「疲れが取れる」睡眠を得る「夜」の過ごし方の後編です。
●夜●(後編)
寝るまでの時間を大切に使おう!
寝るときの環境や姿勢に少し気をつけるだけでも「疲れが取れる」睡眠が得られます。
その16
寝る環境を快適にする。
睡眠の質を上げるためには、一日の約3分の1を過ごす、寝る環境を整えることが大切。
「枕は首を支えるもので、高すぎても低すぎても体に負担がかかります。枕やマットレス、敷布団を選ぶ際は、実際に寝てみて、体全体をバランスよく支えてくれるものを」
寝室の温度は、夏は25~27℃、冬は15~18℃を目安にエアコンで調整を。季節に合わせた寝具を使い、寝汗をかきすぎない工夫も必要です。寝具内の温度は32~34℃が適温。また気持ちが安らぐ、鎮静作用のあるアロマオイルなどを香らせるのも、快眠に導く方法です。
その17
寝る前の儀式を決める。
「寝る前は徐々に、活動モードの交感神経から、休息モードの副交感神経に移行していくことが大切。寝る1時間くらい前から、リラックスタイムを設けましょう。例えば、パジャマへの着替えをモード切り替えの合図に。ストレッチやヨガなどを深い呼吸とともに行い、ゆっくり体をほぐすと、疲労回復物質FRが働いて寝ている間に疲れを取ってくれます。ほかに、安眠のためのハーブティーを飲む、癒しの音楽を聞くなど、自分なりの"入眠儀式"を見つけてください」
その18
足が冷える場合は足首を温める。
足が冷えるから、寝るときも靴下は欠かせないという女性は多いよう。しかし、それが睡眠の質を低下させる原因に。
「問題は、靴下をはいたまま寝ると、ずっと足先を温め続けてしまうこと。眠りが訪れるのは、入浴などで上がった深部体温の熱が、手のひらや足の裏から徐々に放出されて体温が下がったタイミングです。靴下をはいていると、足裏から放熱できないため深部体温が下がらず、眠りを妨げます。足が冷える場合は、足首だけを温めること。電気あんかも同様にNG。湯たんぽは時間とともに湯が冷めていくのでOK」
その19
右下の横寝がいちばん疲れが取れる。
「寝ても疲れが取れない原因で多いのは"いびき"。いびきは舌の根が落ち込んで気道を塞ぎ、空気の通り道が狭くなっている状態です。特に女性は更年期を過ぎると、喉の筋肉が弱くな ることで、いびきをかきやすくなります。睡眠時無呼吸や低呼吸になる可能性もあり、睡眠の質を低下させます。
防止するには"横向き寝"がおすすめです。特に、右を下にして寝るのが最も無呼吸・低呼吸の状態が改善されるというデータも(下グラフ参照)。また、横向き寝は寝返りが打ちやすく、血液や体液がバランスよく流れるという利点もあります」
【寝る姿勢による睡眠時無呼吸・低呼吸】
その20
布団の中でスマホはNG!
スマホやタブレット、パソコンを寝る直前までいじるのは睡眠の質を低下させる原因。
「理由のひとつは、強い光。寝る前に強い光を浴びると、メラトニンの分泌が抑制されてしまいます。どうしても使う必要がある場合は、画面の明るさを調整したり、顔に近づけすぎないように。また、SNSをつい見続けてしまって睡眠時間が不足したり、さまざまな情報が入ってくるため、その内容によっては脳を覚醒させてしまうことも。いずれにしても、入眠前の使用は避けたほうが賢明です」
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/山村浩子