若さを保つためには、「引き算」をすることが大切。
「引き算」をしなければ、自由になることができない。
それだけではない。「引き算」をすることで、初めて、自分の人生の主人公になることができるのだ。
考えてみて欲しい。この世に生まれたとき(すなわち、一番若かった時)には、自分の中には「空き地」がたくさんあったのである。
それがいつの間にか、たくさんのものが自分の中に入ってきた。
それらの出会いの中には、気づきや、幸せをもたらしてくれたものもある。だからこそ、今の自分がいる、ということもできる。
しかし、そのようなものがたくさん自分の中にあることで、ぎゅうぎゅう詰めになって、生命が自由に羽ばたく余地がなくなってきているのかもしれない。
若い生命は、バレーダンサーのように、舞台の上を自由に躍動する。
手を動かし、足を上げ、ジャンプして、あちら、こちらと気ままに飛び回ることができる。
ところが、心の中にたくさんのものがぎゅうぎゅう詰めになると、それが邪魔になって、人生という舞台の上を、飛び回ることができなくなってしまう。
それどころか、自分の人生という舞台の上に、たくさんのものが置かれ、たくさんの人がひしめき合って、がんじがらめになってしまう。
少しでも飛び跳ねようとすると、つまづいたり、ぶつかったりしてしまう。それが怖くて、動けなくなってしまう。
その結果、自分の人生という舞台なのに、自分が主人公ではなくなってしまうのである。
自由に踊るために必要なのは、まっさらな舞台。そのためには、障害物を取り除かなければならない。
それでは、「引き算」をするためには、どうすればいいのだろう。
うまく「忘れる」ことが大切である。
過去を変えることはできない。しかし、過去にとらわれ、あるいは過去に執着している自分は、解き放つことができる。そう。過去のさまざまなものを、自分の舞台から引き算して、自由に飛び回る余地をつくることによって。
もっとも、うまく忘れることは、実は難しい。
思わぬところに、私たちを不自由にするものが潜んでいるのだ。
最近は、インターネット断ち、あるいは制限をする人が増えてきているという。
人間が行うさまざまな活動のうち、ネットの活動、とりわけ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活動は、やりすぎると不幸になるとする調査結果もある。
もちろん、SNSを通して他人とつながっているということで絆が深まり、新しい出会いがあり、自分の人生の「安全基地」を保つことができる。そのような良い点がSNSにはあることは、言うまでもない。
その一方で、おだやかで、平和な気持ちを保つ上で、SNSから流れてくるさまざまな情報が、ノイズになったり、ストレスのもとになったりすることも事実だ。そのようなストレスこそが、心を若く保つ上での妨げとなるのである。
難しいのは、たとえ、SNSをやる時間を制限したり、インターネットをオフにする時間をつくったとしても、依然として、目に見えない「心のSNS」があることが多いということ。
すなわち、今までの生活の中で培ってきた人間関係や、さまざまなしがらみ、長い間に染み付いた習慣のようなものが、「心のSNS」となって、自分の人生という舞台で自由に踊り、羽ばたくことの邪魔になるのである。
「心のSNS」は、たとえネットにつながなくても、自分の一つひとつの行動に対して「イイね!」をしたり、「既読スルー」をしたりする。
そのようなものを、いちいち気にしてしまうこと、あるいは、気にしていないと思っていても、実はいろいろと思い悩んでしまうことが、心の若さを奪うことになる。
あなたは、大丈夫ですか?
あなたの人生という舞台の上を、自由に飛び跳ねていますか?
たとえ、すぐには問題が解決しないとしても、そのような問題があることに気づくことが、心の「引き算」のきっかけになる。
まずは、自分の人生という舞台の様子を、ありのままに見ることが大切なのである。