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その「なんとなく不調」ミネラル不足が原因かも?「サプリの間違えた摂り方、していませんか」

頭痛、肩こり、疲労感、食欲といった「なんとなく不調」は、ミネラルバランスの乱れが関わっていることがあるようです。長年ミネラルを研究し、さまざまな症状の治療にあたっている登坂正子先生にお話を伺いました。なぜミネラルが私たちの体に必要なのか、どんな種類があり、摂取するときの注意点は何かなどミネラルの基本情報を教わりました!

 

【教えていただいた方】

登坂正子
登坂正子さん
医学博士。日本循環器学会認定循環器専門医。日本抗加齢医学会専門医。
公式サイトを見る

東京女子医科大学卒業。医療法人 淳信会 ホリスティキュア メディカルクリニック院長。米国コロラド州NTI認定栄養コンサルタント。米国PHYTOMEDIC LABS認定栄養&酵素セラピスト。産業医。 2014年、米国ベストドクターズ社日本支部から「医師が自分自身や家族が病気になった場合受診したいベストの医師」として、Best Doctors in Japanに選出される。

 

♦現代人はミネラル不足による新型栄養失調?

ミネラルは、タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミンと並ぶ「五大栄養素」のひとつで、人間が生きていくうえで欠かせない成分。

ミネラルが不足するとさまざまな不調を引き起こします。

 

私は、循環器専門医としての外来業務の中で、医学的に原因がないにも関わらず、さまざまな不調を抱え医療機関を渡り歩く、多くの「診療難民」の方々の診察にもあたってきました。

 

その経験から、医学的に原因のはっきりしない不調には、ミネラルバランスにも着目する必要があることがわかってきました。

 

「未病」と呼ばれる、日々の生活の中で感じる「なんとなく不調」は、ご自分の体質に合わない食生活、あるいはサプリメントや健康食品の過剰摂取などによる、ミネラルバランスのくずれを知らせる、体からの大切なシグナルなのです。

 

 

特にOurAgeの読者の皆さんのような、更年期といわれる世代の方々は、今までよかれと思ってやってきた生活習慣や食生活が、かえってミネラルのバランスを乱し、不調の一因になってしまっていることもあります。

 

病気はある日突然患うものではなく、「未病」の段階を経て、発症します。

ですから、いかに「未病」の段階で体調をコントロールできるかが、病気にならないための重要なポイントです。

 

そこで、未病、すなわち「なんとなく不調」を引き起こす、ミネラルバランスの乱れについてご説明していきましょう。

 

まずは、個々のミネラルの働きや適切な摂取方法について、お話ししたいと思います。

 

さて、「新型栄養失調」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

これは、食べ物がなくて痩せ細り、弱っているという、本来の意味での栄養失調とは別物。ビタミンやミネラルといった、体を調整する機能を持つ栄養素が不足し、それがさまざまな不調を引き起こしている状態のことを言います。

 

こんな飽食の時代に、なぜ、こうした状態に陥るのでしょうか…。

 

その理由のひとつとして、近年の私たちの食事に加工食品が増えていることが挙げられます。

これらの加工食品では、本来の食品に含まれているミネラルが加工の過程で失われやすくなり、3食お腹いっぱい食べていても、ミネラル不足になりやすいのです。

ゆえに、新型栄養失調と診断された人の中には、どちらかというと肥満傾向にある人も多いくらいです。

更年期世代の女性は特に、カルシウム、マグネシウム、亜鉛が不足しがちといわれています。生理のある年代の女性は、これらに加えて鉄も不足しがちです。

 

♦サプリの間違ったとり方で過剰摂取に!?

体内でのミネラルの働きについて、最も注目すべきは、「ミネラルはお互いにサポートし合ってチームで働く栄養素であり、バランスが大事」という事です。

ゆえに、ある不調を改善しようと、ひとつのミネラルだけを過剰に摂取してしまうと、ミネラルバランスがくずれ、逆に不調につながる場合もあるので要注意です。

 

例えば、ミネラル不足を気にしている人の中には、食事で不足しがちなミネラルをサプリメントで補おうと複数のサプリメントを飲んでいる人もいます。

しかし、サプリメントも自己判断でやみくもに服用すると、逆にミネラルの許容摂取量をオーバーしてしまい、体調をくずしてしまうことがあります。

(photo/freestocks on Unsplash)

 

というのも、サプリメントを作っている会社は、一般に「自社のサプリメントを完全なものにしたい」という思いから、1錠に、商品名に使用されているメインの成分のほかにも、体に必要とされるミネラルはじめ、その他の栄養素を複数配合している場合が多く、服用する側が何種類か組み合わせて飲んでしまうと、重複してしまう成分が出てきて、これが過剰摂取の原因になることがあるからです。

 

サプリメントを飲む場合は、できれば医師の指示のもと、医師に処方されたものを飲むのがよいでしょう。

それが難しい場合は、サプリメントに記載されている成分を、ぜひチェックしてみてください。

商品名に使用されているメインの成分のほかに、どんな成分がどのくらいの分量含まれているか、そしてそれらを合計して、1日の摂取量の上限を超えていないかを確認するようにしましょう。

 

♦自分の体のミネラルバランスを知ろう!

