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今日から実行したい美の達人からのメッセージ
著者interview
自分を客観視する俯瞰力こそ
美のスパイラルの入り口
鈴木ハル子さんといえば、30年間外資系化粧品会社のPRとしていつも変わらぬ笑顔ときめ細かな仕事ぶりが、美容業界でつとに有名。定年退職のニュースは衝撃を持って受け止められました。が、ご本人は早くも半年後には初の著書『大人は「近目美人」より「遠目美人」』を上梓。長年業界の第一線で活躍した経験から、目指すべき美しさやご本人が心がけてきたこと、さらにはお手入れ法に至るまで惜しげもなく披露。どうしたら、そのように素敵な年齢の重ね方ができるのか、実際にお目にかかって直接伺ってみることに。
取材当日、10分前に到着したスタッフを笑顔で出迎えてくれたのは、なんとわれわれがお迎えすべき鈴木さんでした(!)。シンプルな濃紺のワンピース姿に笑顔が映えて、まるで女学生のよう。とても定年を迎えた人には見えません。なぜ、そんなにすがすがしくいられるのでしょう?
「それはやはり俯瞰力では? 自分自身を客観的に見つめることができると、ミスをしそうな自分をたしなめたり、くじけそうなときには励ましたり。寄りの目線でなく引きの目線で、自分の立ち居振る舞い、考え方や行動を直視することが、自分らしさの軸や芯をつくり上げるのだと思って努力しています」
俯瞰することを意識すると、周囲へ目配りするゆとりが生まれ、結果的に好循環につながるのだそう。なるほど。「近目美人より遠目美人」とはそういう意味だったのですね。
「俯瞰力は、なりたい自分へ近づくためにも役立ちます」
鈴木さんはPRとしてつねに生き生きとした印象をキープするために、ほうれい線対策として15年前から毎日パタカラ(表情筋を鍛える歯科医考案のマウスピース)エクササイズを欠かしません。
「本当は1日4回やるのがおすすめなのですが、私は夜寝る前だけ。その代わりきちんとやります。自分ができることをできる範囲で。それが長続きの秘訣」
わかっていても、それがなかなかできないものです。
「実は、私はさほど体力はないので、頑張りすぎないように気をつけています。いつでも余裕をもって行動できるように」
会社員時代から興味があった育成という分野で新たな仕事に目覚めたり、封印していた趣味の刺繡の再開だったり、やりたいことが目白押しと目を輝かせる鈴木さんにとって、年齢を重ねるのは経験という財産を増やすこと。その柔軟な考え方や前向きな姿勢、何より生き生きとした表情、ぜひ見習いたいです。
鈴木ハル子さん
Haruko Suzuki
1956年生まれ。外資系の医薬品会社、お酒の輸入代理店を経て、29歳で外資系化粧品会社のPRへ転職。以来30年間その化粧品ブランドの顔として活躍。現在はフリーランスのトータルビューティアドバイザーとして、執筆活動のほか後進の指導など、活躍の場を広げている
『大人は「近目美人」より
「遠目美人」』
鈴木ハル子 著/講談社
1,200円
第一線で活躍してきた著者が大人の女性の美しさについて語った初の著書。日々、小さな心がけを積み重ねてこそ、美しさに到達できるという言葉は、実践している者だけが語れる真実。温かな語り口は、まるで親しい友人からのアドバイスのよう。
撮影/小山志麻 取材・原文/佐野美穗