ミラクル免疫力をつけると、老けない!
この連載では、書籍『ミラクル免疫力をつけると、老けない!』(集英社刊)から、免疫力をアップしてアンチエイジングライフを叶える方法をお伝えしていきます。ミラクル免疫力をすぐに実践できるレシピも、続いてご紹介。ぜひお役立てください。
第2章
ミラクル免疫力! で老けない女性になる!
【ミラクル免疫力対談】
ミラクル免疫力で、いつまでも老けない!
医学博士 白澤卓二先生 VS 女優 杉田かおるさん
テレビ番組がきっかけで、オーガニックなライフスタイルを実践するようになり、健康な体と心を取り戻した杉田かおるさん。長寿研究の第一人者、白澤卓二先生とともに、免疫力を上げて老けずに生きる方法についてお話ししていただきました。
今回は、「更年期対策に有効な食べ物について」のお話です。
杉田かおる Kaoru Sugita
1964 年東京都生まれ。7歳でテレビドラマ 『パパと呼ばないで』に出演。天才子役として人気沸騰。その後も女優として映画、テレビ、舞台で活躍。2009 年テレビ番組のダイエット企画がきっかけで、オーガニックな食生活に目覚める。
近年は、自らの農業体験を活かした講演や執筆活動を。著書に『杉田かおるの毒だしダイエット』(アスコム)、『杉田かおるのオーガニックライフ』(武田ランダムハウスジャパン)、『この私が変われた理由』(アスコム)など。
●更年期に重要なのは、オメガ3脂肪酸の摂取のしかた
杉田 これから更年期を迎えるにあたって、動脈硬化や骨粗そ 鬆しょう症などが気になります。
更年期対策に有効な食べ方はありますか?
白澤 女性の場合、女性ホルモンが血管を守ってくれているので、男性ほど動脈硬化は進まないんですよ。でも、閉経後は女性ホルモンが激減するので、血管の老化が進みます。
杉田 ええーっ、そうなんですか!
白澤 ええ、残念ながらそうなんです。まだ30代、40代は女性ホルモンが血管を守ってくれていて、血管に関して女性は、男性と比べて20歳ぐらい若いんです。20歳のアドバンテージがあるんですね。しかし、女性が50 歳になったら血管の問題がスタートします。男性と同じくらい血管のアンチエイジングをしないと、女性も心筋梗塞や脳卒中になってしまいますね。男性はその分、骨で得していて、男性の骨は女性より20歳若いんです。
杉田 ああ、逆なんですね。
白澤 男女平等にできていて、女性は血管で得している分、骨で損しているんです。閉経してからは、骨は減る一方です。イソフラボンの摂取など方法はあるんですけど、現状維持がやっとですね。そうすると、50歳までに骨密度の貯金がある人が有利なんです。その貯金を作ってるのが、30代、40代なんですよ。
杉田 血管を修復したり、しなやかにしたりする働きがある長寿遺伝子を活性化させるって、やはり大事なんですか?
白澤 長寿遺伝子のひとつ、サーチュイン遺伝子には、血管に対する作用があることがわかっていますね。長寿遺伝子を活性化させることも大切ですが、特に更年期には脂質の摂り方が重要だと思いますね。
杉田 良質の脂質を摂るということですか?
白澤 ええ、そうです。簡単に説明すると、血管に悪い脂質というのは、お肉の脂身の脂質である飽和脂肪酸。反対に血管にいい脂質というのは、オメガ3脂肪酸と呼ばれる魚に含まれる脂質です。魚のオメガ3が血管にいいという研究データは、世界中で多数あって、オメガ3が足りなくなると確実に動脈硬化が進みますね。
杉田 そうなんですね。
白澤 オメガ3は、最近では「ブレインフーズ」ともいわれていて、脳の健康を守る作用もあるんです。しかし、日本人は魚離れが進んでオメガ3の摂取量がかなり減ってきています。いまやなんと、アメリカを下回ってしまった。
杉田 それはショックですね。
白澤 海が有害金属や放射能などで汚染されているので、今後も魚離れが進む可能性が高いと考えているんですが、でも、オメガ3は植物からも摂取できるんです。
杉田 ドレッシングを作るときに使っているんですが、亜麻仁油はどうですか?
白澤 亜麻仁油は亜麻の種から抽出したオイルで、オメガ3ですから非常にいいですね。ほかにも、えごまオイルやしそオイルなどがオメガ3のオイルです。オメガ3は非常に酸化しやすい油なので、加熱しないで摂取することが大事ですね。
杉田 オメガ3がいい理由をもっと教えてください。
白澤 脂質にはオメガ3、オメガ6、オメガ9があって、オメガ6は大豆の油やコーン油など、オメガ9はオリーブオイルなどです。いまスーパーで売られている植物油は、水素系の薬品を添加して作られた油でオメガ6なんですが、オメガ6の脂質は分解すると炎症を起こすアラキドン酸という物質になるんです。反対に、オメガ3は分解するとDHAやEPAになって、アラキドン酸を中和してくれるんですね。したがって、オメガ3が不足すると、どんどん血管や脳で炎症が起きてしまいます。
杉田 大豆ばかり食べていてもダメなんですね。
白澤 ダメなんです。コンビニに行くと、スナック菓子とか菓子パンとか加工食品が多数あるでしょう。これらの加工食品には、ことごとくオメガ6が使われているんです。オメガ6の摂取が過剰になっていて、それが健康を害する原因にもなっています。オメガ3とオメガ6の摂取比率が、現代人は1対10とか1対20になっているんです。昔の伝統的な日本の食事をしていたころの日本人は1対1だったんですよ。
杉田 そうなんですね。
白澤 そのぐらいバランスが崩れているんですよ。現代の日本人の食生活は、動脈硬化まっしぐらの食事をしているんですね。
杉田 皆さん、欧米化した食事はダメだって言うんですけど、ドイツに行ったときの朝食には必ず何種類かの種子があって、それをサラダやヨーグルトにかけて食べるんですよ。だから、ちゃんとバランスがとれていて。欧米化=ダメなんじゃなくて、大量生産される加工食品がよくないんだと思いますね。
白澤 そのとおりですね。僕が懸念しているのは、先ほども言いましたが、海が汚染されているので、さらに魚離れをしたときにオメガ3が国民レベルで減ってくると、鬱病(うつ)と認知症の発症率が高くなること。
杉田 オメガ3は、鬱にも効くんですか? 免疫力にも関係しますか?
白澤 はい、効果があります。更年期の鬱が改善されたというデータもあります。免疫力も上がりますね。鬱病と認知症は、オメガ3の摂取率と逆相関しているんです。だから、個人レベルじゃなくて国民レベルで、オメガ3の摂取量を増やしていくことが僕にとっての課題でもあるんです。
しかし、海の汚染による魚の問題は深刻なので、非常に悩ましい。僕はサプリメント派ではないので、食事でオメガ3を摂取するにはどうしたらいいかということを考えます。先ほどお話しした亜麻仁油などのほかにも、ナッツ類のくるみや種子類のかぼちゃの種などにもオメガ3が含まれているので、植物から摂る食生活がいちばんいいと思いますね。
『ミラクル免疫力をつけると、老けない!』(集英社 本体1,100円+税)
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-333127-5&mode=1
次回は、白澤教授と女優の杉田かおるさんの対談⑦最終回「ずっと若く生きる心の持ち方について」のお話です。
撮影/奥谷 仁 編集・構成/遠藤励子