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今宵は禁断の欲望をすべて叶える。西麻布「洋食ビストロ TŌYAMA」でオトナの洋食三昧(後編)

大滝美恵子

大滝美恵子

フードライター&エディター、ラジオコメンテーター。横浜生まれ。「Hanako」からスタートし、店取材を続けること20年。料理の基礎知識を身に付けたいと一念発起、27歳で渡仏。4年の滞在の間にパリ商工会議所運営のプロフェッショナル養成学校「フェランディ校」で料理を学び(…かなりの劣等生だったものの)、フランス国家調理師試験に合格。レストランはもちろん、ラーメンや丼メシ、スイーツの取材にも意欲を燃やし、身を削って(肥やして!?)食べ続ける毎日。

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コースを基本にアラカルトでも楽しめる

11月に西麻布にオープンした「洋食ビストロ TŌYAMA」。JR、京成線上野駅からすぐの「上野の森さくらテラス」2階にある「上野洋食 遠山」の姉妹店です。観光やショッピングの最中に寄れるカジュアルな上野の店に対し、西麻布は大人が静かにくつろげる隠れ家のような立地。店内には厨房をぐるりと囲むカウンターをメインにテーブルが3卓あります。

 

なんと言ってもおすすめはカウンター席。遠山忠芳エグゼクティブシェフの作業を間近に見られて、ライブ感も高まります。

 

 

まずコースは6,000円、10,000円(税別、以下同)の2種類。6,000円のコースはシェフが厳選した食材を使った前菜を3種類、コンソメロワイヤル(茶碗蒸しのようなコンソメを使ったアレンジ料理)、そしてメイン、〆のひと皿を選びます。

 

メインのラインナップはハンバーグ、ポークソテーやカツレツ、ビーフシチューなど。〆のラインナップはカレーやクリームシチュー、オムライスなど。間違いなく惹かれるメニューばかりで、これを一度に食べられるのは“オトナの贅沢”に他なりませんよね。

 

「メニューになくてもこれが食べたい、こんな調理法で食べたいとおっしゃってみてください。できることはやってみますよ。洋食には皆さん、それぞれの好みや思い出がありますから」とシェフ。

 

ポイントはフレンチの技法や発想も取り入れられていて、どれもがド直球の洋食なのではなく、時には洗練された素材の組み合わせだったり、あえて軽いソースに仕上げられたりすること。なので、重たすぎることなく、程よく洋食尽くしを楽しめるのです。また、こぢんまりした店内ゆえ、こちらの食欲や食べるペースにシェフがさりげなく目配りをしてくれているのも感じます。そんな優しさに胸を借りるつもりで、少しワガママを言ってみるのもアリかもしれませんね。

 

 

絶対に外せないデミグラスハンバーグ

 

「リクエストを聞いているうちに、種類が増えてしまって…」とシェフが苦笑いするように、アラカルトも充実。カウンターでひとり、ワイン1杯とひと皿で夕飯を食べるのにも最適です。

 

なんと言っても外せないのは遠山特製デミグラスハンバーグ2,200円。洋食には一家言ある人の多い京都で店を任されていた時代に、グルメな京都人に行列を作らせたというシェフの看板料理です。

 

仕入れた塊肉を厨房で捌くところからスタート。肉質、脂の入り方や水分の状態など、肉の状態を触って見極めながら、今日の肉で作る最高のハンバーグ用肉のバランスを探って行きます。基本的には国産の牛の腿肉と豚肉の合挽きですが、その割合や挽き(やや粗挽きのタイプではあります)、混ぜ具合はその日の肉によって異なるとのこと。シェフの指の感覚だけが正解を知っています。

 

ラグビーボール型に成形して火を入れていくので、焼き上がった時、端の部分はしっかりめに火が通り、中央はややレア感が残り、食べる場所で明らかに食感が異なります。うーん、これがたまらない! ぜひナイフを端から入れて食べ進めてください。

 

真っ黒なデミグラスソースは前編でご紹介した通り。コースを頼むにしても、アラカルトで頼むにしても、絶対に外せないメニューです。

 

●遠山特製デミグラスハンバーグ

 

 

信頼する熊本の食材を取り寄せる

遠山シェフの生まれは熊本県。オーナーシェフとして地元で正統派フランス料理店を経営したこともあり、慣れ親しんだ熊本の食材がたくさんあります。

 

「熊本は肉も魚も野菜もとても美味しいんです。地元との繋がりで市場を通さずに直接仕入れることができるので、熊本の美味を皆さんにも知っていただけたら」。

 

 

例えば天草地方で飼育されている地鶏「天草大王」。「大王」と呼ばれるほどの大きなサイズが特徴の鶏で、大自然のもと、ストレスなく育てられたその肉は、脂がのってジューシー、絶妙な歯ごたえが美味です。

 

これらを唐揚げ、ガーリックソテー、チキンカツなど、好みの部位を好きなように調理してもらうことができます。

 

 

●天草大王の軽いタタキのマリネ コース料理の前菜より

 

●天草大王のタルタル仕立て コース料理の前菜より

 

 

その鶏ガラを使って取ったスープで、〆の選択肢にはこんなメニューも!

●天草大王のラーメン コース料理の〆より

 

 

「洋食屋と看板を掲げるのは、フランス料理店とは違うプレッシャーがあるんです。例えば、6,000円のコースのメインにハンバーグ?と思われるお客さまもいらっしゃいます。一般的に洋食は安くてカジュアルなイメージが持たれていますから。だからこそ、期待に応えたいし、いい意味で予想を裏切れるようでありたい」と遠山シェフ。

 

好きなものをアレもコレもと頼め、小さな頃の夢を叶えてくれる「洋食ビストロ TŌYAMA」。子供のようにワクワクしながら、大人ならではの新しい食の体験をしてみてはいかがでしょう。

 

洋食ビストロ TŌYAMA

※緊急事態宣言終了まで、営業時間は16時~20時。日、月曜休み。

※取材時は写真撮影のときのみ、マスクを外して行いました。

 

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