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負けんばい熊本 震災を体験してわかったこと

Winter (OG)

Winter (OG)

東京・熊本でフラワーデザインのサロン主宰、兼主婦。東京から熊本へ住まいを移してこの夏で3年。熊本のみならず、九州各地を訪ね歩いては、その土地の自然や歴史に触れたり、美味しいものを見つけたり・・・・そんな生活を目下満喫中。まだまだ訪ねてみたいところ、やってみたいことは尽きません!

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【OurAgeより】熊本地震の発生以来、熊本市にお住まいの、おでかけ女史組Winterさんに対するご心配のお問い合わせや、お見舞いのご連絡を、各所からいただきました。幸い、Winterさんは、ご無事でがんばっておられましたが、メールのやり取りで読む近況報告は、テレビや新聞の報道では知りえないことばかりでした。Winterさんにお願いして、4月から今までの状況や、災害に対する備えなどを、書いていただきました。みなさんのお役にも立つことと思います。

 

 

熊本が大きな揺れに襲われてから1か月。
もう1か月、まだ1か月・・・様々な感じ方があると思いますが、今の私はもっと多くの時間が流れたような・・・そんな感覚を覚えています。
ご心配頂きました多くの皆さまに、この場をお借りして御礼を申し上げます。ありがとうございました。

 

 

お陰様で、私の身の回りに関して言えば、ライフラインは復旧、ほぼ元通りの生活を送ることが出来ております。
少し前までは、古い家屋が傾いたり倒壊していたり、回収が追い付かない災害ゴミが山積みとなっていたり、方々で工事が行われていたり・・・と、あちらこちらで震災の爪痕を目にしていましたが、そんな光景も大分少なくなりました。
寂しいのは、おでかけブログでも紹介させて頂いた西唐人町界隈の古い町並みにもダメージが及び、町の風景が変化してしまったこと。古き良きものが沢山残るこの町、この地震には抗えず、沢山のものが消えてしまいました。
ニュースでも度々取り上げられている熊本城、お城だけでなく、入口の石柱やお堀端の長塀も熊本城の見所のひとつでしたが、こんな状態です。つい先日、桜の花に囲まれたその美しいお城の風景をうっとりと見上げたばかりでしたのに・・こちらもまた、信じられない気持ちで一杯です。

地震1

白い長塀が、途中から崩れてしまいました。

 

地震2

石柱は熊本城入口にあるもので、大きく「熊本城」と彫り込まれています。積み上げられた石がずれてしまい、「熊本城」の文字があちらこちらを向いてしまっています。

 

実は東京在住時に東日本大震災も経験している私ですが、「地震とは無縁」と思い込んでいたこの地で、まさか再び震災を経験するとは、夢にも思っておりませんでした。

 

 

今回の前震と本震はどちらの揺れも、大きな地鳴りと共に叩きつけられるような、肩を誰かに大きく揺すられているような激しさ。驚きと恐怖のあまり唖然としてしまうほどでした。

 

 

揺れと同時に、あっという間に家じゅうの棚の扉が開き、中の物が飛び散り、割れ、散乱しました。勿論、タンスや整理棚も倒れてしまい、まさに「家じゅう掻き回されたような」状態。

 

 

前震後の我が家の様子がこれです。言葉もありませんでした。これを片付け、やれやれ、というところに本震があり、再び同じような状態に。萎えました。

地震3

地震4

そんな本震直後からはライフラインが全てストップ。
そこから何の心の準備もなく(当たり前ですが)突然の「サバイバルライフ」の始まりです。
幸い、我が家のある建物は、早いうちに「住まうのに問題ない」という判断がなされましたので、避難所生活や車中泊を考えることなく、そのままゴミの山と化した家の中を片付けながら生活することにしました。

 

 

 

次はライフラインが寸断されている間をどう乗り切ったかです

電気は数時間停電した後、すぐに使えるようになりましたが、水は復旧までに3日間、ガスは10日間掛かりました。
前震直後にご連絡下さった方々の「とにかく今のうちに水を貯めなさい!!!」というアドバイス。
それが本当に、本当に役立ちました。一番堪えるのは水が思うように使えないこと。飲み水は確保出来ても、生活水を思う様に使えないのは本当に堪えました。手を洗う、身支度を整える、お手洗いに入る、食事をする、お洗濯をする・・・朝起きてから夜眠りにつくまで、普段何気なく、どれだけ大量の「水」のお世話になっているかをひしひしと痛感。
結果的にはそんな生活は3日間で済みましたが、言われるがままに「水を貯めておいたこと」で、何とか乗り切ることが出来ました。

 

 

そんなライフラインが全て元通り使えるようになるまでの約10日間、我が家で役立ったものをここで少し挙げてみたいと思います。なお、懐中電灯や防災ラジオなど、一般的な防災用品が役立ったのは言うまでもありません。

 

 

◎歯みがきシート・マウスウォッシュ⇒水道がストップしていた間は、口に含める水がとても貴重だったので、歯みがきシートと歯ブラシ、マウスウォッシュを多用。口の中がさっぱりすると気分もさっぱりするので、とても便利に使いました。

