いし こんにちは。根来先生のアドバイス通り、〝早起き早寝〟
を実行して、不眠から脱しつつあるぐうたらライターいしまるこです。今週も引き続き、睡眠について掘り下げますよ。
根来 こんにちはいしまるこさん。春眠暁を覚えずといいますが、
早起き早寝が習慣になれば生体リズムが整ってきますよ。
いし 人間の生体リズムは25時間と言われていましたよね?
根来 それがですね、最近、私のハーバードでの同僚の研究で、
24時間11分だとわかったんですよ。
いし スゴイ同僚!
根来 ここ20年の間に、生物の生体リズムについて、遺伝子レベルでの
解明が進んでいて、〝時計遺伝子〟の研究が急速に進んだのです。
いし 時計遺伝子?
根来 生体リズムを生む体内時計をコントロールするのが、時計遺伝子です。
いし 体内時計はどこにあるの?
根来 脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)で、眉間の奥のほうにあるんですよ。さらに、全身の細胞ひとつひとつに時計遺伝子があることもわかりました。
朝の光が視交叉上核に届くと、自律神経を介して全身の細胞にシグナルが送られ、体内時計がリセットされます。
※地球は24時間周期で自転していますが、人間の生体リズムは1日24時間11分です。
このズレをリセットするのが朝の太陽の光。光の情報が目の奥を通って、脳の視交叉上核から松果体へと伝わると、夜間出ていた眠りを誘うホルモン〝メラトニン〟が抑制され、体が覚醒モードに切り替わるのです。
この時、メラトニンは15〜16時間後に分泌が開始されるようにセットされます。
根来 毎朝、起きてすぐにカーテンを開け、決まった時刻に朝日を浴びる
習慣をつけると、体のリズムが整って、毎晩同じ時間に入眠しやすい体質に
なってきますよ。
いし 曇りや雨の日は体内時計がリセットされないの?
根来 曇り空や多少の雨の日でも、少しの間窓辺にいるだけでOKですよ。
いし 夜勤の人はどうすれば?
根来 起きてすぐコンビニに行くとか。あれくらい明るい光なら、ある程度太陽の代わりになります。
いし でも通常は、夜は強い光を浴びないほうがいいんですよね。
根来 そうですね。眠っていても光は視覚刺激として体に入ってきて、
メラトニンを抑制します。眠る時は、遮光カーテンをつけるなどして、寝室を
真っ暗にするのがベスト。真っ暗にすると眠れない人も、20〜30ルクスくらいの薄明かりにしましょう。
いし 夜中や明け方に目が覚めても、灯りをつけないほうがいい?
根来 はい。そのまま起きずに目を閉じていると、自然と眠くなるように体の
リズムはできています。トイレに行く場合も、フットライトくらいにとどめてくださいね。
いし 了解。真っ暗にして寝て、起きるやいなや、カーテンを開けます!
〈根来教授の睡眠講座は次週も続きます。お楽しみに! 〉
根来 それでは皆さん、今日も素敵な1日を!
取材・文/石丸久美子 撮影/角守裕二 イラスト/浅生ハルミン