肩に激しい痛みがある「炎症期」に、症状を悪化させない3つの生活術を、整形外科医で肩肘専門医の菅谷啓之先生に教えていただきました。
炎症期~拘縮期
激しい痛みがある「炎症期」、痛みがやわらぐと、関節まわりが拘縮して可動域が狭くなる「拘縮期」が訪れます。
炎症期はとにかく安静! 痛い姿勢を避ける
じっとしていてもズキズキ、腕を上げると激痛が…。
「そんな炎症がピークのときは、肩への刺激を極力避けること。痛みを感じる姿勢や行動を控えて、安静を徹底することが大切です。
つらい場合は、整形外科で消炎鎮痛剤の注射を打ってもらうなどで、痛みのコントロールをして、炎症を抑えることに専念してください」(菅谷啓之先生)
炎症期には、高いところにある物を取ろうとしたり、重い荷物を持つなど、肩が痛む行動は避けましょう。
また、犬の散歩で急に引っ張られたり、満員電車で押されるなど、不意の衝撃には特に注意が必要です
湿布薬は必要に応じて好みで選んでOK!
痛みを緩和する消炎鎮痛剤に、湿布薬や塗り薬があります。
「いずれもひどい夜間痛がなくなるほどの効き目はありませんが、ラクになるなら使用するといいでしょう。
湿布は白くて肉厚のパップ剤と薄いテープ剤があり、肩には剝がれにくいテープ剤が好まれる傾向です。冷湿布も温湿布も鎮痛効果は変わらないので、心地よいと思うほうを選んで」
炎症期には自己流のマッサージなどは避ける
炎症期にはとにかく安静を徹底して、炎症が治まるのを待ちます。このタイミングで自己流のマッサージやストレッチは避けたいところ。かえって悪化させてしまう危険性があります。
「激しい痛みが取れて、肩を動かせるようになったら、理学療法士などの専門家の指導の下、少しずつ体を動かしていくようにしましょう」
教えていただいたのは
菅谷啓之さん
Hiroyuki Sugaya
東京スポーツ&整形外科クリニック院長。整形外科医、肩肘専門医。米国ハワイ大学医学部客員教授、東京女子医科大学整形外科客員教授
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/山村浩子