 

 

◎除菌アルコール(キッチン用・ハンド用)・キッチンペーパー・ウェットティッシュ・ラップ類・水を入れた霧吹き ⇒キッチン・リビングに常備して役立った物たちです。ちなみに霧吹きは、カトラリーやコップ類に吹きかけ、洗浄するのに使いました。最低限の量で広範囲に水を掛けられるので、ウェットティッシュや除菌アルコールと共に使用していました。
水がない中でもストレス少なく清潔に過ごせたのは、これらのお蔭だと思います。

 

 

◎簡単な洗顔で落とせる日焼け止めやメイクグッズ・マスク・ウェットティッシュやデオドラントシート類⇒いくら非常時と云えども、日焼けは気になりますし、軽いメイクはしていたかったので、簡単に落とせそうなものを手持ちの中から選び出して使っていました。メイクをすると気分が上がりますし、躊躇せずに外に出られますから、結果、行動的になり、様々な用事がどんどん片付きます。ノーメイクでいたい時には、マスクを多用しました。

 

◎生理用品やライナー類⇒お洗濯や入浴がままならない状態の時、ライナーはとても便利でした。

 

◎アロマオイル⇒これは人それぞれの好みがありますが、好みの香りを自分に少し付けておくだけで、リラックスや安心効果があり、とても役立ちました。
また、浅くなる呼吸を深めたり、慣れない作業でのむくみや疲労を取るためのマッサージにも。私は自然由来のアロマオイルの香りに自然と気持ちが向きました。

 

◎着圧ソックス⇒水分不足や疲労、入浴できないことでの血行不良によりむくみがちでしたので、足が重く感じた時には使用していました。

 

 

数日生活してみると、色々な防災用品を有事の時のために沢山備えておくのに越したことはありませんが、普段から身の回りにあるものを、いざという時に使いこなす「知恵・知識」もとても大切だと思いました。

 

例えばラップ類。これにも沢山の使い道があることを今回知りました。私はお皿を汚さずに使うために使用しましたが、ラップには紐や止血帯代わり、文字を書く、保温など、様々な使い方があるようですね。ネット上にも沢山情報が載っていますから、色々見ておくのも良いかもしれません。

 

 

また、非日常生活を続けること、思い出の品々がゴミとなってしまった風景を受け入れること、連続する余震の中で生活すること・・・、全て想像以上に緊張感やストレス、疲労を感じます。
ですので、アロマオイルを使い、セルフマッサージや深く呼吸するなど、常に「緩む」ことを意識して過ごしましたが、歩くこともリフレッシュに役立ったことの一つ。

 

次は街の様子です。

外を歩くと、町の中では至るところで炊き出しが行われていたり、物資の無料提供がされていたり・・・。
その方たちも被災者なのに、笑顔を見せながら、自分以外の人のために活動している姿に胸が熱くなりました。
また、避難所となっている近所の小学校からは、夕方になると周辺住民に向けて、「今から炊き出しを行いますので、食べたい方は器とお箸を持って集合して下さーい!」と、ある時は大人の声で、またある時は小学生の子供のアナウンスで呼びかけが毎日行われていました。
今、その避難所は解消されましたので、もうその声を聞くことはできませんが、その声を聞くたびに、なんだかとても微笑ましくてホッとしたのを覚えております。

 

 

他にも、近所の古い古い銭湯で無料でお風呂に入れて頂けると聞きつけ、銭湯前に出来た列に並び、前後になった見知らぬ方たちと楽しくお喋りしながら入浴の順番を待ち、薪を焚く香りを嗅ぎながらお風呂に入れて頂いたり・・・など、そんな心が緩む「非日常」も沢山ありました。
地震には不慣れですが、こんな時でも笑顔で助け合おうとする「いい人」が多い熊本の人たちに、何度となく温かい気持ちにさせて頂きました。

 

 

私の周りはこのような状況で、被害も少ない方ですが、同じ地区でも被害の状況は様々です。

地震5

また、メディアにも取り上げられております通り、益城町周辺の被害の甚大さは相当なものです。
これから熊本県の方が向き合わなくてはいけない課題は沢山ありますが、きっと明るく元気に乗り越えて行かれることと思います。

地震6

 

地震7

まだまだ渦中という気持ちですが、街は少しずつ日常を取り戻しつつあります。

 

つい先日も茨城県で地震がありましたし、その少し前には宮崎県でも揺れがありました。
もはや、日本全国どこにいても、地震のリスクには備えるべきなのだと改めて感じます。
防災用品を揃えるだけが「備え」ではありません。日用品の活用法など非常時の生活に役立ちそうな情報を集めてみる、自分なりのリラックス法を見つけておく・・・など、少し意識しておくだけで、実はとても役立つことが沢山あるということが今回よく分かりました。

 

 

そんな今回の私の経験が、少しでも皆さまのお役に立ちましたら嬉しく思います。
また、これから少しずつ「復興」の歩みを進める熊本に、少しでも関心を寄せて頂けましたら幸いです。

 

 

 

※集英社では「平成28年熊本地震」により被災された方々を支援するため、募金を行っております。
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