このように、食事をしっかりとっているつもりでもミネラルが不足していたり、サプリメントを飲んでいることで過剰摂取になり、バランスをくずしていたりすることもあります。

 

体内のミネラルバランスを整えて、不調を改善するには、まず今の自分の体のミネラルの状態を知ることが大切です。

もし可能であれば、専門機関での検査を受けてみるとよいでしょう。

 

私のクリニックでも導入している「オリゴスキャン」という機械は、手のひらをスキャンすることで、その人の体内のミネラル量をデータで示してくれます。

[実際に編集スタッフKがオリゴスキャンを受けてみたところ。パソコンのマウスのようなものが、オリゴスキャンの機器。これを手のひらにかざすようにして、計4カ所をスキャンするだけ。痛みも何もなく、わずか数十秒で終了]

 

およそ3分で、すぐに結果が出ます。

[写真上、下:これが編集スタッフKの結果。赤い線の出ているものが、体内に過剰にあるミネラル。Kの場合は、フッ素が過剰。「歯科医院でフッ素を塗布してもらっていますか? そうであるなら今より頻度を減らしてもいいかもしれません」と登坂医師。ほかには亜鉛とクロムが「不足」という判定に]

 

「オリゴスキャン」は、その日、その時点での体内のミネラルバランスがわかるというのがよい点。

 

そのほかにも、毛髪や爪から検査するという方法もあります。これらは体内から血液などによって運ばれ、毛髪や爪に届いたミネラルの量になるので、少し前の体内のミネラル状態ということになります。

どんな方法が可能か、最寄りの医療機関に問い合わせてみるとよいでしょう。

 

オリゴスキャンでは、21元素と有害ミネラル15元素、すべての数値が検査できます。

そのほか、体内の酵素状態やホルモンの状態、代謝、循環、免疫、腸の消化などの機能がどのくらい働いているか、なども検査としてでてきます。

 

♦そもそもミネラルって何? どんな働きをするの?

ミネラルは非常にたくさんあり、現在わかっているもので100種類以上。

 

ミネラルは体内の生化学代謝に必要な栄養素であり、そのうち以下の16種類が「必須ミネラル」として知られています。また、クロール、硫黄、コバルト以外の13種類に関しては、厚生労働省が「日本人の食事摂取基準  2020年版」で摂取量の基準を設けています。

 

 

■カルシウム
骨や歯の成分。神経伝達や、筋肉の収縮にも関与しています。マグネシウムとのバランスが大事です。

■リン
カルシウムとともに骨や歯などの構成成分。加工食品の摂りすぎで過剰になる事があります。過剰になるとカルシウムの吸収を阻害します。

■カリウム
カリウムは、主な細胞内電解質液であり、細胞の含水量を調節するだけでなく、心臓の筋肉の収縮や神経伝達において重要な役割を果たします。

■ナトリウム
カリウムとバランスをとって体内の水分量を調整します。

■クロール
ナトリウムとくっついて体内でpH(酸性とアルカリ性のバランス)を調整します。

■マグネシウム
人体のすべての細胞に存在し、酵素が活躍するときに必要です。そのためさまざまな代謝に必要で、体の機能の維持に必須です。

■硫黄
髪の毛や爪の成分、エネルギーの代謝に関与します。グルタチオンの構成成分であり、解毒や抗酸化に必要な物質として重要です。

■鉄
約70%は赤血球に存在し、赤血球のヘモグロビンの構成成分です。酸素の運搬をするだけでなく、体内で様々なものと結合し代謝の重要な役割を担います。

■銅

赤血球の生成に関与し、ヘモグロビンが鉄を取り込むのを助けます。
また過剰な活性酸素の消去にも関与している重要なミネラルです。

■亜鉛

300以上の酵素の働きに関係し、細胞分裂や免疫、生殖機能、味覚、成長ホルモンの合成など、身体の様々な箇所に影響を及ぼす重要なミネラルです。

■クロム
血糖コントロールに関係するインスリンの調節に必要なミネラルです。また、中性脂肪や悪玉コレステロールの減少、コラーゲン形成、タンパク質代謝などにも関与しています

■マンガン

活性酸素を消去するスーパーオキシド・ジスムターゼの構成成分として、酸化ストレスに対抗します。

■ヨウ素
甲状腺ホルモンをつくるのに必要なミネラルです。エネルギー代謝の亢進や脳・神経組織・骨格の発達成長に関与しています。

■セレン
抗酸化物質のひとつ。有害金属、アルコール、タバコの煙などから細胞を守る強力な抗酸化物質です。

■モリブデン
代謝に関わる必須ミネラルのひとつで、タンパク代謝および細胞分裂に関与しています。

■コバルト
貧血の予防、自律神経系の調節に必要なミネラルです。

 

また、推奨量や1日の摂取量の上限などは、まだ研究途中のため、必須ミネラルとされていませんが、体に必要なことが判明しているミネラルは以下のとおりです。

 

・ケイ素
骨、毛髪、爪、軟骨、および皮膚の形成に関与するミネラルです。

・フッ素

正しく使用することで、歯質の強化や虫歯になりにくい歯を作るのに役立ちますが、フッ素過剰では、病気を引き起こす可能性がありWHOが2010年に警鐘を鳴らしています。

・バナジウム

LDLコレステロールを抑え、中性脂肪の正常化に関与しています。筋肉のブドウ糖利用の促進にも役立つといわれています。

・ホウ素
カルシウム、マグネシウム、ビタミンD、リンの代謝に関与しています。

・リチウム
さまざまな酵素、ホルモン、ビタミン、ミネラルをサポート。精神・感情を安定させる作用があります。

・ゲルマニウム
いくつかの研究から、免疫系に作用することが示されています。

 

私たちの「なんとなく不調」に、これらのミネラルがどのように関わっているか、これから詳しくお話ししていきましょう。

 

取材・文/瀬戸由美子

※記事中の錠剤の写真はイメージです。

 

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