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血圧の急な上昇・下降を引き起こす温度差に注意!ヒートショック予防策10カ条

寒い季節に特に注意したいのが、体の冷え。血管にとっても過酷な時期です。血管は暑さ寒さにとても敏感。体を内側から温める方法、血管の事故を起こさないための入浴術などを、血管のスペシャリストである池谷敏郎先生に伺いました。

女性にとって“冷え”は大きな悩みですが、体を冷やすことは血管にとっても歓迎されるものではありません。

 

「小さな温度差は血行を促すのですが、急な大きな温度差は脳卒中や心筋梗塞などのリスクになります。今回は、血管と温度との関係について詳しくお伝えします」(池谷敏郎先生)

 

 

ポイント①

食材を活用して体を冷やさない

冬になると温かいものを食べたくなりますが…。

 

「冷え症改善によいといわれるものはほとんど、血管にとっても大歓迎! 血管を拡張させて、血管力を高めるNO(エヌオー=一酸化窒素)アップの役に立ちます」

例えば、ショウガのジンゲロールやショウガオール、唐辛子のカプサイシン、にんにくや玉ねぎのアリシンといった辛味の成分、またチョコレートやココアに含まれるカカオのポリフェノールであるオブロミンという成分には、血管拡張作用があり、血液の循環をよくします。お酒も血流を促しますが、飲みすぎると逆効果になるので、適量を守ることが大切です。

 

 

ポイント②

お風呂はぬるめの半身浴で10~15分!

お風呂も入り方によっては血管に負担がかかります。

 

「例えば、42~43℃の熱めの湯につかると、末梢血管が収縮して血圧が上昇する“驚愕反応”が引き金となって、脳卒中や心筋梗塞を発症することがあります。特に高齢者は注意が必要です。

湯船につかるときは、39~41℃くらいのぬるめの湯で、みぞおちの下までにして、10~15分を目安に! 肩までつかりたい場合は、いきなりではなく、徐々に湯に慣らしながらゆっくりと入るようにします。

湯につかりながら、両手首を曲げ伸ばしするのもNO力アップに効果的。ぬるい湯でも長湯のしすぎは、血管の過度な拡張と発汗による脱水によって、血管には負担になります。湯舟につかるのは15分を目安に!」

 

 

ポイント③

ヒートショックに要注意!

気温の変化によって、血圧が急に上下して、心筋梗塞や脳梗塞などの病気が起こることをヒートショックといいます。家の中の温度差、特に冬場の入浴時に多いことがわかっています。

血管の状態とともに説明すると、暖かい居間から

寒い脱衣所

さらに寒い風呂場

そして熱い湯船の中へ。

こういった温度変化がとても危険です。まず暖かいところから寒いところに来ると、体は熱を奪われまいとして血管を収縮させ、血圧を上げます。続いて、慌てて熱い湯船つかると、急に血管が広がって血圧が下がります。

この血圧の急上昇や急下降は、動脈硬化がある血管には大きなダメージになります。また、血圧が急激に低下することで、めまいやふらつきを起こしたり、意識を失うこともあります」

 

 

ヒートショック予防策10カ条

①脱衣所に暖房器を置いて、あらかじめ暖めておく。

②風呂場の床にスノコやマットを敷いて、ひんやり感をやわらげる。

③湯を張った湯船のフタを取って、風呂場を暖めておく。

④湯船の温度はぬるめ(42℃未満)に設定する。

⑤かけ湯などで、体を湯の温度に徐々に慣らしてから入る。

⑥浴槽から出るときは、急に立ち上がらない。

⑦長湯をしない。

⑧入浴する際は、家族にひと声かけておく。

⑨脱水症状の予防のために、水分補給を行っておく。

⑩食後すぐ、過度な飲酒後、薬を飲んだ後、深夜の入浴などは避ける。

 

ヒートショックを起こす場所は、ほかにもトイレや洗面所などがあります。起こす年齢層では、65歳以上と高齢者が約9割を占めていますが、血管力が低下する40~50歳頃から、血圧の急激な上昇と下降には注意が必要。ちょっとした心がけで、思いがけない事故を予防することができます。

 

 

【教えていただいた方】

池谷敏郎
池谷敏郎さん
医学博士
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池谷医院院長。1962年生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。1997年に、池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科・循環器科。現在も臨床現場に立つ。心臓、血管、血圧などの循環器系のエキスパート。

 


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イラスト/内藤しなこ 取材・文/山村浩子

 

 

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