日ごろさまざまな方の相談にのっていると、お金を使う際の口癖というか言い訳として、よく聞くセリフがあります。
それは「自分へのご褒美」という言葉。
とくに女性からよくききます。(男性の場合は「つきあいで」が多い)
「自分へのご褒美にバッグを買っちゃいました」、「自分へのご褒美に、前から一度行きたかったレストランでコースを食べてみました」など。そんな「ご褒美」のひとつに旅行をはじめとするレジャーがあります。
もちろん、毎日忙しくしているのだから、「自分へのご褒美」としてときには旅でリフレッシュをしたり、テーマパークで非日常を味わうのはいいことだと思います。
ただしそれは〝計画性があれば〟です。
◆「たまの贅沢」「せっかくの」……これも要注意ワード
計画性のない旅というのは、具体的には次のようなことです。
・「たまの贅沢」「自分へのご褒美」だからと、旅行代金がハイシーズンの連休でも出かける
・「せっかくの連休、家でじっとしているのはもったいない」「世間は連休なのに、どこにも出かけないなんてつまらない」と直前や当日に予定を決め、行き当たりばったりのお出かけをする
そんな風に、目的や予算も決めずに連休を過ごすと、あとでクレジットカードの請求書を見てびっくり!ということになりがちです。
これが現役時代なら「また頑張って働けばいいや」となるのでしょうが、リタイアした後はそうはいきません。
頼みの年金だって、リタイアする年齢によってはまだ支給されていない場合もありますし、たとえ年金をもらえていても現役時代より大幅に収入が減る人がほとんど。その一方で現役時代とはけた違いに自由な時間は増え、人によっては〝毎日が連休状態〟なんてことも。
そんななか友人に誘われるがまま出かけたり、最近では推し活に夢中になってついつい散々していたら、どうにも首が回らなくなり、子どもに生活費を借りに行ったり、住宅ローンの肩代わりを頼む、なんていうケースまであります。
誰しも老後は子どもに迷惑をかけたくない、と思っているはずなのに、いつのまにか子どもを頼らざるを得ない状態になってしまうかもしれません。
もちろん老後の資金は、現役時代に頑張ってきた結果手に入れたお金ですから、自分のために使うのは悪いことではありません。
お伝えしたいのは「使うお金」と「残しておかないといけないお金」のバランスを考えましょう、ということ。
そして収入が減る老後も、いかに上手にレジャーや趣味を楽しむのか。
それにはあらかじめ、自分がレジャーに使えるお金を把握しておくことが肝心です。
ぜひその練習を50代のうちからやっておきましょう。
レジャーに使えるお金の把握方法は簡単です。
①年間の収入
②家賃や光熱費、食費など生きていくのに必要な1年間分のお金
③病気やケガなど、まさかのためにとっておくお金
④将来のための積み立て
の3つを出したら、①から②と③と④を引きます。
つまり
①-(②+③+④)=レジャー費
となります。
◆予算は100%使い切らないで
こうしてレジャーで使えるお金が年間でいくらなのかわかったら、もうひとつ大事なことがあります。
それは予算を100%使い切らず、その8割くらいの支出に収めること。
旅先ではとかく気が大きくなりがち。または、はしゃいで何かと散在し、後でカードの請求額をみて大慌て!なんてことがあるからです。
8割くらいの支出を頭に入れ、あとで後悔のないようにしましょう。
今回はここまで。
次回は「ほかにもある!退職金が消えやすい人の特徴」です。
お楽しみに!
【教えていただいた方】
1969年生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年に日本総合研究所に入社。在職中にFP資格を取得、98年に独立系FPとして転身。現在は、各種セミナーや講演、執筆、個人相談など幅広く活躍。CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター、消費生活専門相談員資格取得。「がんとくらしを考える会」理事、城西国際大学経営情報学部非常勤講師なども務める。著書に『がんとお金の真実(リアル)』『親の介護は9割逃げよ』『病気にかかるお金がわかる本』(共著)『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動』『終活1年目の教科書』など多数。
取材・文/倉澤真由美、写真/山田真由美(冒頭の写真)