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スーパーで手に入る、すぐに血管力を高める食材とは?

血管の健康を守るためには、毎日の食事が大事。その食材も特別なものではありません。スーパーなどで手軽に手に入るものばかり。先生ご本人も実践している、体を元気にする「血管コンシャス」な食材とは? 血管のスペシャリストである池谷敏郎先生に伺いました。

私たちの体は毎日摂取する食べ物から成り立っています。ということは…血管力を高める食べ物もあるのでしょうか?

 

「もちろんあります! そのキーワードが良質な油、発酵、ミネラル、水溶性食物繊維、抗酸化物質です」(池谷敏郎先生)

 

血管コンシャスな食材①

血液サラサラにする魚を食べる!
DHA&EPA豊富な魚は救世主

「NO(エヌオー=一酸化窒素)を増やして、血管力を高める食材…その筆頭が魚です。特に青魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)は血管内皮細胞の炎症を鎮める作用が高いのが特徴です。EPA(エイコサペンタエン酸)は血管をしなやかにして、血圧を下げ、血栓をできにくくして、血管事故の予防に役立つことがわかっています。

例えば、従来の脂質異常症治療薬に加えて、高純度EPA製剤を服用すると、脳卒中のリスクを約40~50%、心筋梗塞のリスクを約20%低下させるという研究結果があるほど。私のクリニックでは、食事での魚の摂取を心がけるように食事指導していますが、魚が苦手な脂質異常症の患者さんには、EPA・DHA製剤を処方して、血管力アップに役立てています」

 

理想的な食べ方は、刺身、カルパッチョ、たたきなど、生で魚に含まれている油ごと食べることです。ほかに油が逃げないホイル焼きや、鯖の水煮缶とブロッコリーをトマトソースで煮込んだ料理などもおすすめです。

 

 

血管コンシャスな食材②

血管内皮機能を整えるチーズも◎!

 

「ブルーチーズやゴーダチーズに含まれるLTP(ラクトトリペプチド)にも、血圧を下げ、血管の過剰な収縮を防ぎ、血管内皮細胞の機能を高める作用があります」

 

 

血管コンシャスな食材③

血管を若返らせる油をとる

とかく悪者扱いされる油ですが、体の健康を維持するためには大切な栄養素です。

油や脂肪などの脂質は、常温で固まる「飽和脂肪酸」と、常温では液体の「不飽和脂肪酸」があります。その不飽和脂肪酸は、次の3種に分かれます。

 

●オメガ3系脂肪酸/魚の油、亜麻仁油、えごま油、くるみなどに多く含まれます。
●オメガ6系脂肪酸/サラダ油、大豆油、コーン油、紅花油、ひまわり油などに多く含まれます。
●オメガ9系脂肪酸/オリーブ油に多く含まれます。

 

「どれも食事からとりたい脂肪酸なのですが、このうち普段の生活では、加工品やお惣菜、外食の料理などに多用される、オメガ6系の摂取が圧倒的に多いという現状があります。しかし、これは体内で動脈硬化を促進するアラキドン酸に変わるので、とりすぎると動脈硬化の原因となる慢性炎症を促します。

一方で、オメガ3系のDHAやEPAには、体内の炎症を抑える働きがあることがわかっています。亜麻仁油やえごま油もオメガ3系であり、体内でその一部がEPAやDHAに変化します。しかし、亜麻仁油やえごま油は熱に弱く、加熱する料理には向きません。ドレッシングやスープの仕上げに加えるなどして、摂取することが推奨されています。

加熱する料理に用いる油には、オメガ9系に属するオリーブ油がおすすめです。オリーブ油はアラキドン酸の元となるリノール酸の含有量が少なめで、善玉コレステロールを減らすことなく、悪玉コレステロールを減らしてくれるからです」

 

減らすべき油はオメガ6系増やす油はオメガ3系、加熱料理にはオメガ9系と覚えておきましょう。

 

 

血管コンシャスな食材④

野菜のミネラル、食物繊維、抗酸化作用に注目!

血管力アップには野菜が欠かせません。

 

「厚労省が推奨している、野菜の1日の摂取目安は350gです。生野菜で両手いっぱい、火を通した状態で片手いっぱいが1食の目安。これを朝、昼、晩で食べれば、350gが達成できます」

 

 

野菜にはさまざまな効能が期待できます。

 

「そのひとつがミネラルの働きです。特に野菜に含まれるカリウムは、血圧を上昇させるナトリウムの排泄を促し、血圧を安定させる働きがあります。カリウムを多く含む野菜といえば、アボカド、ほうれん草などです」

 

「また、食物繊維の中でも水溶性食物繊維には、血液中の余分なコレステロールを排出して、脂肪を分解する酵素の働きを助ける作用があります」

 

にんにく、オクラなどが代表的な食材です。

 

そして、抗酸化作用がある野菜にも注目です。

 

「例えば、リコピンを含むトマト、ケルセチンを含む玉ねぎ、プロシアニジンが含まれるリンゴなどは積極的に摂取すべき食材と言えます」

 

これらをどれかひとつに偏るのではく、できるだけ複数の野菜をとるのが大きなポイントです。

 

【教えていただいた方】

池谷敏郎
池谷敏郎さん
医学博士
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池谷医院院長。1962年生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。1997年に、池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科・循環器科。現在も臨床現場に立つ。心臓、血管、血圧などの循環器系のエキスパート。

 

 


『1日5分! 血管ケアだけで20歳若返る!』(青春出版社) ¥1100

 

取材・文/山村浩子

 

 

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