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認知症の「尿失禁」の原因と対策! させない工夫と、実践したい5つのこと

トイレ以外の廊下や玄関でしてしまう、そんな「尿失禁」も家族にとっては大問題。けれど、してしまったあとに慌てても、怒ってもなんの意味もありません。では、どう対処すればいい? 認知症専門医、「メモリーケアクリニック湘南」院長の内門大丈先生に伺いました。

認知症の「尿失禁」、原因はいろいろ!

「認知症になってあらわれる『見当識障害』では、早い段階から『季節』『時間』がわからなくなり、次に『場所』が、さらに進行すると『人』がわからなくなります。

 

そのひとつの行動として出てくるのが、トイレではないところで尿などの排泄をしてしまうことです。その原因のひとつは、トイレの場所がわからなくなるということ。その結果、トイレにたどり着くまでに失禁してしまうというケースです。

 

特に、旅行先など自宅ではない場所であったり、トイレをリフォームしたらわからなくなったり、といったことはよくあります。

 

また、膀胱に尿がいっぱいにたまっていても、その情報が脳に伝わらず、尿意を認識できないことがあります。気づいたときには失禁しているというわけです。これを『機能性尿失禁』といいます。尿意がない限り、本人がトイレに行こうという意識がないので、周りの家族も気づきにくくなります。

 

ほかにも、尿意はあるが衣服をどう下ろしていいかわからない尿意を周りの人にうまく伝えられないトイレへ行くことを忘れてしまう便器であることが認識できない、といったことが考えられます」(内門大丈先生)

 

一方、認知症とは直接関係のない病気が隠れていることもあるといいます。

 

「尿失禁を誘発してしまう病気のひとつが『前立腺肥大症』で、前立腺が大きくなることで、頻尿や尿が出にくいなどの症状が出ることがあります。また、『パーキンソン病』は情報伝達物質であるドーパミンが減少することで、手足だけでなく、膀胱にも指令がうまく伝わらなくなる場合があります。これらが原因でないかを調べることも必要です。

 

あるいは、抗ヒスタミン薬、向精神薬、カルシウム拮抗薬など、膀胱の収縮性を阻害する薬の副作用で起こることもあります。これらの薬を飲み始めたことで失禁が増えたのなら、その可能性が。しかし、自己判断で服薬をやめるのはNG。必ず医師に相談をしてください」

 

様子を観察して尿失禁させない工夫を!

 

「本人も尿をもらしたくてするわけではありません。失禁すれば恥ずかしいのは、認知症になる前と同じです。その羞恥心から汚れた下着を隠す人も多いようです。

もしも失敗しても、大騒ぎしたり怒ったりせずに、穏やかな口調で安心させ後片づけは淡々と行ってください。

 

また、トイレの場所がわかりやすいように、ドアに張り紙をするなどの工夫や、トイレに行きたい合図を見逃さない、時間を見計らってトイレに誘うといった、失敗しないようにするための事前の配慮が大切です」

 

尿失禁があるからとすぐにオムツをはかせるのではなく、体が動く限りはなるべくトイレを使って自分で用を足せるように、サポートするのが理想です。

 

 

【実践したいこと】

●トイレの場所をわかりやすくする

ドアに大きな字で「トイレ」と書いた紙を貼っておくなど、一目でわかる工夫をしましょう。

 

●トイレまわりの環境を整える

トイレへ向かう廊下などに手すりをつける、つまずくようなものは置かないなど、本人が動きやすい環境を整えます。また、夜間は廊下の明かりをつけておくといいでしょう。薄暗い環境では場所を認識しづらくなります。また便座まわりにも手すりをつけて、スムーズに座れるような配慮を。

 

●脱ぎ着しやすい衣服を選ぶ

ズボンのファスナーが簡単に下ろせるなど、排泄のときに、本人が脱ぎ着しやすい衣服を選ぶことも大切です。

 

●トイレのサインを見逃さない

観察していると、トイレに行きたくなると落ち着きがなくなるなど、何かしらのサインがあるはず。例えば、うろうろし始める、トイレのほうに歩こうとする、下着を下ろそうとするなど。そのサインを見極め、タイミングよくトイレへ誘導します。

 

●定期的にトイレへ誘導する

本人にトイレに行きたいという感覚がない場合もあります。そんなときは、食事や水分摂取のあとなど、そろそろトイレに行く頃では? というタイミングでトイレに誘導します。その人の生活スケジュールに沿って、時間を決めておくのもいいでしょう。

 

 

「最近の大人用のオムツは通常のパンツのようなはき心地のものも増えています。手に負えなくなってきたら、オムツの着用も考慮する必要があるかもしれませんね。

 

日々続く排泄のケアは、介護者にとって本当に根気のいるものです。人に相談しにくいデリケートな問題ですが、介護者が倒れる前に、ショートステイを利用したり、ケアマネジャーに相談したりするなど、プロの力を借りることも大切です」

 

 

【教えていただいた方】

内門大丈
内門大丈さん
認知症専門医
公式サイトを見る

(うちかど ひろたけ) 医療法人社団 彰耀会理事長。「メモリーケアクリニック湘南」院長。 横浜市立大学医学部を卒業後、同大大学院博士課程(精神医学専攻)を修了。横浜での病院勤務、「湘南いなほクリニック」院長を経て、2022年より現職。認知症の人の在宅医療を推進し、認知症に関する啓発活動や地域コミュニティの活性化に取り組む。『家族で「軽度の認知症」の進行を少しでも遅らせる本』(大和出版)など著書多数。

 

イラスト/東 千夏 取材・文/山村浩子

 

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