認知症は、今なっている人、
これからなる人、
なる前に亡くなる人しかいません。
認知症は「長生きできた勲章なのです」
「認知症の最大の要因は、加齢。年を重ねるほどに、認知症になる確率は上がります」
そう話すのは、群馬大学名誉教授、認知症介護研究・研修東京センター長の医師、山口晴保さん。脳アミロイドβを30年にわたり病理研究を続け、その後、臨床研究に転向。より実践的な認知症医療、ケアに取り組んでいらしゃいます。
「体が老化しない人がいないように、脳も必ず老化していき、いつかは誰でも認知症になる可能性があります。例えば、95歳以上では、約8割の人がなります。
特に高齢者の場合、認知症は『長生きの勲章』ととらえる考え方を家族や地域の人みんなが持つべきなのです」
残念ながら、これを食べたら、これをしたら認知症にならないという方法はない、と山口先生。
しかし、適度な運動や、食事の内容に気を付ければ、発症年齢を少しでも遅らせる手助けになるかもしれません。
「ここで紹介する生活習慣は、寿命を延ばす生活習慣でもあります。
長生きをすれば、その分、認知症になる可能性が高まるので、ちょっと矛盾してしまいますが…」
とはいえ、認知機能を維持し、健康な老後を過ごすために有意義な習慣です。
その7か条とは?
1.抗酸化作用が期待できるポリフェノールを摂る。
赤ワインに含まれるミリセチンや、カレーの香辛料であるウコンのクルクミン、カテキンを含む緑茶など。
2.食物繊維たっぷりの食事で腸内環境を整える
腸内環境が脳にも関与すると言われています。腸内環境を整える、食物繊維や発酵食品の摂取はおすすめです。
3.糖尿病にならないような食事を心がける
糖尿病があると、認知症のリスクを高めます。白米より玄米、野菜はたっぷり、たんぱく質は、肉より魚を、多品目を少量づつバランスよくがポイント。スイーツは食べすぎないで。
4.骨を作るオステオカルシンは脳も活性化する!
骨に適度な衝撃を与えると丈夫になり、認知機能の低下の予防にもなります。
ウォーキングやかかと落としなどがおすすめ。
5.軽い運動は、脳細胞を増やし、予防にも有効
軽度の運動によって、脳の毛細血管が増え、血流が増えることが分かっています。
週2回以上、少し汗をかくくらいの運動を20~30分行うのがおすすめ。
6.良質な睡眠が脳細胞の再生を促す
睡眠には、脳にたまった老廃物を流してくれる働きがあります。福岡県で行った10年にわたる追跡調査で、認知症リスクが低かったのは、睡眠が5~7.9時間だったそう。
7.人生を楽しむ姿勢が何よりの良薬
イギリスの調査で、人生を楽しんでいる人は、死亡率が低いという調査も。
「長生きすれば認知症になる確率は高まりますが、日々を楽しく過ごしていれば、発症を少しでも先送りにできるかもしれませんね」
「認知症になってもまわりからの援助を受けたりして、普通に暮らし、人生を楽しむこともできます。そうすれば、たとえ進行してうまく話せなくても、笑顔にはなれます。
認知症になったとしても、軽度のうちに考えて、医師や家族に自分がどうしたいかつたえることで、認知症とともに生きる生活が自分により望ましいものになり、そのことがまた認知症の進行を遅らせることにもつながるのです」
漫然と認知症を恐れるのではなく、自分がどんな老後を過ごしたいかポジティヴにイメージして、笑顔の生活を実践していきましょう。
認知症の本人で生き生きと生きている人のお話。
認知症とは? 始まりと、備えておくべきこと。
診断と治療の現在。 認知症かもと思ったときどうしたらいい?
新しい認知症への取り組みなどなど。
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