いし こんにちは。ぐうたらライターいしまるこです。
ハーバード大学医学部根来秀行教授のweb講座「心臓年齢を若返らせる!」の7回目ですよ。前回予告した通り、怖ーい不整脈についてうかがいます。
根来 こんにちは。根来秀行です。前回もお話した通り、不整脈は年をとれば誰にでも起こりうるものですが、中には死に至る怖い不整脈もあるんですよ。
いし 具体的にはどんな不整脈ですか?
根来 最近増えている「心房細動」は、心房がけいれんしたように細かく震え、血液をうまく送り出せなくなる不整脈です。
動悸や胸の不快感などがありますが、症状が数分で終われば問題ありません。
いし あっ、そうなんですね。
根来 ただし、発作が続くと心房内に血栓ができ、それが脳に流れて脳梗塞を起こす危険があり、対策が必要になります。
いし Oh,No! それが一番怖い不整脈ですか?
根来 いえ、最も致死率の高い不整脈は「心室細動」です。
心室に非常に速くて不規則な電気的刺激が無数に発生して旋回し、心室が細かくけいれんします。心臓から血液が送り出されなくなるため、5~6秒で意識を失い、数分で死に至ります。
いし ひぃ〜。
根来 これらの不整脈が起きたときは、まわりにいる人がすぐに救急車を呼ぶとともに、AED(自動体外式除細動器)などによる緊急処置が必要になります。
いし その手前でなんとかせねば!
危険な不整脈にはどんな特徴がありますか?
根来 速すぎる、または遅すぎる脈が続くときは要注意です。
1分間に130拍以上の極端な頻脈や、逆に40拍以下の極端な徐脈ですね。
(頻脈、徐脈については前回参照)
このような脈が長時間続くと、心筋に負荷が掛かり過ぎて適正な収縮を保てず、心臓が十分な血液を送り出せなくなる「心不全」を引き起こします。
いし 脈以外に気をつけるべき症状はありませんか?
根来 不整脈に伴って、胸痛、のど・肩・背中・腕の痛み、胃の不快感、冷や汗が出るといった症状がある場合は用心したほうがいいですね。
前回も述べましたが、これらの症状は虚血性心疾患の予兆かもしれず、心筋梗塞や狭心症が起こると、心臓を拍動させる心筋の電気的興奮が乱れて、命にかかわる危険な不整脈を招くことがあります。思い当たるときは、早めに検査を受けましょう。
いし 危険な不整脈が起きる背景には、虚血性心疾患などの病気が影に隠れていることが多いのですか?
根来 そうですね。心臓病や高血圧、糖尿病、甲状腺機能亢進症など、
基礎疾患がある人に多いです。そのように何らかの病気が不整脈の原因に
なっているのであれば、その治療を優先します。
いし 原因疾患の治療が困難だったり、原因不明の不整脈の治療はどうするんですか?
根来 命の危険があったり、生活に支障をきたすような病的な不整脈の場合、抗不整脈薬を使って不整脈を起こりにくくして、症状を抑えます。というのも、不整脈そのものを完全に治す薬はないんですよ。
また、心臓の伝導路に異常がある場合は、カテーテルを用いて電流で異常伝導路を焼き切る治療も検討することになります。
いし わかりました。ところで、不整脈って、自分でわかるんですか?
根来 それは自分で脈をとってみればいいんですよ。
次回は、正しい脈のとり方を伝授致しましょう。
それではみなさん、今日も素敵な1日を!
次回は、「正しい脈のとり方、教えます!」です。お楽しみに!
取材・文/石丸久美子 撮影/角守裕二 イラスト/浅生ハルミン