男爵、こんにちは。連載も残すところ2回となりました。
まだお聞きしていなかった、そして絶対にお聞きしたい「国内ブランド」の美容液について教えてください。
やっぱり「国産品のほうが日本人の肌に合っているからよい」といった効果は期待できるのでしょうか?
男爵:「国産=日本人の肌に合う」のは間違いではありませんが、今は、外資系メーカーも研究開発が進んでいますので、アジア向けの商品はアジア人の肌に合うように設計されています。
それは国内外ブランド問わず、もう当たり前のこと。
それよりも国産ブランドの価値は「効果実感が日本人の好みに合う」「長い間ファンに支えられてきた」という点にあります。
シマコ:効果実感というのは、使い心地のようなものでしょうか。
男爵:そうですね。テクスチャーや香り、肌になじませたあとのみずみずしさなど、日本人のライフスタイルや好みを徹底的に研究しているのは、やはり日本のブランドの強みでしょう。
もうひとつ重要なのは、長い間使い続けてくれているお客さまの存在。
愛用者の存在はそこに強いニーズがあることの証明でもあり、ファンの期待に応えるために開発を続けているという点は、やはり国内ブランドの魅力です。
さらに、肌に合わない商品だった場合の相談窓口や返品対応などもしっかりしています。
もちろん外資系メーカーでも対応はしてくれますが、日本のメーカーはそういった「お客さまとの関係性」を積み上げて、商品を磨き続けてきたという歴史があるのです。
いいブランドがたくさんありますから、今回その中から3本を選ぶのに本当に悩みました。
シマコ:確かに、思いつくだけでもたくさんのブランドがありますものね。
今回の3点はかなりの選りすぐり美容液ということですね。
〔上の写真左から:クレ・ド・ポー ボーテ セラムラフェルミサン S n、カバーマーク セルアドバンスト セラム WS、トワニー スキンオーラジェニック〕
◆「最高峰ブランド」の称号にふさわしい名品
クレ・ド・ポー ボーテ
セラムラフェルミサン S n
肌の変化の兆しに着目し、未来の肌までも美しく守る4D*ハリ美容液。瞬時に跳ね返すように弾む生き生きとしたハリを与え、年齢の現れやすいフェイスラインの肌のハリと弾力を積極的にサポート。上質なテクスチャーが心地よく肌を包み込み、手応えのあるスキンケア体験を。
40g ¥36,300(税込)
*美しいフェイスラインの肌へ導くことに加えて、肌表面を整え、見た目からもハリのある印象の肌に導く独自の考え方
男爵:クレ・ド・ポー ボーテは1982年に誕生し、肌細胞研究からスタートしたブランドです。
資生堂のスペシャリストが集まった「クレ・ド・ポー ボーテ研究所」では、最新の知見で独自のテクノロジーや理論を生み出しています。
私はここの研究所の人に開発背景などを聞くことも多いのですが、本当に研究開発に力を入れている印象です。
2011年に発表した「ブレインスキン理論」は「肌には脳と同じように考える力がある」という、肌の情報処理能力に着目した驚きのものでした。その後も「肌には知性がある」という独自理論で、多くのファンに愛される名品を作り続けています。
シマコ:まさに、私が体験したのも(美容液をサボった話)「肌の知性」ですよね!?
◆「母細胞」に着目し、今まで体験したことのないハリ感
カバーマーク
セルアドバンスト セラム WS
美しさを生み出す「母細胞」に着目し、土台から立て直してエイジングで揺らがない肌へ。母細胞を生み出す骨髄幹細胞(MSC)に着目し、良質な母細胞を生み出す力をサポート。さらに3つの成分「ニームリーフエキス」「紅茶エキス」「ナス果実エキス」の働きで良質な細胞を生み出し、表皮環境を整える。濃密なハリで満たし、なめらかでみずみずしい質感へ。
40g ¥14,850(税込)
男爵:カバーマークのルーツは、アザや傷あとなどを隠すファンデーション。皮膚再生についてもしっかり研究されていて、僕が化粧品メーカーにいた時代から注目していたブランドです。
スキンケアにもその知見が生かされていて、2009年に誕生したセルアドバンスト のラインはカバーマークの最高峰スキンケアとして位置づけられています。
セルアドバンスト セラム WSは進化を続けた5代目。「母細胞」を増やすことに着目した美容液で、大阪大学と共同研究した「クスノハガシワエキス」による骨髄幹細胞(MSC)の誘導技術に期待できる美容液です。
ハリが底上げされる感じを楽しんでください。
◆先手ケアがかなうヒアルロン酸系の最先端美容液
トワニー
スキンオーラジェニック
女性の一日、一カ月、一年、一生の美しさのリズムに着目した長年の研究から生まれたのが“先手ケア“という思想。40年以上のヒアルロン酸研究に基づく独自開発成分の誘導体「NAG2.0」配合。NAGとはヒアルロン酸を構成する要素のひとつで、誘導体にしたことで配合量が大幅アップ。肌悩みが増えていく前に、先手のアプローチを。
30ml ¥16,500(税込)
男爵:トワニーはカネボウ化粧品のブランド。カウンセリングで一人一人の「生体リズム」に合った最適なケアを提案してくれる、他にないユニークなアプローチが魅力です。
例えば、たるみが気になるのは50代でも、実は30代に表皮の菲薄化(肌痩せ)が起きているなど、一生のリズムを見ながら先手ケアをしていくというもの。
スキンオーラジェニックはカネボウ化粧品が世界に誇る「ヒアルロン酸研究」の知見をふんだんに取り入れた美容液で、2023年に開発した誘導体「NAG2.0」が高配合されました。
潤い成分が「NAG2.0」を角層深くまで届け、ヒアルロン酸産生効果にも高い効果が。この開発は快挙だと思います。
シマコ:今回挙げていただいた3品からは、なんだか「実力と安心感を備えた魅力」をひしひしと感じます。使ったら肌に褒められそうですね。
次回はいよいよ最終回!「お手頃価格なのに実力派」の美容液をご紹介します。お楽しみに。
取材・文/島田ゆかり イラスト/カケハタリョウ
★コスメ男爵OKABEこと岡部美代治さんの著書『正しく知る・賢く選ぶ 美容成分大全』(ナツメ社)はこちら!