猛暑に加え、加齢臭、更年期多汗も!
夏の汗&ニオイ悩みを緊急レスキュー
夏の暑さに加え、更年期が原因で、今まで以上に「汗とニオイ」を気にかけている人も多いのでは? 今すぐできる手軽な対策で、高温多湿の日本の夏を快適に、爽やかに乗りきりましょう!
頭皮
皮脂が多く、頭皮の角質でもあるフケが細菌の繁殖を促し、ニオイの元に。緊張でドッと発汗しやすい部分なので、蒸れないよう注意
額
汗腺の密度が高いため、汗をかきやすい部位。緊張による精神性発汗も少なくないため、汗防止には気持ちにゆとりを持つことも大事
首の後ろ
皮脂の分泌が活発で、ホットフラッシュでドッと汗をかきやすいのが首の後ろ。濃度の高いねばねばの汗はニオイも強めなので、なるべく早めにふき取るようにしましょう。加齢臭にも気をつけたい場所です
胸
汗腺が多いため、意外と汗っかきな胸元。ワキガ臭を発生させる「アポクリン腺」が乳輪にあるため、嫌なニオイが気になることも
脇の下
汗腺が多く、全身にあるエクリン腺と、脇の下など限られた場所にあるアポクリン腺もあり、いろいろなニオイが複合的に発生
手のひら
緊張で手のひらにびっしょり汗をかいてしまう、精神性多汗に悩む人も。気にすると余計に発汗してしまうため、開き直ることも大切
デリケートゾーン
汗をかきやすい部分なので、生理中はもちろん、下着やストッキングで締めつけると、蒸れてニオイが強くなることも。夏は要注意
足の裏
足の裏には、背中の5~10倍も汗腺が集中しているため、とても汗っかき。しかも厚い角質が垢となり、細菌が繁殖する温床に。洗ってもニオイが消えない場合は、血行不良、むくみによる疲労臭などが原因かも
ニオイの原因を知り、適切なケアを取り入れて
私たちの体には全身に何百万もの汗腺があり、発汗によって体温調節が行われています。実は、汗そのものにはほとんどニオイがないといわれていますが、夏は特に〝汗くささ〞をはじめ、体のあちこちのニオイが気になる人も多いのではないでしょうか?
「全身からまんべんなく、じんわりとかく汗は、サラサラで水に近く、においません。しかし、汗で蒸れ、皮膚にすむ常在菌が、皮脂や垢を栄養分として繁殖すると、嫌なニオイを発生させます。
一方、ドッと出る汗はねばねばした濃度の高い汗で、アンモニアや乳酸などが含まれるため、ニオイが強くなります。ドッと出る汗には緊張による精神性発汗と部分汗があり、更年期のホットフラッシュによる発汗は、首から上の一部の汗腺しか使わない部分汗です。
制汗剤を用いたり、汗をかいたらすぐにふくことが有効ですが、汗腺の機能を高め、全身から汗をかけるようにすることも重要です。汗腺は使えば使うほど機能が高まり、使わないでいると弱まります。特に40歳を過ぎると、労働汗腺という働く汗腺が減ってくるので、有酸素運動や入浴などによる汗腺トレーニングで、全身の汗腺機能を高めましょう。さらに抗酸化食品を積極的に摂取したり、腸内環境を整えることも、ニオイ対策につながります」(五味常明先生)
まずは自分の気になるニオイの原因と対策を知り、上手につき合っていくことが大切です。
五味常明さん
1949年生まれ 「五味クリニック」院長
一ツ橋大学商学部、昭和大学医学部卒業。体臭多汗研究所を設立し、五味式のワキガ治療法を確立。患者の心のケアをしながら、外科的手法を組み合わせる「心療外科」を提唱。体臭・多汗治療の第一人者として、TVや雑誌など各メディアで活躍。著書多数。www.gomiclinic.com
あなたは大丈夫!?
MyAge世代の気になるニオイ
体質、食生活やストレス、加齢にも影響されて、気になる体のニオイも変わっていきます。40代、50代が特に気になりはじめるニオイがこれ。原因をしっかりチェックしておきましょう。
更年期による発汗臭
ストレスとの悪循環で増す「更年期多汗」
暑くなくても、急にほてったり、ドッと汗をかいたり。更年期のホットフラッシュによる多汗は、顔や首筋に大量の汗をかいてしまうことも多く、その精神的ストレスがさらに多汗を呼ぶという、悪循環に陥ることも。更年期が原因の汗は、アンモニアや乳酸などのニオイ成分を含む、濃厚でベタベタした汗なので、ニオイも気になります。「ホ
ットフラッシュのおもな原因は女性ホルモンの減少ですが、胸から下の汗腺の機能が鈍くなり、全身に汗をかきにくくなっていることも影響。運動や食事など生活習慣を見直すことも大切です」(五味先生)
疲労臭
40~50代の働く女性に出やすい
疲労が蓄積すると、通常なら体内で分解されるアンモニアが、汗によって放出されます。同時に汗の中に乳酸という疲労物質が出て、皮膚の上で細菌に分解されることで、ジアセチルというミドル脂臭に。「このミドル脂臭は、ほんの少しの量でも臭いんです。ほかのニオイを強める働きもあるため、加齢臭と混ざるとより不快に」(五味先生)
加齢臭
加齢臭に男女差なし!「 オバサン臭」に注意
「オヤジ臭」と呼ばれていた加齢臭ですが、実は男女差のない中高年特有の体臭です。年齢を重ねるにつれ、皮脂腺の中には、パルミトレイン酸と呼ばれる脂肪酸と過酸化脂質が増加。このふたつが結びつき、分解・酸化されると、加齢臭の元、ノネナールができるのです。「女性ホルモンの分泌量が減少することで、皮脂腺の働きが活発になったり、活性酸素が増加すると、皮脂が酸化してノネナールの量が増えることも。ノネナールそのものはそれほど不快なニオイではないですが、アンモニアと一緒になると悪臭に変わってしまいます。汗腺機能を衰えさせず、サラサラの汗をかくようにしたり、腸の中でアンモニアを発生させすぎない食生活を送るようにしてください」(五味先生)
口 臭
歯垢の除去とアルカリ性食品で口臭予防
口臭の原因は、食べカスをエサにして増殖した細菌の塊である歯垢や、歯垢を放置することで石灰化する歯石です。また、虫歯や歯の治療でかぶせたものやブリッジ、歯周病が原因になることも。虫歯自体はイオウのようなニオイがします。年齢とともに歯垢や歯石はつきやすくなるし、虫歯や歯周病の悪化にもつながるので気をつけて。また、胃腸や肝機能の衰え、糖尿病など内臓の病気によっても、口臭は起こります。「歯ブラシと、デンタルフロスや歯間ブラシを併用し、歯垢の除去率を高めることが大切。食事の内容も重要です。カルシウムやナトリウムを多く含む緑黄色野菜や海藻類など、口内環境を悪化させないアルカリ性の食品を多くとるように心がけて」(五味先生)
次回は、におわない体をめざす生活での工夫をご紹介します。
イラスト/かくたりかこ 取材・原文/蕨 康子