東京・丸の内「ミクニ マルノウチ」では、和ビーガン料理人の本道佳子さんとコラボしたスペシャルメニューがいただけます。9月末日までの夏のコースは「新しい自分になる! ビーガンメニュー 〜フェスティバル レギューム toヘブン〜」。混沌とした不安や恐れを連想させる深黒のアミューズから、今日の幸せを噛みしめられる百花繚乱のメインへ向かう、7皿からなるコースです。
野菜が取り持った“世界のミクニ”との出会い
本道さんが高校を卒業して働き始めたのは、ようやく男女雇用機会均等法が成立した頃。特に料理の世界では、女性が活躍できる土壌がまだまだ整っていませんでした。そんな環境に先を見出せず、渡米して独自に料理の研鑽を積んだという経緯もあって、帰国して東京に拠点を移した時、日本の“シェフ”という人たちにやや苦手意識を持っていたそうです。
けれども野菜を通じた地域活性化の活動などを通じて、様々なシェフたちと出会い、ベジタリアンやビーガンについて理解を深めあううちに、「日本でビーガンを広めるには、まずはシェフたちにこそ、もっと野菜料理に注目してもらわなくては」と強く思うようになりました。
そんな本道さんの声に熱心に耳を傾けるようになったのが「オテル・ドゥ・ミクニ」オーナーシェフの三國清三さん。もともとベジタリアン向けのコース料理は提供していたものの、より厳密なビーガン料理は未来の食を担うジャンルになると、深い感銘を受けたとのこと。東京の地産地消にこだわり、東京産の食材を主役に使うナチュラルフレンチレストラン「ミクニ マルノウチ」でぜひコラボレーションをと、話がまとまりました。
日本の伝統が息づく、江戸東京野菜のポテンシャル
この立派な野菜たちを見てください!!
カゴに入っているのはすべて東京都で育てられたものばかり。なかでも注目していただきたいのが、細長い白菜のような江戸東京シントリ菜(カゴ奥)、小ぶりでぷっくりした寺島ナス(カゴ中央)など、三國シェフも普及活動を進めている「江戸東京野菜」です。江戸時代から昭和40年頃にかけて、東京周辺で作られていた在来種、または在来の栽培法に由来する野菜のことで、今、特に注目されています。
「江戸時代から品種改良のされていない伝統的な江戸東京野菜は、ブランドとして確立されてきています。畑に伺うと、若い農家さんたちの熱い情熱をとても感じられますよ」と「ミクニ マルノウチ」のシェフ・黒石智裕さん。
これらの野菜などを使い、本道さんと黒石シェフが作り上げたのが「新しい自分になる! ビーガンメニュー 〜フェスティバル レギューム toヘブン〜」というスペシャルコラボレーションメニュー。正統派のフレンチと独創的な和ビーガンが出会って、果たして、どんな料理が生まれたのでしょうか?
それぞれの皿に込められた思いを感じて
〈アミューズ〉「黒の皿」
スタートは黒一色の皿をグリッシーニでかき混ぜるところから。バルサミコ酢とたまり醤油であえたチアシード、キヌア、ひじきは、プチプチの食感も楽しめます。上に乗った球体はビーツとローゼル(ハイビスカス)のジュレ。
〈前菜〉「3種のうま味とトリュフ」
シイタケとプチトマトのフリット、サマートリュフが浮かんでいるのは、昆布で取った上質なだし。日本人には馴染み深いイノシン酸、グルタミン酸、アミノ酸の旨味と、西洋的なトリュフの香りと食感が絶妙に混じり合っています。
〈スープ〉「ミクニ風ヒポクラテススープ」
トマト、ジャガイモ、玉ねぎ、にんにくなど旬の野菜のうま味が凝縮されたスープ。とろりとした口当たりを、ハーブオイルでさっぱりと。都心から約400km離れた絶海の孤島、青ヶ島のひんぎゃ(地熱によって水蒸気が噴出する穴)の蒸気で作られた塩をお好みで。
〈温前菜〉「江戸東京野菜をその日のスタイルで素直にシンプルに」
ボイルやフリットなど、その日入荷した旬の江戸東京野菜に一番最適な調理を施し、3種のディップでいただきます。ハーブと塩麹、生梅と味噌、カシューナッツで作ったヴィーガンチーズのディップは、和ビーガンの真骨頂。
〈メイン〉
「清瀬横山園芸エディブルフラワーを使った”フェスティバルレギュームtoヘブン”」
2018年「ベジタリアン チャンス」(世界ビーガン選手権)で準優勝した本道さんのスペシャリテをアレンジ。バタフライピーというマメ科の植物で色付けした青い米の上に、ボイル野菜、エディブルフラワー、すし酢のジュレをあしらって。バルサミコ酢をブレンドした、たまり醤油を混ぜてもよし。
〈アバンデセール〉「Su-i-ka」
色彩のコントラストも見事な、パセリとバジルの緑のオイルと真っ赤なスイカのジェラート。スイカの味わいを凝縮させ、黒ごまを種に見立てた、見た目も味もそのままの”ひとくちスイカ”です。
〈デセール〉「三蜜のあんみつ」
寒天やあんこなど昔ながらのあんみつの具材をお皿に盛り付け、三種の蜜(黒蜜、メープルシロップ、オーガニックいちご酵素)をかけて、口の中であんみつを完成させます。こんな“さんみつ”なら小池都知事も気に入ってくれるはず!?
「私のスペシャリテの青いご飯をメインに据えて、天国をイメージして作った黒石シェフとのコラボレーションコースです。天国は遠くにあるのではなく、今、この瞬間にあなたはもう天国にいるんだと感じていただけたら」と本道さん。食べ終わった後に身体にみなぎるパワーや、「生まれ変わった感」をぜひ皆さんにも体験していただきたいです。
*入店時に検温と手のアルコール消毒、随時店内には10組限定とし、テーブルの間隔を空けるなど、新型コロナウィルス拡大防止対策を実施中。
新しい自分になる!ビーガンメニュー〜フェスティバルレギューム to ヘブン〜
1名9,000円(税込み・サービス料別)
〜9月末日まで(ランチ・ディナー共通)10月からは内容が変わります。
3日前までに要予約