年齢を重ねるにつれて、噛む力や飲み込む力が衰えていきます。意識的に舌を使い、大きく口をあけてアンチエイジングしましょう。
教えてくださるのは
田村麻子さん
Asako Tamura
ソプラノ歌手。国立音楽大学声楽科卒業、東京藝術大学大学院修士課程修了。マネス音楽院(ニューヨーク)首席卒業。国内外のコンクールにて上位入賞。日韓共催FIFAワールドカップの決勝戦前夜祭「3大テノール・コンサート」に共演。2015年には米大リーグ戦にて外国人歌手として初めてアメリカ国歌斉唱の栄誉を得る。メトロポリタン歌劇場管弦楽団、BBC交響楽団など、国内外で多くのオーケストラと共演、また世界各地の歌劇場で主演を務める。田村麻子さんのホームページはコチラ
※田村麻子さんの提案するさまざまな「肺活」は、OurAgeでも動画で公開中。OurAgeの連載はこちら
Step 2 舌と口まわりの筋トレ
年齢を重ねると、嚙む力や飲み込む力が弱まり、誤嚥(ごえん)性肺炎になるお年寄りが少なくありません。つまり、のどや舌の機能は“生きる力”とも直結しているのです。
日本語はあまり口や舌を動かさなくても発音できるため、加齢とともに、口まわりの筋肉が衰えやすいという弱点があります。だからこそ、意識的に舌を使うことが大切です。
舌を自在に使えたり、口を大きくあけられることは、アンチエイジングの大事な訓練に。
舌を口の中で回転させ、頭の後ろが痛くなったら反対に
舌をグルグルと、口の中で回して鍛えます。口を閉じたまま、舌を上の前歯の左前に出して、右回りに舌先を右の頰に入れ、下の前歯の前を経由して、左の頰に舌先を触れさせて一周させます。
口を閉じて、舌を右回りに回していき、頭の後ろが痛くなったら、今度は反対回りに回します。また痛くなったら、反対回りに。30秒続けます
オペラ歌手のように大きく口をあけるのが若さの秘訣
口を大きくあけられるのは若さの証拠。年をとると、だんだん大きくあけられなくなります。口を大きくあけ、筋肉の柔軟性をキープしましょう。あごを下げるだけでなく、あごの奥を「コ」の字にあけるようなイメージで。
“あごの奥をコの字にする”イメージで口をあけ、あごまわりの筋肉を柔軟に
Point あご関節をコの字に!
下あごは、あご関節を軸として、骨を動かす咬筋や側頭筋、舌骨筋群などの筋肉によって開閉します。あごの奥をコの字にあけて、筋肉の柔軟さを保つのがコツ。痛みがある人は無理にあけないように
上のイラストのように、単に下あごを下げるだけでは効果なし。
舌を鍛える、あっかんべーの舌出し体操
舌はほぼ筋肉でできていて、自分の意識で動かせる随意筋。つまり鍛えることができるのです。舌を自在に動かせるように、思いきり突き出す運動で訓練しましょう。まず、あごの奥をコの字にして大きくあけ、さらに笑ったときのように頰骨を上げた状態で行うのがコツ。
あごの奥をコの字にあけ、笑っているときのように頬骨を上げます。指で頰骨を上げても可。舌を思いきり下に突き出し8秒キープ
次に口と頰骨の状態をそのままで、舌を真っすぐ前に突き出します。舌を持って前から引っ張られるようなイメージで、8秒キープ
大きく口をあけた状態で真っすぐ上を向き、上に向かって舌を突き出します。このまま8秒キープします
イラスト/かくたりかこ 取材・原文/黒部エリ