筋肉の張りやこわばりを解消し、血流がよくなる筋膜リリース。フォームローラーやボールを使う方法がなぜ良いのか、トレーナーで筋膜リリースのスペシャリストでもある酒井大輔さんに伺いました。
お話を伺ったのは
酒井大輔さん
Daisuke Sakai
1974年生まれ。全米アスレティックトレーナー協会公認アスレティックトレーナー(NATA-ATC)。数々のスポーツチームのサポート、10年間の船橋整形外科病院勤務を経て、現在は地域密着型のコンディショニングスタジオ「船橋オルトベース」主宰。イオンスポーツクラブのスタッフ育成などにも従事。
フォームローラーやボールでリリースできる仕組みとは?
ちまたでよく実践されているセルフ筋膜リリース。一般の指導だけでなく指導者の養成もしているトレーナー、酒井大輔さんに教えていただきました。
「手を使う療法を学んでいる私たちは、痛みのある方には指や手のひらで筋膜リリースを行います。これには高度な技術が必要なため、自分でリリースするには確実性がありません。
そこでおすすめしているのが、フォームローラーやボールを使う方法なんです。
外から筋肉に一時的に圧をかけると、血管など組織の流れが抑制されます。その後、圧から解放された瞬間に血液がどっと流れ込み、筋膜に失われていた水分量が戻ります。
結果、筋膜の滑りがよくなり、筋肉や関節の機能が改善されます。これがローラーやボールで筋膜がリリースされる仕組みです。
特に痛み改善のためにセルフで行う際、気をつけたいのはやりすぎること。1時間も長々と続けたり、ゴリゴリ痛いほど圧をかけると、逆に筋肉や組織は萎縮してしまいます。
交感神経が優位になり、さらに痛みに敏感になる可能性もあるので逆効果! 強度としてはイタ気持ちいいと感じるくらいが理想。少し痛くても、呼吸ができる程度の強さなら効果が期待できますよ」
酒井トレーナー推薦!
セルフ筋膜リリースのためのツール
●フォームローラーとボールは必須アイテム! 初心者は奇をてらわず、ベーシックタイプを
フォームローラーは「硬すぎないもの、凸凹が強すぎないもの」を基準にしましょう。
長さ約30㎝、直径約15㎝の筒状タイプが一般的で、長すぎると小回りがきかず、短いと体を乗せにくいという短所も。直径が小さいと床に近くなり、意外と転がしにくいです。フォームローラーを使うときに床が硬ければ、程よい厚さと硬さのヨガマットを敷いて。大きさは好みのものでかまいません。
もうひとつの重要アイテム、ボールはテニスボールでもいいのですが、耐久性や圧のかかり方を考えると、マッサージ専用ボールが理想。ふたつがピーナッツ状になった連結ボールも使いやすいですが、テニスボールをつなげて代用してもOKです。(酒井大輔さん)
●プロにも愛用者の多い「グリッド フォームローラー®」
[写真上・中]長さ33㎝、3種類の面がドッキングした特殊構造。トリガーポイント グリッド フォームローラー®¥5,500/ミューラージャパン
[写真下]携帯に便利な25.5㎝のミニサイズ。トリガーポイント グリッド トラベル¥4,400/ミューラージャパン
●ちょうどよい硬さと耐久性で選ぶ「マッサージボール」
異素材の組み合わせで、より圧をかけやすい直径6.5㎝ボール。トリガーポイント マッサージボール MB1 ¥2,530/ミューラージャパン
連結タイプはボールの間隔が2段階に。トリガーポイント マッサージボール MB2 ¥3,850/ミューラージャパン
撮影/藤澤由加 スタイリスト/鈴木由里香 構成・原文/蓮見則子