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鶏胸肉が疲れの特効薬?/睡眠で疲労回復20カ条⑪~⑮「夜」編(前編)

梶本修身さん

梶本修身さん

1962年生まれ。大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授。東京疲労・睡眠クリニック院長。疲れと眠りの研究と治療にあたりながら、テレビや雑誌などでも啓蒙活動を行う。著書多数

夕方以降、寝るまでの時間は良質な睡眠に導く大切なひととき。

●夜●(前編)

寝るまでの時間を大切に!

食事や入浴、寝室や寝るときのスタイルは? "疲れが取れる"ナイトタイムの過ごし方。

 

 

その11

夕食は寝る3時間前までにとる。

 

「食後は消化吸収のために、胃腸が活発に働きます。この内臓の働きをコントロールしているのも自律神経。寝る直前の飲食は、本来、休息するはずの自律神経を、消化のために残業させることになります。夕食は寝る3時間前までにすませるのが原則」

 

仕事などで夕食を食べそびれ、眠れないほど空腹の場合は、低脂肪で消化のいいものを少量だけにすれば、睡眠への影響を軽減することができます。白菜や大根、豆腐、鶏胸肉などを使ったスープや雑炊、うどんなどがおすすめ。

 

 

 

その12

疲れに効く食材は鶏胸肉が最強!

 

「鶏の胸肉にはイミダペプチドという成分が大量に含まれています。イミダペプチドには抗酸化作用があり、疲労の原因となる 〝細胞の酸化"を防ぐ働きがあります。その理由のヒントは、渡り鳥の習性に。渡り鳥は季節に応じて長い距離を飛行し、年間3万㎞以上移動することもあるといいます。渡り鳥の羽の付け根、すなわち胸肉にはイミダペプチドが豊富に存在しており、これが筋細胞の酸化を防いでいるのです。ほかにマグロやカツオなどの回遊魚の背ビレにも含まれています。こうした食材を積極的に摂取すれば、疲労回復にも役立ちます」

 

 

その13

バスタイムを味方につける。

「人は深部体温が下がるときに眠くなります。その性質を利用して、お風呂でいったん深部体温を上げておくことは、睡眠を促すのに有効です。しかし、湯の温度が熱すぎると、汗をかき自律神経を酷使してしまうことに。その結果、睡眠のリズムも乱れます。目安は、額から流れるような汗をかかない程度の入浴にすること。少しぬるめの38~40℃くらいの湯に5~10分ほど入るのがベスト。ぬるめの湯は心身に負担をかけず、リラックス状態にしてくれます。半身浴などもおすすめです」

 

 

 

その14

寝酒の習慣は快眠に逆効果。

 

眠るために、お酒の力を借りている人も少なくないでしょう。しかし、これは睡眠の質を低下させる大きな原因。

 

「アルコールは自律神経の中枢を麻痺させます。飲酒後すぐ寝ることはできても、質のよい睡眠リズムは作れません。アルコールが分解されると、逆に目が冴えてしまったり、利尿作用が働いて夜中にトイレに起きることも。いびきが増え、睡眠時無呼吸症候群を引き起こす原因にもなります。最初は1杯のビールで眠れていたものが、どんどん量が増えて、アルコール依存症になる危険性もあります」

 

 

その15

眠くないのに布団に入らない。

 

「寝つくのに時間がかかる人は、実際に眠れる状態になる前に布団に入っている可能性があります。多少時間がかかってもそのまま眠れるのならいいのですが、怖いのは、眠れない経験を重ねると、その恐怖から、より眠れなくなるという悪循環に陥ることです。これを防ぐには、眠気を感じるまで布団に入らないこと。睡眠前の90分は、入浴や家族との会話などリラックスして自然に眠くなるようなルーティンを決めておくことが大切。20~30分眠れなかったら、一度布団から出て、体をほぐすなどリラックスタイムを設け、眠気が訪れるのを待ちましょう」

 

 

 

次回は、寝る環境や姿勢に関するポイントなど、「疲れが取れる」睡眠の20カ条⑯~⑳「夜」後編をご紹介します。

 

 

イラスト/内藤しなこ 構成・原文/山村浩子

 

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