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がん検診にはデメリットがある?/女性のがん検診3

増田美加さん

増田美加さん

1962年生まれ。医療ジャーナリスト。30年にわたり女性の医療、ヘルスケアを取材。自身が乳がんに罹患してからは、がん啓発活動を積極的に行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための患者力』(講談社)ほか多数。NPO法人 日本医学ジャーナリスト協会会員

医療ジャーナリスト 増田美加さんの 更年期女性の医療知識 アップデート講座

 

「女性のがん検診」
あなたの知らない真実

 

更年期は、がんリスクに備えたい世代です。でも、がん検診は受ければいいってものではないことを知っていますか?  正しい検診を選んで受けないと不利益につながることも。がん検診の「真実」を、医療ジャーナリスト増田美加さんがわかりやすくお伝えします。

 

がん検診には、デメリットもある

〇 過剰診断、偶発症、心理的負担など、不利益はさまざまあります

がん検診には利益だけでなく不利益もあります。正しい検査法を正しい年齢と受診間隔で行うことで、初めて利益が得られるのです。不利益としては①がんが100%見つかるわけではなく見逃しがある。②進行がゆっくりで症状が出ず、命にかかわらないがんまで見つけてしまい(過剰診断)、不必要な検査や治療を行う場合がある。③検査に伴う偶発症の問題。マンモなどX線検査による放射線被曝。それによるがんの誘発や遺伝的影響は極めて低い確率ですが、可能性は否定できません。④心理的影響。「要精検(異常がありそう)」の結果では精密検査の必要があり、検査結果が出るまで精神的、時間的、経済的負担も伴います。このような不利益から、税金を投入して行う対策型検診(自治体検診)では、不利益が利益を上回るものは推奨されません。人間ドックなどの任意型検診は、不利益が上回る場合もあることを理解したうえで受けましょう。

 

がん検診には、「対策型検診」(市区町村の自治体検診など)と人間ドックなどの「任意型検診」があります。対策型は、がん死亡率の減少が目的。そのため有効性の確立したがん検診だけが推奨されます。一方、任意型は医療機関が独自に提供し、個人が任意で受診。多くの検査がありますが、がん検診として有効性の確立していない検査が含まれている場合も

 

 

 

エビデンスのあるがん検診は5つしかない

〇 有効性の評価があるのは胃、子宮頸部、乳房、肺、大腸だけ

がん検診の最大の利益は、早期発見、早期治療による救命。あとは罹患率の減少、QOL(生活の質)の改善、早期治療による心身の負荷の軽減。この利益が右に挙げた不利益を上回る科学的根拠がないと、推奨されません。現在、国が推奨するのは胃がん、子宮頸がん、乳がん、肺がん、大腸がんの5種類のみ。それぞれ科学的根拠に基づいた検査法、対象年齢、受診間隔があります。 「もっとよく見つかる検査があるのでは?」と思うかもしれませんが、より多くのがんが見つかる検査が検診として有効とはいえません。検診で見つかるがんには命に影響しない、治療の必要のないものが多く含まれます。発見して治療ができ、命を守れるがん検診であることが大切です。

 

科学的根拠のあるがん検診は上の5つ。検査法、対象年齢、受診間隔も有効性評価に基づいています。もっとよく見つかる検査もありますが、がん検診は症状のない人に行うもの。症状のない人の微少ながんや前がん病変の発見は、がん死亡リスクの減少に必ずしもつながりません

 

 

イラスト/堀川理万子

 

 

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