血圧を上げないために毎日心がけたい行動・習慣を高血圧治療の第一人者・市原淳弘先生にお伺いしました。
お話を伺ったのは
市原淳弘さん
Atsuhiro Ichihara
東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科教授。日本内分泌学会内分泌代謝科専門医。日本高血圧学会理事。高血圧治療の第一人者として、日々患者に向き合う。著書に『食べ方、座り方、眠り方で下がる! 血圧リセット術』(世界文化社)など
「社長座り」でリラックス
仕事をしていて座り疲れたら、ちょっと偉そうな「社長座り」を。“ふんぞり返るように”椅子に座り、首から膝を135度くらいに傾けて脚を投げ出します。ポイントは首と股関節を伸ばすこと。座りっぱなしでいると、血管が圧迫されて血流が悪化。
1時間に1回、この座り方をすると血液が全身に行き渡ります。リラックスすることで副交感神経が活発になるのも血圧ダウンに有効です。逆に、猫背は心臓と肺を圧迫し、血圧が上がる原因に!
ちょこちょこ&休みながら運動する
血管拡張ガスNOを発生させるのに有効な有酸素運動は、1日計30分でOK。一度にまとめて運動するより、こまめな運動が血圧ダウンに効果大です。
また、ウォーキングやジョギングなどを行う場合、途中でインターバル(休憩)を入れ、呼吸を整えながら運動すると、血管拡張ガスNOの産生が高まり、血管の拡張反応も約2倍に!
カリウムをとる
体内にたまった塩分を排出する最強の成分がカリウム。アメリカの研究では、カリウムの摂取を1日1.6g増やすと脳卒中リスクが21%減ると報告されています。
カリウムは生野菜やフルーツに多く含まれているほか、いも類やきのこ、海藻類にも豊富。水溶性なので調理法には注意が必要です。また、塩分をとりすぎたら牛乳でリセットを。コップ1杯で200㎎以上のカリウムがとれます。
41℃のお湯で10分入浴
お風呂にゆっくりつかって寝ると血圧が下がります。鹿児島大学を中心とした共同研究によると、41℃のお風呂に10分入ると体の深部体温が持続し、就寝後5~6時間で15㎜Hg血圧が下がることがわかりました。血流がよくなることで、NOも産出されます。
[参考文献]
『食べ方、座り方、眠り方で下がる! 血圧リセット術』(市原淳弘著/世界文化社)、『「治せる高血圧」を見逃すな!』(市原淳弘著/学研プラス)、『高血圧 最高の治し方大全』(市原淳弘共著/文響社)
イラスト/寺田久美 取材・原文/安齋喜美子